折りたたみ自転車より軽くて、小さくて、安くて、気軽に扱える乗り物がほしいなぁ・・・
12kgのブロンプトン(折りたたみ自転車)を持つ腕に、しびれるような重みを感じながら、そう考えていました。
そんなある日・・「そうだ、移動用にキックボードを買ってみよう!」と思い立ち、
その日のうちにポチッと注文をしました。
そして届いたのが、冒頭の画像の製品です。
足で蹴って地面を進む・・電動じゃないタイプの、いわゆる「普通のキックボード」ですね。
そして買ってから実際に走り回ったり、何度か輪行してみたりしたので、
そのレビュー記事でも書こうかとしていたのですが・・
しかしある日、警察に「それは公道で乗ってはいけないです」との指摘を受けました。
そして後日、実際はどうなのか?を県警本部まで電話で確認し、お尋ねしたところ・・
「普通のキックボード」は、公道で乗ってはいけない!
という結論になってしまいました。
(あくまで私の居住地においての、管轄警察庁の判断ですが・・)
具体的にどんな経緯があって、乗ってはいけない!ということになったの?
そんなところも含めて以下、いろいろ解説していきます。
目次
普通のキックボードは、公道では乗れないという結論に
キックボードを買った私は、その日から通勤にプライベートの用事にと、自由に乗り回していました。
そして意外にも快適な走り、瞬時に折りたたんで持ち運べる輪行能力に・・
これは、移動手段の革命なのでは?くらいの可能性を感じていました。
なのですが、いつも通り乗り回していたある日・・
突然、どこからともなく「それは乗ってはいけませんよー!」との声が聞こえました。
見回して、声の主を探してみて・・ビビりました。
何と、地元警察からのお声がけでした。笑
パトカーの中から、注意喚起してくれたわけですね。
その場では特に止められたり、「ちょっと署まで」となったりはしなかったのですが・・
まじか・・?キックボードで公道を走るのはだめなのか・・?
もちろんそこが気になったので後日、いろいろ調べ直してみました。
調べていくと・・
キックボードは現在の日本では、「軽車両」なのか「遊具」なのか判断が微妙である、との事情があるようでした。
「軽車両」と判断されれば基本的に、扱いは自転車と同じになります。
そのため、ベルや反射板などの装備は必要になりますが・・
基本的には歩道や車道を、自転車同様の形で走ってよい、ということになると思われます。
そして「遊具」と判断された場合は・・
道路交通法 第五章 道路の使用等
第一節 道路における禁止行為等
第七十六条
三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
e-Govの道路交通法ページより抜粋し引用
道路交通法にこうあるように、「交通のひんぱんな道路では乗ってはいけない」という判断になるようでした。
(キックボードが上の条文の「又はこれらに類する行為」に含まれた場合は、この条項が適用されることになります)
しかし、どのくらいの交通量があれば「交通のひんぱんな道路」になるのかに明確な定義が無いため・・
実際に禁止するか?は現実には、その場その場で判断されているもの、ということのようでした。
やっぱり、乗ってはいけないのか・・?
それとも、乗っても大丈夫なのか・・?
これはもう直接聞くのが早い!と思い翌日、警察の交通課に電話し教えていただきました。
そして結論としては、「乗ってはいけない」ということになってしまいました・・涙。
まず「軽車両」なのか「遊具」なのかですが・・
警察としては「遊具」との判断である、とのことでした。
そして「遊具」の場合、「交通のひんぱんな道路」で乗ってはいけないわけですが・・
どういう道路を「交通のひんぱんな道路」と捉えるか?という質問に対しては・・
「公道はすべて交通のひんぱんな道路と捉える」考えで、すべての公道で乗らないでください、とのことでした。
住んでいる県の県警本部にまでつないでいただき、県警本部が出した結論ということでしたので・・
私が住んでいる場所では、これがファイナルアンサーとなります。
少なくとも私が居住する地域においては、「公道でキックボードに乗ってはいけない」という結論になってしまいました。
もちろん地域や管轄する警察署、また時期などによって結論が違ってくる可能性はあります。
なのでご自身が実際に乗ろうとしている地域や時代では、最終的にはどういうルールが適用されるのか?
ここはあくまでも、ご自身にてお調べいただければと思います。
小心者である私に、国家権力と喧嘩する度胸などあろうはずもありません・・
かくして私の「キックボードで小回り最強化計画」は、夢と潰えることとなりました。。
今後も浮気はせず、ブロンプトンとともに生きていこうと思います。
「国土交通省」にも聞いたけど、やっぱり難しそう
警察としては(私の聞いた限りでは)遊具扱いだったわけですが・・
「国土交通省では軽車両扱い」なので、そっちを参考にするならいける!
