脚には、いろいろな筋肉があります。
書籍「身体運動の機能解剖」より引用
まあ、なんかめっちゃ、いろいろありますよね・・笑
しかし、「自転車で重要な筋肉」というのは、限られると思います。
まあ、それでもけっこう、いろいろあるのですが・・・
私個人の意見としては、自転車でペダルを回すのに重要な筋肉は、「腸腰筋」と「大殿筋」のツートップだと思います。
以下、それぞれの筋肉について、
自転車における重要性から、徹底的に語ってみます。
目次
腸腰筋
まず、腸腰筋です。
有名な筋肉ですので、聞かれたことのある方も、
詳しくご存知の方も、多いはずです。
武道では「達人の筋肉」とか呼ばれることがあるものですし、
自転車以外のスポーツでも、重要視されることが多い筋肉ですね。
なお腸腰筋は、「腸骨筋・大腰筋・小腰筋」の3つの筋肉の総称なのですが、
ここではわかりやすさを重視し、「腸腰筋」とひとまとめで呼ぼうと思います。
書籍「身体運動の機能解剖」より引用
腸腰筋についての基本的のところは、以上のようになります。
重要なこととしては、まず、
「股関節を屈曲」する筋肉である、というところです。
上の画像の、赤丸をつけているところに、
「機能」のひとつして、書いてありますよね。
股関節を屈曲するというのは、股関節を曲げる動作・・・
つまりは、「もも上げの動作」です。
厳密にはちょっと違うかもしれませんが・・・
ここでは、ざっくりと解説します。
そしてもも上げの動作は、ペダリングでも重要なはずです。
もも上げ動作はペダル角度でいうと、7時-1時くらいの、
つまりは引き足を使うような範囲で、力を発揮するはずです。
なので腸腰筋がちゃんと使えていれば、ペダルを「下から上にあげる」範囲で、
ちゃんと、パワーを掛けることができるようになります。
なぜ自転車において、もも上げ動作は重要なのか?
人間は自転車に乗ると、ほとんどの場合で、
「踏みおろし」優位になってしまうからです。
脚を「踏みおろす」とき、人間は、かなりナチュラルに力を発揮することができます。
空き缶に、足を踏みおろすのがものすごく弱い・・という人は、なかなか居ないはずです。
体重にもよりますが、特に鍛えていたりしなくても、
空き缶を踏み潰せるくらいのパワーは普通に、出せるものでしょう。
しかし脚を「上げる」動作は、難しいものです。
かなりの練習でもしない限りは、
脚を「上げる」強さは、脚を「踏み下ろす」強さよりも、
はるかに弱くなってしまうものです。
なので、「踏みすぎ!」「踏むな!回せ!」とかいうのは、
自転車の世界で、よく言われる言葉になってくるのです・・笑
しかしここで、腸腰筋をちゃんと使えるようになって、
「股関節を屈曲する」動作が、ちゃんとできるようになっていれば・・・
脚を「下ろす」動きも、「上げる」動きも、バランスよくできるようになりますので、
ちゃんと円を描くような、「踏みすぎないペダリング」が実現するのだと思います。
腸腰筋は単純に、強いパワーが出る大きい筋肉ですので、
これが使えるというのは、パワー的にも有利だと思います。
そして・・・「腸腰筋を使える」ようになるために、
ひとつ、注目してほしい、重要ポイントがあります。
それは・・腸腰筋はおなかの中にある、ということです。
Windows用アプリケーション「ヒューマン・アナトミー・アトラス」より引用
上の画像で、茶色く表示されているのがすべて、腸腰筋なのですが・・・
まあ、ひと目でわかるように、おなかの中にありますよね。
おなかの中でも、背中側の、腰の骨のまわりに見えるはずです。
ちなみに基本的に、外から触れる筋肉ではなく、
おなかの奥のほうにある筋肉です。
ですので・・・
腸腰筋は、脚を動かす筋肉でありながらも、
脚そのものではなく、「おなかの中」を意識しながら動かす筋肉なのです。
ここが、難しいところだと思います。
脚で、強くペダルを回そうとするときは、
ついつい、脚そのものに意識を集中してしまうと思うのですが・・・
そうなると、おなかの中にある腸腰筋はもちろん、動きませんよね。
腸腰筋をちゃんと使いたいなら、脚を、強く使いたい状況であっても、
「おなかの奥から、脚を動かす!」
そういった意識が、重要なのだと思います。
