ロードバイクについて、いろいろ調べていると・・
「リアセンター」は何cmです、という情報にぶち当たった・・
・・リアセンターって、何?
リアセンターは自転車における、大事なパラメーターのひとつです。
これがちょっと変わるだけで、乗り心地といったものが激変しますし・・
しかも後から変えるのはほぼ無理!という、取り返しのつかないところでもあります。
私自身、今の自転車を買う前にはリアセンターをじっくり検討しました。
なのでこの記事では、リアセンターとは何?長い・短いと自転車はどうなるの?
ここを徹底解説していきます。
目次
リアセンターは「BB軸からリアホイール軸までの長さ」
リアセンターとは「BB軸からリアホイール軸までの長さ」のことです。
まず自転車の外観は、
こんな感じです。
そして自転車には、「BB(ボトムブラケット)」というパーツがあります。
BBとは、ペダルが回転する軸にあたるパーツのことで・・
その位置は、赤い矢印の指す先となります。
次に「リアホイール」・・つまり後輪の軸は、
矢印の指す先です。
そしてリアセンターは、BBとリアホイールという2パーツの、軸同士の距離で・・
この、水色で注釈を入れた長さになります。
ご覧いただくとわかるように、「チェーンステー」の長さと一致しますね。
実際に、超メジャーロードバイクメーカー「ジャイアント」の表を見ても、
この通り、お話しした場所がリアセンターとなっています。
という感じで、リアセンターは自転車のどこ?に対する答えは・・
「BB軸からリアホイール軸までの長さ」となります。
長いと「柔らかくどっしり」な乗り心地に
じゃあリアセンターが変わると、自転車にはどんな影響があるの?
まず、リアセンターが「長い」と・・
自転車は「柔らかくどっしり」した乗り心地になっていきます。
よく安定し、衝撃をよく吸収してくれるということですね。
リアセンターが長いということは、イコール「チェーンステー」が長いということですが・・
チェーンステーには、後輪から伝わってくる衝撃を吸収する役割があります。
そしてこれは長いと、よりしっかりと衝撃を吸収してくれるものだったりします。
長いほうがしなやかで余裕があり、クッションとして有能になるわけですね。
さらにリアセンターの長さは「足幅の広さ」と同じように、車体を安定させる効果があります。
ぐらぐら揺れる電車で立っているとき、両足をぴったりくっつけていると・・すぐバランスを崩してしまいますよね。
極端にならない範囲で、足幅は広いほうが安定して立っていられるはずです。
そしてリアセンターが長いと、片足にあたる「後輪」が遠くなり・・そのぶん安定を得られるのです。
逆にデメリットとしては、どっしり安定の裏返しで・・
もっさりした、機敏さに欠ける乗り味になってしまいます。
なのでシャキシャキした乗り味を好むなら、微妙になってしまうわけですね。
という感じでリアセンターが長いと、衝撃に強くバランスを崩しにくい乗り味になりますので・・
- 振動がガタガタ来ない自転車に乗りたい
- 長距離を安定して走りきりたい
- 機敏な動きはそんなに必要ない
自転車にこういった要素を求めるなら、リアセンターが長い自転車のほうが向くでしょう。
短いと「瞬発力が高く機敏」な乗り心地に
逆にリアセンターが短いと・・
自転車は「瞬発力が高く機敏」乗り味になります。
すばやく左右に動き、漕いだらすぐ加速する感じですね。
リアセンターはそのまま「足から後輪までの距離」になってきます。
そしてここは短いほど、力を伝える部分が短いことになりますので・・
掛けた力がダイレクトに、すぐに後輪に伝わることになります。
なので短いと、瞬発的に発進するような特性に変わってきます。
加えて上で書いたように、リアセンターは「足幅」のような要素でもありますので・・
短いと、車体が機敏に左右に動くようになります。
すばやく動き回るボクサーの足幅が狭いのと、理屈は同じです。
そしてデメリットとしては、機敏さの裏返しで・・
車体が過敏に反応する、不安定な乗り味になります。
なのでどっしりした自転車が欲しい場合は、微妙になってしまうわけです。
まとめると、短いリアセンターの自転車は・・
- レースなどで有効な、爆発的な加速力がほしい
- サクサク方向転換できる、機敏な自転車がいい
- どっしりした安定感は別にいらない
こういった特性が欲しいなら、選んで後悔が無いのではと思います。
どのくらいのリアセンターが長い・短いのか
リアセンターが長い・短い効果は、そんな感じだったとして・・
じゃあリアセンターは具体的に何cmだと、長い・短いと言えるの?
