自転車の、「ホイールベース」というものを、意識されたことはありますか?
自分で自転車整備をされるような方や、ロードバイクをやり込まれているような方であれば・・
おそらく、検討されたことのある要素だと思います。
しかしもし、あなたがロードバイクなどの自転車を買ったばかりであったり、
自転車をこれから買おうとされているような状況なら・・
「ホイールベースって何?」と、思われるかもしれませんね。
そしてホイールベースは、ロードバイクの乗り心地を一変させてしまう!
そのくらい重要な要素だったりします。
長い場合・短い場合それぞれで、大きなメリット・デメリットが生まれるわけですね。
なのでこの記事では、
- 「ホイールベース」って、なに?
- ホイールベースが長い・短いと、どうなる?
- 具体的に何mmからが、「長い」「短い」ホイールベースなの?
といったところを解説していきます。
目次
ホイールベースとは?長い・短いとどうなる?
ホイールベースとは、ざっくりと言いますと、
自転車の、前輪と後輪のあいだの距離のことです。
水色で、お示しした部分の長さですね。
そしてこの長さは、自転車の安定性に直結してくる、とても重要な要素です。
ホイールベースは、人間でいう立つときの足幅のようなもので、
この距離の長さによって、その自転車が、
②:直進するときの安定性に優れた自転車
のどちらなのか、ということが変わってきます。
ホイールベースが「短い」自転車が①、ホイールベースが「長い」自転車が②、ですね。
一般的に①タイプの、ショートホイールベースの自転車は、
素早い動きが必要な、ロードレースなどといった用途に向きます。
対して②タイプの、ロングホイールベースの自転車は、
安定して走り続けるのが重要な、ロングライドなどに優れていると言われます。
もちろん、長いほうが優れている!短いほうが優れている!ということではないので、
最終的にはそれぞれの用途に応じて選択いただくこととなるのですが・・・
ロードレースなど、特別な素早さや小回りが必要なことを特にはせず、
自転車を、日常生活の中で便利に使う、というのが主な目的であれば・・・
ホイールベースが長い自転車のほうが有利、と考えます。
自転車通勤・ちょっとした自転車旅・街中を走り回る、といった、自転車生活の中の用途であれば・・・
レースレベルの高い小回りや加速性能が求められることはとても少ないからです。
対して「直進安定性」は、自転車生活の中でもとても重要です。
これが高いほど、ふらつきにくくなるため安全性が上がりますし、長距離でも安定して疲れずに走ることができるようになります。
そのため自転車を、通勤、自転車旅といった、レースとあまり関係のない用途に使うのがメインなら、
ホイールベースが長い自転車を選ぶほうが有利だ、と思います。
どのくらいのホイールベースが「長い」のか
ご自身の自転車のホイールベースの距離自体は、その自転車を扱う公式ホームページなどで簡単に確認することができます。
もしわかりにくければ、「ジオメトリー」などの項目を探すと、おそらくあると思います。
それでは・・どの程度のホイールベースが長く、どの程度であれば短いと言えるのでしょうか?
例えば、大手自転車メーカーのホームページを訪れてみると、だいたいどこのメーカーでも、
小回りや加速性能が売りのロードバイク(GIANTなら、たとえばTCRシリーズなど)と、
ロングライド能力が売りのロードバイク(GIANTなら、たとえばDEFYシリーズなど)とがあります。
さらに、現代のツーリング車とも言われる「シクロクロス」という、さらにロングライドに向いた自転車もありますし、
街乗りの安定性に特化した、クロスバイクといった車種もどこでも扱われています。
こういった、実際に売られている自転車のホイールベースを調べると、
ホイールベースのだいたいの基準が浮かびあがってきます。
ここでは、多くの方が選ぶであろうフレームサイズの「S」サイズと「M」サイズを軸に、
各自転車のホイールベースを見ていきましょう。
例えば、ホイールベースが短いタイプのロードバイク、GIANTのTCRシリーズで、
SサイズとMサイズのフレームの、ジオメトリーを確認すると、
ホイールベースはだいたい、970mmを少し超える程度となります。
GIANT公式ホームページ TCR SL ジオメトリー表より引用
ホイールベースが長めのタイプのロードバイク、GIANTのDEFYシリーズであれば、
だいたい1000mmちょうど程度か、ほんのわずかに短い程度です。
GIANT公式ホームページ DEFY ADVANCED ジオメトリー表より引用
そしてGIANTの、ホイールベースが「長い」カテゴリーの自転車である、
シクロクロスのTCXシリーズ、
もしくはクロスバイクのEscapeシリーズといった車種であれば、
ホイールベースは1015-1030mm程度となっています。
GIANT公式ホームページ TCX SLR ジオメトリー表より引用
GIANT公式ホームページ Escape RX ジオメトリー表より引用
これらをまとめて、だいたいの基準について考えるなら・・・
ホイールベース1000mmを軸に、そこから短くなるほど小回りや加速性能重視、長くなるほど直進安定性重視と言えるでしょう。
もちろん、一概には言えないところですし、
フレームサイズ自体の大小によっても変わってきますので、あくまで目安ではあります。
ほんのわずかしか違わないじゃないか・・と、思われるかもしれませんが、
ホイールベースに限らず、サドルの高さでもハンドルの遠さでも、
自転車のポジション出しでは、ほんの数mm違うだけでも乗り味はかなり変わってきます。
実際、ホイールベースが変えられる自転車で、ホイールベースを30mmくらい変えて乗り比べてみると、
ホイールベースが短いときはすばやく動けて、長いときはふらつかず安定する・・と、
乗り心地は「激変」と言えるようなレベルで変わります。
上で挙げました、ホイールベースがいちばん短いカテゴリーの自転車と、
いちばん長いカテゴリーの自転車とでは、ホイールベースは60mmほど違いますので、
乗り味への影響はものすごく大きい、と言っていいでしょう。
参考までに、私は「SURLY CORSSCHECK」というホイールベースは1014mmのロードバイクと、
「ブロンプトン」という、ホイールベースが1045mmの、安定性を重視した折りたたみ自転車を、
それぞれ採用しています。
それぞれ、ホイールベースが長いものを選んでおり、
キビキビした機動は厳しいものの、長距離でも安定して走ってくれるので、
自転車生活にとても便利です。
以上のように、「自転車生活で便利に使う」という視点ですと、ホイールベースが長い自転車のほうが有利だと思います。
新しく自転車を買われる際、もし日常生活の中での安定性を求められるのであれば、
ホイールベースが「長い」自転車を、検討されてみてはいかがでしょうか。