フロントダブル化は、すごくオーソドックスなカスタムです。
フロントシングルの自転車を持っている場合・・
フロントダブルに改造すれば変速段数は2倍になり、すごく有利になります。
そしてフロントダブル化の方法は、検索すればいろいろ出てくると思うのですが・・
「フロントディレイラー」「ケーブル類」「変速機本体」と、結構いろいろなパーツが必要になります。
さらにパーツ同士の互換性など、考えることもかなり多く・・
そして変速不良といった、トラブルのリスクも抱えてしまいます。
そして私自身、フロントダブル化しようかな?と考えてはいたのですが・・
いろいろと考えて最終的には「手変速フロントダブル」というスタイルに落ち着きました。
そしてこのスタイルは、カスタムの手間も費用も最小限で・・
トラブルリスクもほぼ無く、軽く、しかも「フロント変速の恩恵」はちゃんと受けられる!
という、意外にも優れたやり方だと感じました。
そしてこのスタイルを、もう何年ものあいだ使い続けていたりします。
なのでこの記事では「手変速フロントダブル」って、具体的にどんなスタイルなの?
改造するときの注意点は?特別なデメリットとか無い?
といったところを解説していきます。
目次
「手変速フロントダブル」は、こんなスタイル!
「手変速フロントダブル」とは・・
インナーチェーンリングはつけるけど、変速機はつけないという仕様です。
上の画像のような「フロントギアは2枚だけど、フロント変速機は無い」という状態です。
フロントシングルの自転車だと、インナーチェーンリングを装着すればこの状態になりますし・・
一般的に売られているフロントダブルの自転車だと、フロント変速機まわりをすべて外すとこの状態になるはずです。
このスタイルだと変速機が使えないわけですので、変速は「手」で行います。
例えばこんな感じで、下側のチェーンをぐいっと押しながらクランクを逆回転させると・・
チェーンはかしゃん、とインナー側に移動します。
逆にインナーからアウターに上げたいときも、チェーンを指でぐいっと引っ張りあげて・・
アウターチェーンリングに引っ掛けて、そのままクランクを逆回転させればOKです。
通常はフロントディレイラーがやる作業を、すべて指でやるわけですね。
なので「なんちゃってフロントダブル」とか言われることもあります。
このスタイルだともちろん、走りながらの頻繁な変速はできません。
なので普段はフロントを変速しない、フロントシングルのような使い方をしておいて・・
激坂や強い向かい風など、特に軽いギアが欲しいときの「切り札」としてインナーに落とす感じです。
と、手変速フロントダブルはこんな感じのスタイルです。
手変速フロントダブルは、メリットがたくさん!
じゃあ・・手変速フロントダブルの「メリット」って何?
ここを、通常のフロントダブルやフロントシングルと比較し解説してみます。
手変速フロントダブルのメリットを列挙してみると・・
- フロント変速が可能
- カスタムの手間が最小
- カスタム費用が最小
- フロント変速メンテナンスが不要
- フロント変速トラブルが起きない
- 軽い
という感じです。
挙げてみるとけっこうありますね。笑
手変速フロントダブルは手動ながらも、ちゃんと変速が可能です。
これは「フロントシングル」状態と比較したときのメリットですね。
これによってフロントシングルでは対応できない、軽いギアに対応できます。
「カスタムの手間」も最小限です。
フロントシングルからだと、インナーチェーンリングをぽん、と装着するだけで・・
「ちゃんとしたフロントダブル」と比べると圧倒的に簡単で、費用もものすごく安いです。
逆にフロントダブルからだと、フロントディレイラーやケーブルを外すだけですね。
そして日常使う中でも、厄介になりがちな「フロント変速機のメンテナンス」が必要ないです。
日常的な調整とかも、もちろん一切不要ですし・・
ぶつけたりで狂ってしまって、変速不良に・・とかも全く関係ないです。
「変速に関わるトラブルが起きない」というのも、見どころです。
通常のフロント変速だと走行中、変速しようとすると突然チェーンが落ちた!危ない!とかなる可能性がありますが・・
手変速だと、一度止まって手で確実に操作するわけなので、こういったトラブルは起きようがありません。
もちろんトラブルや手間は、「リア変速」側では起きるのですが・・
2つあったものが1つになりますので、手間は半分になる感じですね。
さらには「軽い」というのも、メリットのひとつです。
フロントシングル状態と比較し、重さは「インナーチェーンリング1枚ぶん」なので・・
正直、無視できる程度の重量プラスだと思います。
そして「ちゃんとしたフロントダブル」だと、変速機やワイヤーなど一式が必要で・・
パーツのグレードにもよりますが、それらを合わせると数百グラムにはなってきます。
そしてその重さが追加されない・・というのは、軽さ命の自転車においてはなかなかのメリットなのです。
という感じで、手変速フロントダブルはなかなか多くのメリットを持っています。
「手変速」って、どのくらいのデメリットなの?
