ブロンプトンは、ポジション出しが難しい自転車です。
特に、ハンドル位置を合わせるのが難しいです。
サドル位置なら、高さの調整は簡単ですし、
ある程度前後にずらすこともできるのですが・・・
ハンドルは、ロードバイクのようにステムの長さで調整することができない構造ですので、
ハンドルが近すぎる・・と感じられた場合も、基本的にはそのままのハンドル位置で乗るしかないです。
私自身、デフォルトの状態ではハンドルが近すぎると感じていたので、
なんとかしてハンドルを前に伸ばしたい・・と思っていました。
いろいろと検討してみたのですが・・
たとえば「ハンドルポジションチェンジャー」を使った方法ですと、確かにハンドルは前に出せるのですが、
折りたたみサイズが大きくなってしまったり、不具合の原因になりうる余計な関節部分が増えてしまったり・・と、
デメリットがけっこう多いです。
そこで、いろいろと工夫をしてみた結果・・・
ハンドルバーを「ある製品」に交換するだけで、
折りたたみサイズを大きくすることなく、関節部分を増やすことなく、
2cm程度ハンドル位置を前に出すことに成功し、より快適な乗り心地を実現することができました。
この記事では、その方法を紹介していきたいと思います。
目次
ブロンプトンのハンドルを前に出す、いちばんスマートな方法
まず、ハンドルバーとして、2cm程度のライズがある「ライザーバー」を使います。
ライザーバーとは、曲げ加工してあるハンドルバーで、ハンドルの握る位置をより高い場所にできるものなのですが・・・
これを、前方に向かってライズさせるように装着することで、握る位置を前に出せないか・・と考えました。
とはいえ実際に合うハンドルバーは、現物合わせをしてみないとわからないので、
何本もハンドルバーを買っては、いろいろと試してみました。
そして、理想的に条件を満たしたのは「ギザディビアント」というメーカーの、580mm幅のハンドルバーでした。
(記事執筆時点で、Amazonやサイクルベースあさひの通販などで入手可能でした)
写真のようなものですね。
(予備を一本、買っていたのでそれを撮ってみました)
重さはバー単体で、実測で236gでした。
ハンドルバーとしては、少し重めかもしれません。
(そのぶん頑丈なことが期待されるので、私としてはむしろ良いと思います)
もちろん、うまく適合するライザーバーであれば、この商品以外のものでも大丈夫です。
ブロンプトンは、ハンドルバーのクランプ部分が25.4mmですので、
31.8mmのものを買ったりしないようにご注意ください。
なお、今回ベースとしているブロンプトンはSハンドルタイプです。
このハンドルバーを、前方向にライズするよううまく角度を調整して装着すると、
グリップ位置を2cmほど前に出すことができます。
赤色で入れたチェックのぶんだけ、ハンドルバーの固定位置に対して、
グリップ部分が前に出ているのが、おわかりいただけますでしょうか。
これがだいたい、2cmくらいです。
たった2cm・・と思われるかもしれませんが、
ポジション出しのときにはmm単位で追い込まれることも多く、
2cm・・つまり20mmも違うと、影響はかなり大きいです。
事実私は、このカスタムにより「窮屈だな。。」と感じていた状態から「ちょうどいいな」と感じる状態まで改善されました。
乗り方としても、ママチャリと同じくらい上半身がまっすぐの姿勢から、
クロスバイク程度の、そこそこスピードを出しても安定するくらいの前傾姿勢にできています。
そして思わぬ副産物として、重心を前にもっていきやすくなったことで、
坂を上るときにも重心が後傾しにくくなり、するすると上れるようになりました。
このカスタマイズをするときはハンドルバーの選択をミスってしまうと、
グリップがへんな角度になってしまいとても使いにくくなるのですが、
上で紹介した製品であれば問題ない角度に合わせることができる、と思われました。
なおかつ、角度をうまく調整すれば、折りたたみ時にもどこにも干渉しませんでしたし、
折りたたみサイズは大きくなるどころか、なんと、むしろライズのぶんだけ小さくなってくれます。
ハンドルのライズする方向が、うまいこと、折りたたみサイズを小さくする方向になってくれるので、
ハンドルがそのぶん、内側にひっこんでくれるんですね。
ブロンプトンの折りたたみサイズをすこしでも小さくしたい!というのは、
ブロンプトンオーナー共通の願いだと思いますし、
私自身も、小さくする手段があればなぁ・・と思っていましたので、
この方法は発見したときは、ものすごく嬉しかったですね(笑)。
ハンドルポジションチェンジャーのようなパーツを加える場合と違い、パーツ点数は変わりませんので、
