クイックリリースをナット化する方法は?注意点やデメリットはある?

このブログは広告リンクを含みます

ナット化された自転車

ロードバイクって、クイックリリースがついてるけど・・

これをナット化することって、可能?

 

クイックリリースは手だけで簡単にホイールを外せる、優れた機構です。

しかしそれゆえに、ホイール盗難を受けやすいなどのデメリットもありますので・・

これを一般的なママチャリのような「ナット式」に換えたい!というのは自然な考えのひとつでしょう。

 

しかしナット化には、デメリットや注意点もあります。

私自身、ナットを使用する自転車を長年使っていますので・・

この記事ではクイックリリースをナット化する、手順や注意点を解説していきます。

クイックリリースをナット化する手順

クイックリリースをナット化する手順は、どんな感じ?

 

ナット化のためにはまず、シャフトの交換が必須となります。

シャフトとは、ホイールが回転する軸となるような棒のことですね。

 

クイックリリースというものは、

クイックリリース

クイックリリース

こんな感じでレバーが固定され、外せる構造ではありませんので・・

これにこのままナットを装着するのは、どうあっても無理です。

 

じゃあ、どんな感じのシャフトを用意すればいいの?

例をひとつ挙げると・・

シマノ製のナット式用ハブシャフトです。

こういったものが適合する可能性があります。

Amazonでも、クイックリリースのナット化に使った!とするレビューが多数挙がっていますね。

シャフトはもちろん、前輪用と後輪用の2本が必要になります。

 

この製品はシャフトだけですので、加えて・・

シマノ製のM10対応ハブナットです。

最低でも、こういったナットそのものは必要になります。

ナットは前後輪両方に使うなら、合計4個必要になりますね。

 

という感じで正しいアイテムさえ用意できれば、ナット化は簡単に終わると思うのですが・・

しかしながらナット化には、山ほどの注意点がでてくると思います。

そして注意点まで含めると決して、簡単な作業というわけではなくなってきます・・

クイックリリースをナット化するときの注意点

じゃあナット化するときの注意点って、どんなものがあるの?

  • シャフトの選定
  • 同時に装着するパーツの選定
  • 完全自己責任になることの理解

こんな感じになってきます。

シャフトの選定

合うシャフトを正しく選定する必要がある!

というのがクイックリリースをナット化するときの、まず最初の注意点です。

 

見るべきポイントはシャフトの、

  • 太さ
  • 長さ
  • 材質や信頼性

こういったパラメーターですね。

 

自転車のシャフトには、いろいろな太さのものがあります。

そして当然ながら、合わない太さのシャフトは使うことができません。

装着自体ができませんので、当然ですね。

実際に装着できなかった!とする阿鼻叫喚も、Amazonレビューなどで見られたりします。

 

長さについても、同じです。

ロードバイクだとエンド幅は一般的に、前輪が100mm、後輪が130mmになりますが・・

自分の自転車で長さを調べ前輪後輪それぞれに合う長さの、シャフトを用意する必要があります。

 

加えて材質や信頼性に関しても、ちゃんと検討しておきたいところですね。

この記事で挙げたような「シマノ製」なら、まず問題なさそうに思えますが・・

どこのメーカーが作ったかも分からないような製品だと、もしかしたら強度に問題があったりするかもしれません。

 

シャフトには太さ・長さともに色々あり、どれを選ぶかなかなか難しいものですが・・

自分の自転車にはどんなシャフトが適合するか?を自身で調べ、最適なシャフトを調達する!

これがクイックリリースをナット化するときの、まず最初の関門となるでしょう。

同時に装着するパーツの選定

シャフトだけではなく同時に装着するパーツも、調達する必要があります。

シャフトに加えて必要なパーツは、基本的には、

  • ナット
  • ワッシャー

この2種類になると思いますが・・

ホイールのタイプによっては「玉押しパーツ」といったアイテムも必要になるかもしれません。

 

そしてそれぞれのパーツやアイテムは、正しいサイズを選択する必要があります。

ナットもワッシャーも、サイズが違うとうまく装着できないからですね。

そしてサイズ選択は、こういったアイテムの調達に慣れていないとなかなか難しいかもしれません。

 

例えば一般的にロードバイクだと、シャフト・ナットのサイズは「M10」となることが多く・・

しかしママチャリといった軽快車だと違って、「BC3/8」となることが多いようです。

そしてここを間違えて装着できなかった!という例は、とても多いようですね。

 