ネットでこういう情報を見て気になったので、直接、国土交通省にも聞いてみました。
しかし結論としては「国土交通省としても、普通のキックボードを軽車両とは扱わない」とのことでした。
なので普通のキックボードを自転車と同列に扱うのは、やっぱり難しいということになるでしょう。。
(くどいかもしれませんが・・あくまで私が聞いた範囲の話なので、実際に判断するときはあくまで自身でお調べください)
お問い合わせフォームから「電動ではない普通のキックボードは、軽車両に当たるか?遊具に当たるか?」をお尋ねしたところ、以下の返信をいただきました。
国土交通ホットラインステーションからのメールを引用
特に大事なところを抜粋すると・・
道路運送車両法施行令第1条において、「軽車両は馬車、牛車、馬そり、荷車、人力車、三輪自転車」と定義されているところですが、原動機のないキックボードは、このいずれにも該当しません。
国土交通ホットラインステーション メールを一部抜粋し引用
つまり、普通のキックボードは軽車両に該当しない、ということになると思われます。
そのため国土交通省のほうの考え方を軸にしても、やっぱり普通のキックボードで公道を走るのは難しい。。
残念ながら、こういう結論と言わざるを得ないと考えました。
じゃあ、具体的にどういう扱いをするのか?
ここのはっきりとした言及は、私の質問時にはありませんでした。
やっぱり微妙な、判断の難しいところなんでしょう。。
電動キックボードの法改正後も、やっぱり難しそう
2023年7月1日に、「電動」キックボードにかかわる法改正がされました。
そしてその中で特定の条件を満たせば、電動キックボードは歩道を走れるというルールが追加されました。
もともと電動キックボードは原付とあまり変わらない扱いでしたので、この変更は業界を大いにざわめかせたようです・・
なのでそれを受け電動キックボードが歩道を走れるなら、普通のキックボードも歩道を走って良くなったのでは?
そう思ってしまったのは、おそらく私だけではないはずです。
しかし、電動キックボードの法改正後も、普通のキックボードで公道を走るのは難しいだろう。
やっぱり、こう言わざるを得ない・・と私は結論づけました。
まず・・法改正の内容は、この警察庁のページで見ることができます。
そして一番のポイントとなる、電動キックボードが歩道を走れるようになった根拠を抜粋すると、
特例特定小型原動機付自転車に限り、道路標識等により歩道を通行できることとされているとき(※)は、その歩道を通行することができます。
※ 「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識が設置されている場所等を指します。
警察庁ホームページの該当ページより引用
特例特定小型原動機付自転車とは
特例特定小型原動機付自転車とは、特定小型原動機付自転車のうち、次の①~⑤のいずれにも該当するもので、他の車両を牽引していないもの(遠隔操作により通行させることができるものを除く。)をいいます。
① 歩道等を通行する間、最高速度表示灯を点滅させていること
② 最高速度表示灯を点滅させている間は、車体の構造上、6キロメートル毎時を超える速度を出すことができないものであること
※ アクセルの操作により特定小型原動機付自転車を6キロメートル毎時を超えない速度で走行させている場合は、この要件を満たすものではないため、特例特定小型原動機付自転車には該当しません。
③ 側車を付けていないこと
④ ブレーキが走行中容易に操作できる位置にあること
⑤ 鋭い突出部のないこと
警察庁ホームページの該当ページより引用
こうあるように「特例特定小型原動機付自転車」というカテゴリと認められることができれば、歩道を走れるわけですね。
しかし普通のキックボードは「特例特定小型原動機付自転車」とは、関係ない。
なのでやっぱり、それで歩道を走れるとかにはならない。。
ルールを見ていくとやっぱり、こういう結論になってしまいました。
まずそもそも特例特定小型原動機付自転車には、「特定小型原動機付自転車のうち」条件を満たすもの、という大前提があります。
特定小型原動機付自転車というのは、いわゆる電動キックボードのことで・・
普通のキックボードは原動機がついていませんので、もちろん特定小型原動機付自転車とは関係ありません。
なのでこの時点でこのルールは、普通のキックボードとは関係ない!となってしまいます。
さらに念のため「特例特定小型原動機付自転車」と認められるための条件を、①から⑤まで見ていくと・・
③、④、⑤については、普通のキックボードでも容易に満たすことができるでしょう。
しかし、
① 歩道等を通行する間、最高速度表示灯を点滅させていること
② 最高速度表示灯を点滅させている間は、車体の構造上、6キロメートル毎時を超える速度を出すことができないものであること
警察庁ホームページの該当ページより引用
これら①と②を、普通のキックボードが満たすことは困難でしょう。
最高速度表示灯なんて、普通のキックボードにつけられるものではありませんし・・
どうにか頑張ってつけたところで「車体の構造上、6キロメートル毎時を超える速度を出すことができないもの」にするなんて、不可能に近いでしょう。
そして①から⑤は「いずれにも該当するもの」が条件となっていますので、満たすのは難しい!ということになってしまいます。
という感じで、どんな視点から見ていっても・・
普通のキックボードは今回の法改正とは関係ないので、ここまでに書いてきた結論をなんら変えるものではない!
