ロードバイクでいつものように、快調に飛ばしていて・・・
・・・あれ?なんかすごく、ペダリングしにくい・・・
すっごい、脚を動かしにくい・・なぜ??
・・めっちゃ、サドルが下がってる!!
「いつの間にかサドルが下がってる」は、
ロードバイクやクロスバイク、折りたたみ自転車・・と自転車を問わず、あるあるです。
私もけっこう、経験しました・・・
しかし・・サドルが勝手に落ちるのにはたいてい、定番の「原因」があります。
そして対処すればちゃんと、解決できることが多いです。
この記事では、サドルがいつの間にか下がってしまう原因と、
解決方法を解説していきます。
目次
シートポストの「締め付けトルク」が足りていない
いつの間にかサドルが下がる・・原因の大半は、これだと思います。
サドルが下がるときは、実際にはサドルを支える柱の「シートポスト」が、ずり下がっていくわけですが・・・
シートポストは、この「シートクランプ」というパーツで締め付けることで、固定されています。
ボルトを締め込むことで、シートクランプがシートポストを圧迫し、摩擦で固定されるわけですね。
そして当然、ここのボルトがゆるいと摩擦力が低く、固定できないので・・サドルは下がりやすくなります。
場合によっては、サドルが左右にくるくる回るとか、シートポストがぐらつくとか・・もあるかもしれません。
もちろん、ちゃんと締めればいいわけですが・・・
もし、「トルクレンチ」を使わずに締めている場合、
しっかり締めたつもりでも、実は必要な強さよりずっと弱かった・・と、なることは多いです。
自転車のパーツを締める強さは、実は、ほとんどの場合で決まっています。
サドル部分に限らず、ハンドルの固定部分とか、ペダルの締め込み部分とか・・ですね。
そしてその強さは通常、「N・m(ニュートン・メートル)」という単位になります。
ものすごくざっくりと目安を言いますと、長いレンチで、ぐいぐい力を込めて締めると50 N・m・・・
そしててのひらに収まるくらいの短いレンチで、指先の力でぐっ、ぐっと適度な力で締めると、5.0 N・m・・と、そんな感じですね。
そしてこの強さよりかなり弱い場合は、パーツの固定力が足りずに、ずれてしまうものですし・・・
逆にはるかに強いパワーで締めてしまったら、パーツに負担をかけたり、バキッ!と壊してしまったり・・になるわけです。
そしてシートクランプを締めるときの強さは、メーカーなどによって変わってくるのですが、
だいたい5.0 N・mとか7.0 N・mとか、そんなものです。
とはいえ・・手で、たとえば「正確に6.0 N・mで締める」・・なんていうのは、
よほどの整備経験が無いと、難しいと思います。
場合によっては例えば、半分の3.0 N・mしか出ていなかった・・
なんてことも普通に、あるでしょう。
そしてもちろん、それだけ締める強さが弱いなら、
シートポストがずり下がってくるのも無理はないのです。
しかしここは「トルクレンチを使う」だけで、誰であっても簡単・確実に解決できます。
例えば・・・
私自身はこの「SK11のデジタルトルクレンチ」をもう何年も愛用しています。
そして「トルク対応幅」「対応パーツの種類」などなど優秀ポイントがすごく多い、優れものだと感じています。
これを使いピーっと音がするところまで締めれば、5.0 N・mなら5.0 N・m、30 N・mなら30 N・m・・
確実に「正しいトルク」で締めることができます。
そして正しいトルクで締めることさえできていれば、
「トルク不足」が原因のサドルのずり下がりは、完全に防げるはずです。
そしてトルクレンチは、サドル以外の部分にも使いますので、
本格的に自転車趣味を進めていくならいずれ、必要になるものです。
例えばハンドルがずれる!とか、ペダルがすぐゆるむ!とかも基本的には解決できますし・・・
例えばスプロケットを締め込むとか、ボトムブラケットをフレームに装着する・・とかいった場合にも、
トラブルの無い整備のためには、トルクレンチは必須です。
(もちろん上で紹介したレンチは、これらの部位にも対応します)
なのでサドルがよく下がってくる場合で、もし、トルクレンチをまだお持ちでない場合は、
調達して早めに「トルクレンチを使う整備」に切り替えるほうがいいのではないか・・と思います。
グリスを塗りすぎ
シートポストは「固着」しやすいので、グリスを塗るべき。
・・というのは、よく知られていることだと思います。