ちなみに各種アイテムは、Amazonを覗いて売っていればそれでいいですが・・

売っていなければ、たとえば近所のホームセンターを漁ると見つかるかもしれません。

もしくは私自身はこういったアイテムを、モノタロウという通販サイトでよく調達したりします。

完全自己責任になることの理解

3つめの注意点ですが・・すべてが自己責任になると知って作業する、ということですね。

 

クイックリリースのナット化というのは一般的に、メーカーが推奨するやり方ではありません。

なので個人が自分の責任で、勝手にやる事という扱いになり・・

そうであればもちろん、何が起きようが誰にも何も言えない!という状況になります。

 

さらにクイックリリースというのは、とても大事な「ホイール」を固定する部分です。

なのでここをいじると最悪、走行中にホイールが外れる!

なんて言う、文字通りの致命的なトラブルを生みかねません。

 

なので各種のパーツの選定も作業も、これでもか!と言うくらい慎重にやるべきですし・・

少しでも不安があるならやめておくか、ショップに持ち込んで助言を得る・・といった姿勢が必要でしょう。

一般的なカスタムではないので、ショップも難渋を示すかもしれませんが・・

クイックリリースをナット化するメリット

じゃあ、そうやってクイックリリースをナット化するメリットは何?

  • ホイール盗難に強い
  • 施錠の手間が減る
  • 見た目がスッキリする

こういったものは、見込めるメリットになります。

ホイール盗難に強い

ナット化の強みは何と言っても、ホイールの盗難対策として優秀なことです。

 

クイックリリースは最低1秒もあれば、フレームから外せてしまいます。

外しにくい前輪であっても、数秒あればいけますね。

なのであとは持ち去る時間だけあれば、盗難が完了してしまいます。

 

駐輪したロードバイクに戻ってきて・・あれ?何か変だ・・

ホイールが、ホイールだけが無い!!

・・そのショックたるや、計り知れません。

 

しかしナット化していればこのリスクは、激減します。

まずそもそも外すためにレンチが必要なので、その時点で手を出せる人は限られますし・・

レンチが有るとしてもふたつのナットを緩める手間が掛かります。

 

ふたつのナットを完全に緩めるには、数十秒は掛かるでしょうし・・

周りにはおそらく、その手間が掛からないクイックリリース式自転車が有るはずです。

なので普通にそっちを狙うのが合理的なので、この自転車はやめとこう・・となる可能性が高いでしょう。

 

という感じで、ホイールを盗難しようとする相手に手間を強いて・・

さらにそれによって、狙われる確率までも下げる!

というのがクイックリリースをナット化する、最大のメリットと言えるでしょう。

施錠の手間が減る

施錠の手間が減るというのも、実際に使ってみてのメリットでした。

 

クイックリリースは、すぐに外せてしまいます。

なのでその盗難を防ごうとすると、ホイールごとの施錠が必要になってきます。

フレームだけではなくホイールも、一緒に施錠するわけですね。

 

しかしホイールを一緒に、それも前後輪まとめて施錠するためには・・

  • 長いワイヤーロックなどで、フレームと一緒に絡めて施錠
  • ふたつめの鍵(3つめの鍵)で施錠

こういった選択肢を取る必要があります。

そしてそれぞれの方法で、施錠の手間が大幅に増えることになってしまいます。

 

長いワイヤーロックをぐるぐる絡めるのは、かなり面倒ですし・・

ホイールのために2つめ以降の鍵を掛けるのは、さらに輪をかけて面倒です。

実際にやってみたことがあれば、この面倒さはおそらく理解できるはずです・・笑

 

加えて「長いロック」が必要になるため、鍵の頑丈さが下がってしまうというデメリットも生まれます。

鍵は短いほど頑丈に作れますし、長ければ長いほど脆くせざるを得ませんので・・

ホイールごとまとめて施錠したものの結局、壊された全部盗まれた・・なんてことにもなり得ます。

 

しかしクイックリリースをナット化してしまえば、それでホイールは常に防御された状態になります。

なのでフレームだけを施錠すれば、それで良くなり・・

施錠の手間が劇的に減る、というメリットが生まれます。

 

たとえば私自身は現在、

ロードバイクの施錠に、この鍵ひとつだけを使っています。

この鍵は短いのですが、ほとんどの工具は歯が立たないほどに頑丈で・・

この鍵ひとつをガチャン!とフレームに掛ければ、それで強力な防御が完成する!というのはなかなかに快適です。

 

という感じで、施錠の手間が減って快適になる!