私はすこし期待していたぶん、残念でしたが・・やっぱり、こういう結果になってしまいました。。
キックボードは、輪行で海外に持っていくと便利かも
という感じで私がせっかく買ったキックボードは、物置きの肥やしになってしまいそうなのですが・・
そんなキックボードも「海外輪行用」としてなら、もしかしたら使えるかもしれません。
私は自転車を飛行機に載せてもらって運ぶ「飛行機輪行」を、日本国内では何十回も経験しているのですが・・
破損してしまった自転車を受け取ったり、預けた自転車を遺失してしまったりした経験は一度もありません。
ANA、JAL、スターフライヤー等航空会社スタッフの方々には、ほんとうに感謝しかありません。
しかし「海外旅行」だと、向かう国や利用する航空会社にもよりますが・・
自転車は日本国内の輪行の場合より、はるかに手荒に扱われてしまいます。
ロストバゲッジに遭ってしまう可能性も、国内よりはずっと高いと言えるでしょう。
現在、定価だと20万円以上もする上、愛着もあるブロンプトン(愛車、折りたたみ自転車)が・・
破損してしまった状態で手渡されたり、ましてやロストバゲッジに遭ってしまったりするのは、とても耐えられません。
そのため、海外輪行をするときはキックボードを持っていくのが良いのではないか、と考えるようになりました。
キックボードであれば、構造がとても単純で、繊細で壊れやすいパーツは使われていないため・・
手荒に扱われたとしても、大きく破損してしまう可能性は低いでしょう。
たとえ完全に破損してしまったり、ロストバゲッジに遭ってしまったとしても、被害額は最大で2万円以下です。
かつ、キックボードは日本では使えなかったわけですが、海外では普通に使える国のほうが多いようです。
また実際に海外輪行する際には、詳しく調べる必要がありそうですが・・
たとえばパリなどではふつうに大人の交通手段として使われていますし、アメリカでも流行しているようですね。
移動手段としても、街中であれば徒歩よりはずっと速く移動できる手段となるため、持っていく価値は十分にあると思われます。
実際に海外輪行をしたら、またご報告できたらと思います。
と、いうわけで・・
「キックボードは日本での移動用には、使えなかった。。」
「しかし海外輪行用としては使えそうなので、いちおう持っておこう!」
というのが、私なりの結論となりました。
「普通のキックボード」は、こんな製品
と、こんな感じで私の住んでいるエリアでは普通のキックボードは、公道で使えないことになりました。
なので今回買ったキックボードも、とりあえずお蔵入りとなります・・泣
しかしせっかく買ったものですし、それなりの時間乗り回しもしましたので・・
どんな製品だったのか?走り心地はどんな感じなのか?
何かの役に立つかもしれませんので最後に、ここも解説しておこうと思います。
まず・・私はキックボードとして「FRENZY FR205DB」という、わりと有名な製品を購入しました。
価格としては、2万円弱といったところでした。
折りたたんだ状態では、以下のようになります。
コンパクトさで有名な折りたたみ自転車の「ブロンプトン」と比較しても、もっとずっとコンパクトになります。
重量は、特になにも装備しない状態で、実測で4.5kgでした。
一般的な折りたたみ自転車の、実に半分以下という軽さです。
この機種だと、肩にかつぐためのバンドが標準装備されているのですが・・
実際に、これを担いで1時間ほど街中を歩いてみたのですが、ほとんど負担とは感じませんでした。
折りたたみ自転車や分解したロードバイクは、10分も持ち運んでいるとかなりの負担と感じてしまいますので・・
「持ち運び」に関してはやはり圧倒的に有利だ、と感じました。
速度としては・・特にがんばらず、ふつうに走ってみたときの時速は、10-12km/h程度でした。
自転車よりは圧倒的に遅いのですが、徒歩よりは圧倒的に速い、という感じです。
徒歩と自転車の中間くらいの速度、という感覚でしょうか。
自転車に使われるエアタイヤとは違い、ポリウレタンという硬いゴム製のタイヤですので・・
自転車だと気にもならないような、ちょっと粗い程度のアスファルトであっても、ものすごい振動を感じます。
またそのようなガタガタ道だと、大きく減速してしまうので・・
何度も何度も地面を蹴らなければ進まなくなり、かなり大変です。
さらにキックボードは、上り坂にものすごく弱いです。
キックボードは片足で地面を蹴って進む仕組み上、エネルギー効率はものすごく悪いです。
