ロードバイクは、ハンドルを下げたほうがいい!
というのはこの趣味の世界では、よく言われることです。
雑誌でもネットでも、よく勧められていますね。
ロードバイクはハンドルを下げたほうが、
- 出せるパワーが増える
- 空気抵抗が減る
- かっこいい
あたりが、その理由となることが多いです。
そしてハンドルを下げること自体は、ぜんぜん問題ないのですが・・
ハンドルは低いほど良い!下げれば下げるほど良い!
そういうイメージを持ってしまって、ハンドルを下げすぎるケースがけっこう多いようです。
そしてロードバイクはハンドルを下げすぎると、デメリットのほうが多くなるもので・・
ハンドルを下げるのは「ほどほどに」しておいたほうがいいものです。
なのでこの記事では、ロードバイクはハンドルを下げすぎるとどうなる?
具体的に、どんなデメリットが発生するの?
といったところを解説していきます。
目次
重心が前のめりになる
ロードバイクのハンドルを下げすぎたときの、デメリットは・・
まず一番に「重心が前のめりになる」ことです。
これは実際に、手を前に伸ばしてみるとわかりやすいと思います。
低いところに手を出そうとすればするほど、重心は前に傾きますよね。
そしてあまりに低くて遠いところに手を伸ばしていくと、転びそうになるはずです。
ロードバイクも同じで、ハンドルをあまりにも大きく下げすぎると・・
重心が前に偏りすぎて、バランスを崩してしまいます。
前輪だけに体重が掛かりすぎるような形ですね。
ロードバイクの前後バランスはどのくらいが良いか?に、決まりは無いのですが・・
だいたい「5:5」とか「前4:後6」とか、そのくらいが良いと言われることが多いです。
そして「前7:後3」みたいなあまりにも強い前荷重は、前のめりだと言えるでしょう。
荷重があまりにも前に崩れてしまうと・・
- 後輪から重さが抜けるので、駆動力が伝わらなくなる
- 前輪がスムーズに動かせなくなり、方向転換がギクシャクする
- ブレーキを掛けたとき、前転しやすくなる
具体的には、こういったデメリットが出てきます。
なので、前輪側にあまりにも強く体重が掛かるようなハンドルの高さは・・
下げすぎ、と言っていいのではと思います。
猫背になって体を痛める
ロードバイクのハンドルを下げすぎる、デメリット・・
ふたつめは「猫背」になる、ということです。
ハンドルが低いと「前かがみ」の姿勢で乗ることになります。
そして少しくらいなら、前かがみでも問題ないのですが・・
ハンドルがあまりにも低いと「猫背」と言えるくらい、極端に背中が丸まることになります。
じゃあ、猫背になると何が悪いの?
- 筋肉が使いにくくなり、パワーが落ちる
- 胸を動かしにくくなり、大きな呼吸ができなくなる
- 腰を痛めやすくなる
こういったことが起きる可能性があります。
人間の身体は「姿勢が良い」ときに、筋肉を最大限使えるようにできています。
それぞれの筋肉がニュートラルな、伸びすぎでも縮みすぎでもない状態になるからですね。
なので例えばプロスポーツ選手で、極端な猫背で競技をする人は居ないはずです。
そして猫背だと胸を大きく開けなくなるので、呼吸が浅くなるものです。
試しに、おもいっきり丸まって深呼吸しよう!としてみたら・・できませんよね。
ラジオ体操でも「深呼吸」では、背筋が伸びているはずです。
そして猫背は腰を痛める原因になる場合があります。
荷物を持つためにかがんだ時とか、顔を洗うために腰を曲げた時とかに、腰を痛めることは多いですよね。
そして「ロードバイク上で」腰を曲げたときも、同じことが起きる可能性があります。
じゃあ、背中まっすぐが正しいか?と言うと、自転車ではそれも微妙だったりします。
立っているときと同じくらいの、すっと伸びた背中で乗るプロロードレーサーも居れば・・
ある程度、背中に「アーチ」がある状態で乗るプロも居るからですね。
そしてそれぞれ高い成果を出していますので、どちらも正解となるはずです。
しかしあまりにもハンドルを下げすぎで、自分のへそを見るようなひどい猫背になっている!