というのもクイックリリースをナット化する、見逃せないメリットになります。

見た目がスッキリする

見た目がスッキリする、というのも人によってはメリットでしょう。

クイックリリースはレバーを備えるぶん、どうしても大きく張り出してしまうのですが・・

ナットはとても小さいのでそのぶん、シュッとした見た目にすることができます。

 

ここはもちろん、人によるところでしょう。

ロードバイクには最小限のものだけ付いているのが良い!という、ミニマム志向の人も居れば・・

いや、ロードバイクはクイックレバーあってこそだ!という考えの人も居るはずだからですね。

 

しかしもしあなたが、ロードバイクに付属するものを極限まで減らしたい!という志向なら・・

クイックリリースのナット化は、見た目にさえもメリットをもたらすでしょう。

ナット化の「デメリット」とは?

ナット化にはもちろん、メリットだけではなく「デメリット」があります。

まずまとめると、

  • ホイール着脱に工具が必要になる
  • ホイール着脱に時間がかかる
  • 少し、自転車ショップに持ち込みにくくなる

こんな感じです。

ホイール着脱に工具が必要

クイックリリースをナット化すると、ホイール着脱に工具が必要になります。

ナットはもちろん、手では外せませんし・・

ロードバイクでよく使われる、六角レンチも適合しません。

なので緩めるための、専用の工具が必要になるということですね。

 

具体的には、

自転車整備に使えるレンチの5本セットです。

こんな感じの「ラチェットレンチ」が必要になります。

実際には、合うサイズの1本さえあれば良いのですが・・

本格的に自転車整備をするなら使う工具になってくるので、まとめて手に入れてしまっても良いでしょう。

 

ナットは「最適な強さ」で締めるのも、壊さないためには大事なところですので・・

手の感覚だけに頼らず正確な強さで締めたいのなら、

こういった「トルクレンチ」という工具があると、なお良いでしょう。

挙げたトルクレンチは、ナット用の対応ビットを装着することで・・

ナット化したロードバイクにも、ちゃんと対応することができます。
(詳しくは上の「レビュー記事はこちら」ボタンの先の記事に書いてあります)

 

さらに・・外出先でパンク修理をしようとするなら、緩めるための工具を持ち歩く必要もでてきます。

携帯用レンチには小型もものを選べば、重さを最小限にはできますが・・

クイックリリースなら必要なかった工具が荷物にプラスされてしまうのも、見逃せないデメリットになります。

 

という感じで・・ホイール着脱に、工具が必要になってしまう!

というのがクイックリリースをナット化するときの、まず思いつくデメリットになってきます。

ホイール着脱に時間がかかる

ホイールの着脱に時間が掛かるようになる。。

というのも、クイックリリースをナット化するデメリットになります。

 

クイックリリースは手で、数秒から10秒ほどもあれば外せますが・・

ナット化した場合はもちろん、工具でナットを外す時間が増えてしまいます。

さらに荷物から工具を取り出す時間も、加算されてしまいますね。

なのでひとつのホイールを外すまでに、おそらく2分から3分程度は掛かってくるでしょう。

 

なのでパンク修理や輪行のたびに、余分な時間を掛けることになりますし・・

ロングライド後の疲れている状況とかだと、手間そのものがキツいかも知れません。

 

さらに時間が掛かる関係上、レースの類ではまず使えないことになってしまいます。

レースといった状況でパンクしたなら、1秒でも早いホイール交換が求められますので・・

着脱に時間が掛かり、しかも工具が必要なナット式を使うのはちょっと難しいでしょう。

もし使うのならその時だけは、クイックリリースに戻す必要が出ると思います。

 

という感じで・・ホイール着脱が「クイック」ではなくなってしまう。。

というのも、クイックリリースをナット化するデメリットになります。

少し、自転車ショップに持ち込みにくくなる

パンクした時などに少しだけ、自転車ショップに持ち込みにくくなる・・

というのも、一応書いておきたいデメリットになります。

 