がたつきや故障の原因となりうる、関節部分が増えることもありません。
デメリットとして、フロントの泥除けはどうしても干渉してしまうため、
外さざるをえませんでした。。
しかしフロントホイールからの水跳ねは、基本的にフレームで防御されるので、
フロント泥除けが装着できないことによるデメリットは、特に感じられませんでした。
フロントの泥除けを外すときには、ケーブルがホイールと干渉しないようにするパーツが追加で必要になってきますので、ご注意ください。
赤丸で囲んだパーツですね。
「CYCLETECH-IKD」など、ブロンプトンパーツを扱う通販などでも手に入ると思います。
ブロンプトンのポジション出し・・特にハンドルのポジション調整については、いろいろな方法が語られていると思いますが・・
ハンドルバー位置を前に出すということに関しては、この方法が一番スマートなのではないかと思いました。
ブロンプトンはふつうの状態で乗ると、通常、ママチャリに近いくらいアップライトなポジションになります。
しかし、いつもロードバイクに乗っているような方であれば、
もっと前傾してスピードを出したい・・と思われるかもしれません。
そして、このカスタマイズをしたブロンプトンですと、
ロードバイクと同等とまではいきませんが、だいたい、クロスバイクと同じくらいの前傾姿勢で乗れるようになります。
そのためデフォルト状態と比べると、かなりスピード感のある走りができるようになると思います。
(ポジションは、体格などで変わってくるところなのであくまで目安です)
ブロンプトンは好きなんだけど、ちょっとアップライトポジションすぎるので、
もうちょっと前傾したポジションでがっつり走りたい・・というタイプの方には、
かなりおすすめのカスタマイズです。
(ちなみに、私もそのタイプでした)
ここで紹介した方法や商品選択で、私のブロンプトンでは干渉など無く、問題なくおさまりましたが、
あなたご自身のブロンプトンに合うことまでは保証できませんので、ご自身で確認をお願いします。
サドルがずり下がって、ポジション出しが台無しになるのを防ぐ方法
上の、ハンドルを前に出す方法がうまくハマれば、
ポジションはかなり改善されるかもしれません。
しかし・・ブロンプトンは、ハンドル位置の調整が難しいことに加えて、
サドルがずり落ちやすいです。
ブロンプトンのシートポストは、ご存知のように、クイックリリースで固定するタイプなのですが・・
クイックリリースの締め付けの強さを調整するためのボルトが、使っているうちに、少しずつゆるんできてしまうのですね。
もちろん1日や2日で緩みはしませんが、何ヶ月も使っていると、いつのまにか緩んでいる・・ということが多いです。
そして走行中、サドルがいつの間にか、少しずつずり下がっている・・ということに気がつくわけです。
私はブロンプトンを買ったばかりの頃は、この「サドルがすこしずつ落ちてくる問題」に、けっこう悩まされました。
そもそもシートポストまわりの構造も知りませんでしたので、なぜずり落ちてくるのかもわかっていなかったです・・笑
サドルの高さは、1mm違うだけでも乗り味が違ってきますので、
ここもロードバイクなどでは、mm単位で追い込まれる超重要ポイントです。
そのためわずかでもずり落ちてしまうと、せっかく出したポジションは崩れてしまい、
完成したはずの乗り味は、台無しになってしまうのですね。。
シートポストの締め付けが緩んできてしまうこと自体を、完全に防ぐのは難しいですので、
私はクイックリリースの強さを調整するためのボルトを、「蝶ナット」に変更し、
クイックリリースの強さを、手だけで簡単に調整できるようにカスタマイズしています。
通常、この部分には六角ボルトがあり、六角レンチで操作するものなのですが・・
蝶ナットに変更することで、「クイックリリースの締め付けが弱いな」とか、「サドルが落ちてくるな・・」と思ったら、
クイックリリースを開き、手でナットを回し、クイックリリースを締める・・という動作だけで、
工具要らずで瞬時に、クイックリリースの締め付けをいちばん強い状態に戻すことができます。
この部分のナットは、クイックリリースを開いた状態だと手でも回せるくらいゆるくなり、
クイックリリースを閉じるとがっちりと固定される・・という仕組みになっているので、
こんな方法も使えるわけですね。
もちろん蝶ナットに変更せずとも、六角レンチで操作すればいいわけですが・・
工具セットからレンチを取り出したりするのは、ロングライドの最中などだと意外に手間です。
ましてや、「微調整」となると・・手でかんたんに調整できるようになるメリットは、大きいです。