これはやっぱり、パフォーマンス低下といったデメリットを起こすでしょう。
なのでロードバイクのハンドルをあまりにも下げすぎるのは、やめておくほうがいいと思います。
ハンドル操作がしにくくなる
「ハンドル操作」が、しにくくなってしまう・・
ここも、ロードバイクのハンドルを下げすぎるデメリットです。
ロードバイクに限らず、作業するときには「最適な手の高さ」があります。
例えばキーボードで文章を打つにしろ、クルマを運転するにしろ、編み物をするにしろ・・
大体このくらいだとスムーズに作業できるな、という高さがあるはずです。
そしてその高さに、作業面を合わせるはずですよね。
そして、その最適な高さよりも「低すぎる」場合・・
作業のスムーズさは、圧倒的に落ちるはずです。
例えばめちゃくちゃ低い位置のキーボードでは、素早いタイピングはなかなかできませんよね。
そして、ここはロードバイクでも同じです。
ハンドルの高さが「最適な高さ」より大幅に低いと・・
コーナリング・ブレーキ・変速操作といった、ハンドルまわりの操作がやりにくくなるはずです。
もちろん「最適な高さ」は、人によって違ってきます。
なのでそのくらいが自分にとってベストか?は、試行錯誤しながら探すしかないのですが・・
ハンドルはとにかく下げたほうがいい!という考え方で、極限まで低くしてしまうと・・
やっぱり、それは「最適な高さ」からはかけ離れてしまうでしょう。
なので、ロードバイクのハンドルの下げすぎには注意です。
「空気抵抗」は本当に減るか?
という感じで、ロードバイクのハンドルを下げすぎるといろいろまずいわけですが・・
じゃあ、ハンドルを下げる「メリット」って特に無いの?
こっちの視点からも考えてみます。
ハンドルを下げるとき、いちばん求められるのは「空気抵抗」の削減だと思います。
ハンドルを下げるほど、姿勢は低くなりますので・・
空気抵抗も小さくなると期待されるのだと思います。
じゃあ、ハンドルを下げると空気抵抗って、どのくらい変わるの?
ここを具体的に解説してみます。
書籍「ロードバイクの科学」より引用
上の表は、ブラケットポジションを「100%」としたときの各姿勢の空気抵抗で・・
「ロードバイクの科学」という、わりと有名なロードバイク解説本から引用したものです。
これを見ると、ロードバイクに乗る一般的な姿勢の「ブラケットポジション」と、クロスバイクくらい高めの姿勢になる「ハンドル中央を握る」とを比べると・・
「100% vs 110%」で、空気抵抗の違いは10%ということになります。
姿勢の高さが変わると、そのくらいの規模感の違いが出るわけですね。
特に興味深いのは、ここからで・・
- 下ハン(腕を伸ばして)
- 下ハン(腕を曲げる)
- 下ハン(バーの前を持つ)
- ダウンヒルポジション
- エアロバー
この5種類の姿勢で、いちばん手の位置が低くなるのは「下ハン(腕を伸ばして)」だと思われますが・・
その空気抵抗は98%と、ブラケットポジションとほとんど変わりません。
対して同じ下ハンでも、下ハン(バーの前を持つ)では80%と、空気抵抗は劇的に減り・・
こんな感じで「エアロバー」を使う場合は75%と、空気抵抗はさらに削減されるのです。
どちらも姿勢は、「下ハン(腕を伸ばして)」よりは高くなるはずです。
このことから、空気抵抗を減らすには・・
腕や姿勢を「下に」よりも「前に」のほうが圧倒的に有効ということが分かってきます。
なのでロードバイクのハンドルを下げすぎレベルに下げたとしても、空気抵抗にそこまでの違いは無いわけですね。
空気抵抗を極限まで下げたいなら、腕を「前に」出すポジションを追求するほうがよほど有効なのです。
むしろハンドルをあまりにも下げすぎると、バランスが悪くなって、腕を前に出しにくくなります。
なので「空気抵抗を小さくする」という視点から見てみても・・
ロードバイクのハンドルを下げすぎるのはあまり意味がない、と言えると思います。
適切なハンドルの高さは、どのくらい?
という感じで、いろいろと考察してみましたが・・
ロードバイクのハンドルは下げすぎないほうがいい!
というのが、この記事の結論になってきます。
じゃあ実際には、ハンドルはどのくらいの高さにすればいいの?
ハンドルの高さを決める、基準とかあるの?
といったことが、次に気になることになるかもしれません。
そして、ハンドルの高さの考え方は・・
上の記事で、詳しいところまで解説しています。
ざっくり解説すると、高いハンドルにも低いハンドルにも、それぞれアドバンテージがあって・・
適切な範囲内なら、高いハンドルは機動力が高くて「街乗り」向けで・・
低いハンドルはスピードの維持がしやすくなり、「高速巡航」向けとなってきます。
なので高すぎ・低すぎにならない範囲で、自分に向く高さを追求していく!という感じになってきます。
今回はロードバイクのハンドルを下げすぎると、どうなる?をテーマにお話ししました。