ナット化されたロードバイクを扱ったことが無いショップは、多いはずです。

クイックリリースのナット化というのは、それなりにマイナーな改造になってきますので・・

パンクで持ち込まれたロードバイクがナット式だった!というのは、そう経験することでは無いからですね。

 

なのでナット化したロードバイクを、ショップに持ち込んだ場合・・

「何だこれ?見たことない改造なんだけど・・なんか、扱いにくっ!」

そう思われてしまう可能性が出てきてしまいます。

 

もちろん自分の自転車にどんなカスタムをするのも、自己責任の範囲で、個人の自由なのですが・・

自転車ショップ・・特に老舗だと、こだわりが強い店主が営業していることも多いと経験上は思います。

なのでそういったショップに持ち込むと「邪道」という見られ方をするかも知れません。

 

もちろんまったく問題なく、スムーズに修理対応してもらえるケースも多いでしょうが・・

マイナーなスタイルゆえ、ショップで「え?」みたいな目で見られてしまうリスクは増えてしまう・・

というのも一応挙げておきたい、クイックリリースナット化のデメリットとなります。

「スキュワーロック」も選択肢

クイックリリースをナット化しよう!としている方向けに・・

スキュワーロック」という選択肢も最後に、挙げておきます。

 

スキュワーロックとは、

Pinheadのスキュワー部分

こんなノーマルではない、特殊な形状のナットでホイールを固定し・・

Pinhead

こういった特殊な鍵でのみ、ナットを緩めることが可能!というアイテムですね。

 

スキュワーロックの種類やメリットについては、

クイックリリースから交換するだけで、ホイール盗難を自動的に防げる「スキュワーロック」について詳しく解説しています。

上の記事で詳しく解説したのですが・・

 

スキュワーロックには盗難耐性がナット化よりさらに数段高い、というメリットがあります。

ナット化は、サイズの合うナットさえ持参すれば誰でも緩めることができますが・・

スキュワーロックなら専用のキーでしか緩められませんので、それはそうですよね。

さらに基本的には緩めるナットが片側のひとつだけで良い、というのも良い点になります。

 

中でも私自身は、

Pinhead社のスキュワーロック

この「Pinhead(ピンヘッド)」というアイテムを現在、ロードバイクに使っています。

スキュワーロックの中では、定番とも言えるアイテムですね。

 

とはいえスキュワーロックには、ナット化と比較すると、

  • 値段が高価になりやすい
  • 専用キーを紛失すると詰む

こういったデメリットもあります。

なので一概に、誰にでもおすすめできるアイテムではありませんが・・

ひとつの選択肢として、ここでは挙げてみました。


ホイールの盗難対策は、とても大事です。

そしてナット化すれば意識せずとも常に、ホイールが守られている状態になりますので・・

デメリットが許容範囲内なのであれば、やってみる価値はあるのではと思います。

 

今回はクイックリリースのナット化について解説してみました。

関連記事
「トルク幅」「計測の狂いにくさ」「さまざまなパーツへの対応」などに優れた優秀トルクレンチ、SK11 SDT3-060を解説しています。
CYCLISTSの自転車専用工具セット「CT-K01」には、どんな工具が入ってるの?これひとつで全部揃うの?を解説しています。
自転車整備にすごく使いやすいメンテナンススタンドについて、詳しく解説しています。
メンテナンスや工具に関わるすべての記事を一覧します。

 

【SK11 デジタルトルクレンチ】
整備ミス防止の必須ツールです。

Amazon楽天

レビュー記事はこちら
 

運営者:じてまにドクター

 

海岸線沿いのブロンプトン

 
自転車通勤から自転車にハマった、いち自転車マニアです。

【年齢・性別】30歳台、男性

【生息地】九州のどこか

【自転車趣味歴】7年程度

【職業】
現在:企業の産業医
元:総合病院の内科医・研究員

【自転車乗りとしての特徴】
◇貧脚・ゆるポタ勢
◇折りたたみ自転車・輪行大好き
◇フラットペダル派
◇好きな素材はクロモリ
◇ナビデバイスはガーミンウォッチ
◇全部自分で整備するマン
 
詳しいプロフィール

TwitterInstagram
 

よく読まれている記事
サイト内検索
カテゴリー
テーマごと
特殊ページ
最近の投稿
最終更新日ごと

ページの先頭へ