もちろんその通りで、シートポストを装着するときには、グリスを塗ってからにするべきなのですが・・・
ここでグリスをあまりにも大量に、ベタベタに塗ってしまうと、
もしかしたらそれが、サドルが下がる原因になるかもしれません。
グリスには「潤滑」能力がありますので、たくさん塗ったパーツはもちろん、滑りやすくなります。
ホイールのベアリングとかだと、この潤滑が効いてくれるおかげで、スムーズに回るようになったりするのですが・・・
シートポストの場合、グリスをべったべたに塗るともちろん摩擦力が低下し、
シートポストがつるつると下がっていく原因になる・・というケースがあります。
もともと「固着防止」や「防錆」が目的なら、グリスは薄く塗るだけで十分です。
なのでグリスをあまりにも多く塗ってしまった・・と思ったら、
一度除去して、薄く塗り直してみる・・というのも効果的かもしれません。
シートポストやフレームに問題がある
シートポストやフレームといったパーツそのものに、問題がある場合もあり得ます。
たとえばシートポストの工作精度が悪くて、しっかり保持できないような状態になっていたり・・
たとえばフレームの、シートポストを固定する部分の精度が悪くて、固定できなかったり・・
その場合もシートポストがずりずり下がり、サドルが下がってしまう。。となります。
ぱっと見ではつるつるした、問題なさそうな見た目に見えても・・
実はちゃんと保持できるような状態じゃなかった、というのもあり得ますね。
ここは、シートポスト、もしくはフレームのどちらか一方に問題があるかもですし・・
シートポストとフレームの「相性」が悪い、というケースもあるようです。
この場合の対処法としては・・
ひとまずシートポストを、他のものに交換してみる、が手っ取り早いと思います。
それでさくっと直るなら、シートポストが原因だった!で良いはずですので。
フレームの交換のほうはちょっと、ハードル高いだろうなとは思います。
もし、複数の自転車をお持ちなら、同じシートポストを挿しかえてみてもいいかもしれません。
それでサドルが下がらなくなるなら、フレームが原因の可能性があります。
そもそもまずしっかりしたメーカーのパーツを使う、も大事だと思います。
どこのメーカーが作ったかもわからないような安いパーツだと・・
精度が低いパーツを引いてしまう可能性は、上がってしまうはずですので。
たとえばシートポストだと、「NITTO」は精度が高いパーツを作ることで有名です。
NITTOシートポストについては、上の記事で解説しています。
私自身もずっと使っているのですが、剛性の高い、しっかりした品質だと思いましたし・・
もちろん私が持っているものは、ずり下がることも無かったです。
いっそ「ダブルクランプ」を使う
ひとつじゃダメなら、ふたつで対応!!
というのは常套手段ですが・・・
シートクランプにもそういう「ダブルで固定する」タイプの製品があります。
この「ダブルシートクランプ」というものですね。
(太さなどがお使いのシートポストに合うかは、ご自身でご確認ください)
このシートクランプだと通常1つの点で固定するところを、2点で固定するわけですので、当然ながら固定力は上がります。
たとえトルク管理などの工夫を、しっかりやっていたとしても、
パーツには相性といったものもありますのでどうしても、ずれる時はずれてしまうものです。
なのでどうしても、サドルのずり下がりが直らない!・・という場合は、
いっそシートクランプを「ダブル」タイプに換え、がっちがちに固定する!・・というのも選択肢になると思います。
カーボンの場合:ファイバーグリップを使ってみる
カーボンパーツの場合なら「ファイバーグリップ」といった、摩擦力を高めてすべりにくくするグリスも有効です。
カーボンパーツはトルクを掛けすぎると割れてしまうので、
最低限のトルクで締めたくなるものですが・・・
それでトルクが弱すぎになって、シートポストがずり下がってしまう・・ということがあります。
幸いカーボンなら、ド定番品にはなりますが「ファイバーグリップ」がありますので、
これで摩擦力を上げてずれにくくする・・というのも、有効です。
(研磨剤のような粒子によって摩擦力を上げますので、カーボンパーツに微細なキズがつくことはあります)
走っているうちにサドルがどんどん、下がってくる・・・
・・・すごく、イライラしてしまうものです。。笑
しかし基本的には、「トルクレンチを使う」などちゃんと対策すれば、防げるものです。
ぜひ、試してみては・・と、思います。