なので両足でおもいっきりペダルを回せる自転車と比べて、出せるパワーはものすごく弱いのですが・・
平坦であれば慣性がきくので、それでもそこそこのスピードが出ます。
しかし上りでは慣性が使えませんので、たとえわずかな上りであっても、まったく進まなくなってしまいます。。
自転車だと気にもならないような上りでさえ、歩いたほうが早いと思えるほどに遅くなります。。
しかも、何度も何度も地面を蹴ることになるので、疲れ方も半端ないです。。
そのため上りではほとんど活躍できない乗り物、と思っていいと思います。
ブレーキはフェンダーブレーキといって、後部にある泥除けを上から踏むことでかけるブレーキがメインです。
これがなかなか強力で、真上から体重をかけて踏むようにすれば自転車のブレーキとあまり変わらないほどの制動力が出ると思いました。
(あくまで個人の感覚で、また雨など状況によっては大きく変わります)
そもそもキックボードは自転車に比べると速度が低く、そのため求められるブレーキ性能も低くなります。
フェンダーブレーキは指で握るブレーキに比べると、とっさに掛けるのが少し難しいのですが・・
そのかわりキックボードだと、地面に足を着くことで、とっさにブレーキを掛けることもできます。
そのためブレーキ面での安全性には、特に問題ないだろうと思いました。
「折りたたみ」もとても簡単です。
2つ折りにするだけなら1秒で、
完全に折りたたんでしまうとしても15秒もあればできます。
2つ折り状態でも、ハンドルの角度などを工夫すればかなり小さくでき、コンビニくらいなら問題なく入っていくことができます。
・・コンビニの入り口まで乗りつけて、一瞬で折りたたんでそのまま入っていけるのは、なかなかの快感です。
電車に載せるのであれば、完全に折りたたむほうがいいと思います。
電車輪行についてですが・・
JRのルールをそのまま読むのであれば、キックボードは袋に入れたりせずに、電車に持ち込んでもよいことになります。
無料のもの
・旅行鞄、スーツケース、スポーツ用品(サーフボードは専用の袋に収納したもの)、楽器、娯楽用品、玩具、その他携帯できる荷物
※スポーツ用品、楽器、娯楽用品などは、長さの制限を超える場合であっても、車内で立てて携帯できるものは持ち込むことができます(専用の袋、ケースなどに収納するようにしてください)。・サイクリングやスポーツ大会などに使用する自転車は、解体し専用の袋に収納したものまたは、折りたたみ式自転車においては折りたたんで専用の袋に収納したもの
・身体障害者補助犬法に定める盲導犬、介助犬、聴導犬を使用者本人が随伴する場合。ただし、法に定める表示等を行っている場合に限ります。
・車イスで、長さ・高さが120センチ以内で、幅が70センチ以内のもの
JR東日本 公式サイトより引用 関連:旅客営業規則第308条
上は、この記事の執筆時点での、JR東日本の輪行にかかわるルールなのですが・・
自転車に関しては、「専用の袋」に収納するというルールになっています。
専用の袋というのはまあ、輪行袋のことですね。
自転車で輪行をされる方にとっては、常識と言えることかもしれません。
しかしキックボードは、法律上、自転車と同じとは扱われないです。
そして袋に収納すべきとなっているのは、自転車以外では「サーフボード」だけですので・・
キックボードは袋に収納する義務はない、と言えると思います。
しかし・・キックボードは道を走る道具である以上、ホイール部分に泥などはついてしまいます。
袋に入れずそのまま持ち込んでしまうと当然、泥だらけになったホイールが他の人や、車内のシートなどに当るかもしれず・・
当たった場所を汚してしまう可能性はあります。
場合によっては、トラブルの原因になるかもしれません。
そのため私としては、ルールでこそはっきり規定されてはいないものの・・
マナー上は、袋に入れて輪行したほうがいいのではないかと感じました。
総合的に考えると・・
やっぱり長距離の移動では、キックボードより自転車のほうが圧倒的に上です。
しかし持ち運びの気軽さを優先したいときは「アリ」な乗り物・・という結論になりました。
とまあ、いろいろ書いてみたのですが、結局使えないのでしばらくこういったノウハウは使えないのですが・・笑
もし日本で法律が変わったり、海外移住することになったりしてキックボードを使えるようになったら・・
また、がっつり使い倒してやろうと思っています。
この記事では普通のキックボードは公道を走れるの?をテーマにお話ししました。