手変速フロントダブルは、メリットがけっこうある・・
じゃあ、それに対応する「デメリット」ってどんな感じなの?
手変速フロントダブルのデメリットは、もちろん「手変速であること」です。
ちゃんとしたフロントダブルと違って、手元の変速機でさくっと変速はできませんので・・
これが当然の、一番のデメリットですね。
じゃあ、このデメリットって「どのくらい」深刻なものなの?
ここが一番大事なところだと思います。
まず最初に・・手変速は「レース」にはまったく向かないです。
レースにはさまざまなギアの重さが必要で、フロントもしっかり変速したいものなのですが・・
変速のときに「一度止まらなければならない」というのはレースにまったく合わない、致命的な要素です。
なので手変速フロントダブルは、レースを視野に入れた自転車には使えない!と言えるでしょう。
じゃあ、レースではない一般的なシチュエーションではどう?
ここは正直、私自身はあまり気にならない程度だと感じました。
フロント変速をどのくらい使うか?は人それぞれですが・・
私自身はもともと、フロントをそんなに高頻度では変速しないタイプでした。
なので走行中のフロント変速ができなくなっても、そんなには気にならなかったです。
そして坂が続く!とか、サイクリングロードでずっと向かい風!といったシチュエーションが来たら・・
いちど自転車を停めて、さくっと手変速すればOKです。
時間としても10秒と掛からないので、レースじゃないなら問題にもならない手間です。
もちろん、フロント変速をひんぱんに使うタイプのライダーであれば・・
自由なフロント変速はできなくなってしまうので、その場合は手変速にするのは厳しいでしょう。
しかし「フロント変速は状況に合わせて、時々できればOK!」という私のようなタイプであれば・・
手変速はデメリットが少なくメリットが多い、なかなか優れたスタイルになるのではと思います。
手変速フロントダブルの注意点
最後に、手変速フロントダブルの「注意点」を解説しておきます。
手変速フロントダブルには、フロントディレイラーがありません。
なのでフロントシングルと同じく「チェーン落ち対策」が重要になってきます。
フロントシングルのチェーン落ち対策については、
上の記事で詳しく解説しているのですが・・
手変速フロントダブルでも、ほぼ同じような対策が必要ですね。
具体的には、チェーン落ちを起こしにくい「ナローワイドチェーンリング」といった装備は有効でしょう。
手でチェーンを触って変速するので、手がオイル汚れしてしまう!も注意点です。
一瞬でも素手で触れば、どうしても黒く汚れてしまいます。
とはいえ、これはその程度のことは「気にしない」という方向性でも大丈夫だと思います。
もしくは、
上の記事で解説するような「ドライ系チェーンオイル」を使っても、手につきにくくできますし・・
その時だけ使う「ゴム手袋」なんかでも対策できます。
なのでまあ、何とかなるところだとは思います。
そしてもし「フロントシングルから」手変速フロントダブルに改造しようとするなら・・
フロントダブル用チェーンリングボルトが必要、というのも注意するべきところです。
チェーンリングボルトには、シングル用とダブル用があります。
そしてダブル用ボルトはチェーンリング2枚に対応する、ちょっと長めのもので・・
シングル用ボルトでは、チェーンリング2枚に対応することはできません。
なのでこの場合は、ダブル用ボルトの購入が必要になります。
ダブル用チェーンリングボルトは例えば、
私自身は上の記事で解説するような「スギノ社の鉄製」を愛用しています。
今回は手変速フロントダブルについて解説してみました。