実際に選ぼうとすると、ここがもちろん大事になります。
なのでここを有名メーカー「ジャイアント」の自転車を軸に、実例から考えてみます。
リアセンターが短い自転車の例
まずジャイアントのレース系ロードバイクの、「TCR」「PROPEL」といったシリーズを見ていくと・・
【GIANT TCR】
【GIANT PROPEL】
このようにフレームサイズを問わず「405mm」となっています。
レース系自転車は、瞬発力や機敏さを重視しますので・・
これが「短い」リアセンターの基準、ということですね。
リアセンターが長い自転車の例
対してロングライド系ロードバイクの、「DEFY」を見てみると・・
【GIANT DEFY】
このようにフレームサイズを問わず「420mm」で・・
街乗り系クロスバイクである「ESCAPE RX」を見ると、
【GIANT ESCAPE RX】
フレームサイズを問わず「430mm」となっています。
ロングライド系ロードバイクやクロスバイクは、レースに使われることは少ないため・・
機敏さはあまり重視されず、そのぶん安定感といった要素が優先されます。
なのでこれら自転車のリアセンターが、「長い」リアセンターの基準となります。
リアセンターが長い・短いの基準は?
ここまでをまとめ、どのくらいが長い・短いか?の基準をひとつ作ると・・
リアセンター「410mm」を軸に、これより長いなら長い!
これより短いなら、短い!
そう言って、大きな間違いは無いのではと思います。
リアセンターは基本的に、フレームサイズによって変わりませんので・・
体格やサイズ選択を問わず、この基準が通用するわけですね。
なのでこの軸をもとにリアセンターを確認すれば、どんな特性を狙った自転車か?が分かりますし・・
自転車を選ぶときはリアセンターを見て、自分の望む乗り味を得られそうか?を考えることができます。
実際にリアセンターを変えて乗り比べた結果
リアセンターが長い・短いことによる効果は、そんな感じなのですが・・
長さが変わることによる効果を、自分で「体感」したい!
そう思いましたし、それが可能な自転車をたまたま持っていましたので、試してみました。
まず自転車は、SURLY社の「CrossCheck」です。
こんな感じのものですね。
この自転車は私のフレームサイズである「54cm」だと、
SURLY社 公式ホームページより引用
このように、リアセンター(チェーンステイ長)は「425mm」となっています。
数値的には「長め」のリアセンター、ということになりますね。
さらにこの自転車は、
こんな感じでホイールを固定する位置を変えることで、リアセンターを変えられる構造になっています。
「ロードエンド」というこの特殊な構造について、この記事で解説したのですが・・
これによってこの自転車の場合は「3cm」ほど、リアセンターを変えることができます。
リアホイール軸の位置が変わるので、リアセンターが変わるということですね。
なので実際にリアセンターをいちばん長く・短くした状態で、それぞれ乗り比べてみると・・
びっくりするほどの違いを、体で実感することができました。
リアセンターが「長い」状態だと明らかに、自転車はまっすぐ力強く安定しますし・・
段差を越えるときの衝撃も、明らかにびよーんとマイルドになります。
フレーム全体がしなって、ダメージを吸収するような感覚ですね。
逆にリアセンターが「短い」状態だと、漕いだパワーがカチッ!と伝わる感覚になりましたし・・
ハンドルを切っても明らかに、シャキシャキと自転車が曲がるようになります。
逆に安定性や衝撃吸収性は、はっきり分かるくらい下がることになりました。
リアセンターが違うと、乗り味に違いが出るわけですが・・
その違いの程度は、はっきり体感できるレベルとなる!
というのが、この実験から分かったこととなります。
という感じで・・リアセンターは自転車に乗るという体験を、劇的に変えてしまうほどの要素です。
なので自転車を選ぶときはこの記事も参考に、ジオメトリー表を確認し・・
リアセンターの数値から「この自転車は自分に向くだろうか?」と考えておくと、後悔しないのではと思います。
今回は自転車のリアセンターを軸に、知っていることを書いてみました。