この蝶ナットのサイズは、私のブロンプトンでは「M6」というサイズのものが適合しました。
モノとしては、ホームセンターなどで簡単に手に入るはずです。
(ナットのサイズは、ブロンプトンの型番などにより変わってくるかもしれませんので、あくまでご自身で計測をされてください)
クイックリリース部分のボルトを蝶ナットに変更するだけで、私の場合は、
いつでも簡単に、クイックリリースの締め付けがギリギリまで強い状態をキープできるようになり、
サドルがずり落ちてしまうのを常に、ほぼ完全に防げるようになりました。
クランク長を175mmに伸ばすと、さらに完璧なポジション出しが実現した
ハンドル、サドル・・ときたら、次はペダルですね。
ペダルそのものについては、私としては、三ヶ島製のフラットペダルが最強と考えており、
ブロンプトンにはその中でも「Ezy Superior」という取り外しタイプのペダルを装着してします。
(右ペダルは取り外す必要がないので普通のペダル、左ペダルだけ取り外し式・・という組み合わせですね)
外したペダルは、「deuter エナジーバッグ」という、ロードバイクなどのトップチューブに装着するバッグを、
ハンドル部分にうまく装着することができたので、そこに収納しています。
そして、ペダルの「ポジション」・・とくれば、調整するべきは、クランクの長さです。
ブロンプトンのクランクの長さは、ふつうは170mmになっていると思います。
ロードバイクやクロスバイクでもよく使われる、ごくごく普通の長さですね。
そしてクランク長の目安としては、175mmだと「長いクランク」、180mだと「すごく長いクランク」、165mmだと「短いクランク」
・・といったところだと思います。
どのクランク長が良いかについては、いろいろ言われていますが、
もしあなたが、デフォルトの170mmクランクで「ちょうどいい」と感じているのであれば当然、
クランク長を変える必要はないでしょう。
しかし私の場合、ロードバイクで175mmのクランクがちょうどよかったので、
試しにブロンプトンにも175mmのクランクを装着してみたところ・・圧倒的に乗りやすくなりました。
長いクランクの効果としては、ペダルに置く足の幅が広くなるので、自転車をより安定させる効果が望めます。
また、より長いテコが使えることになるので、同じ筋力や体重でも、より強いトルクが生み出せるようになります。
デメリットとしては・・回すべきものが長くなってしまうので、より大きく足を動かす柔軟性が必要になってくることと、
足の回転数・・つまりケイデンスを上げにくくなってしまうことがあります。
ブロンプトンはもともと、ロードバイクのように高いケイデンスで走る自転車ではないと思いますので、
より強いトルクが出せる、長いクランクのほうが向いているのではないか・・とは思います。
ちなみに私は、175mmのクランクとして「スギノ」の製品を使いました。
とはいえ・・ブロンプトンは特殊な自転車であり、いろいろと検討しながらパーツ交換をしないと、
干渉して取り付けできなかったり、取り付けたはいいけど折りたためなくなったり・・ということは、よく起きます。
クランクに限らず、もし装着に不安がある場合には、
ブロンプトンや小径車に強い自転車ショップに交換を依頼してしまうほうがいいかもしれないです。
私はクランク長を伸ばすことで、ブロンプトンのポジション出しはさらに完璧なものになった・・と感じましたが、
体格や乗り方によっては、むしろクランク長を165mmなどに短縮したほうが乗りやすくなるかもしれないです。
もちろん結果的に、デフォルトの170mmが最強だった・・ということになるかもしれません。
クランクの交換は専用工具も必要になり、じゃっかん難易度が上がってしまうのですが、
より完璧なポジション出しのためには、「クランク長」も試行錯誤するポイントになってくると思います。
ブロンプトンのクランク交換については、この記事に詳しく書きましたので、もしよければどうぞ。
試行錯誤してポジション出しを極めれば、ブロンプトンはもっと乗りやすくなる!
この記事で書かせていただいたのはあくまで、「私にとって」の最適な方法です。
ロードバイクのポジション出しの方法が、人それぞれであるように、
ブロンプトンのポジション出しの方法も、人によってさまざまになってくるはずです。
ブロンプトンは、ポジション調整の余地が少ない自転車で、
ロードバイクなどに比べると、最適なポジションを実現するのがなかなか難しいのですが・・・
それでも、いろいろと工夫すれば、もっと乗りやすいポジションが実現すると思いますので、
ぜひ、ご自身のブロンプトンとともに試行錯誤を繰り返して、
最適なポジションを実現してみては・・と思います。