まあ、私自身、目下練習中のことなのですが・・・笑。
末端ではなく、体幹から身体を動かす・・というのは、
腕においても変わらず、大事だと思います。
たとえばボクシングのパンチも、手だけで打ったのでは、ぺしぺし程度のパンチになりますが、
腰・おなか・胸・肩甲骨・肘・・と、よりからだの根っこに近いところから使うことで、
ズドン!・・という、強力なパンチになるはずです。
自転車でも同じく、脚だけとか、足先だけとかを使うのではなく、
体幹・・つまり腸腰筋といった深いところから、しっかり使ってあげる!というのが、
大事なんだと思います。
大殿筋
そして、腸腰筋と対になる筋肉・・・「大殿筋」ですね。
大殿筋はざっくり言うと、いちばん大きい、おしりの筋肉です。
書籍「身体運動の機能解剖」より引用
情報としては、上のような感じですね。
大殿筋は、おしりをおもいっきり締めるときに使うような、
「ザ・おしりの筋肉!」とでも言えるような筋肉です。
そして、大事な機能のひとつに、
「股関節の伸展」があります。
つまり、股関節を、曲げたところから伸ばす動作ですね。
つまり「腸腰筋」と、真逆の動作です。
この、「股関節の伸展」・・・
ペダルを、「上から下に下ろす」ときに、強力に使われる動きです。
これまた、腸腰筋とは真逆ですね。
上でお話ししたように、人間は、脚を上から下に「踏み下ろす」動作は得意です。
大腿四頭筋・・つまり、ふともものメイン筋肉とか、
腓腹筋・・つまり、ふくらはぎの筋肉とかをフルに使って、
誰も簡単に、強力に踏みおろせるわけですね。
しかし・・・脚を上から下におろす動きにおいて、
いちばん強いのが基本的に、大殿筋です。
「筋肉は、末端より中枢が強い」という原則からみても、
それは、自然なことでしょう。
なのでペダリングにおいて、強力に脚を、下に下ろそうとするのなら・・・
足先とか、末端のほうを使うのではなく、
大殿筋をフルに使って、その大きなパワーで下ろすのが重要なのです。
逆に、大腿四頭筋だけを使いすぎて、ふとももを痛めてしまうとか、
つま先だけを使いすぎて、ふくらはぎばっかり痛めてしまう・・とかいうのは、
力の使い方としては、あまり良くない状態だと思います。
そして、脚を「上げる」筋肉・・・腸腰筋と、
脚を「下げる」筋肉・・・大殿筋。
これら「上げる」筋肉と「下げる」筋肉とをバランスよく、コラボして使うのが、
いちばん強力に、ペダルを回すコツなのではないか・・と、思います。
「股関節を動かせる」のは、すごく重要!
ここまでに紹介してきた、「腸腰筋」と「大殿筋」は、
それぞれが、「股関節」を動かす筋肉です。
Windows用アプリケーション「ヒューマン・アナトミー・アトラス」より引用
股関節は、上の画像で、赤丸でお示しした関節ですね。
そして股関節は、ボールのような構造が受け皿にはまっている、「球関節」という構造で、
この構造によってあらゆる方向に、自由に動くことができます。
基本的に一方向にしか動けない「膝」あたりとは、えらい違いですね。
この、「あらゆる方向に動かせる」という特徴は、
実は、ペダリングにすごく向いている特徴なのです。
ペダリングでは、正しい円の形に、脚を運ぶことが求められます。
正しい円を描く・・というのは、コンピューターには簡単でも、
人間の脚にとってはなかなか、むずかしいことですよね。
もともと人間の脚は、「正しい円を描く」なんて動作に対応するよう、
できていないからです。
しかし「股関節」が自由に動かせれば、もちろん、
「正しい円を描く」なんて動作もかなり、やりやすくなるはずです。
しかも中枢のほうの関節ですので、強力に動かせます。
自由に動かせる、股関節をちゃんと使える!というのは、
自転車では特に、重要なことなんですね。
なので・・自転車で、ペダルをうまく回せるように脚の筋肉を使いたい!という場合には、
股関節を動かす筋肉・・つまり腸腰筋や大殿筋に注目すると、いいと思います。
以上、自転車に乗るときに特に重要と思う、
「腸腰筋」と「大殿筋」について語ってみました。
書いたことについては、
けっして私自身が完璧に実践できているとか、そういうわけではありません。。
むしろ書いたことを実践できるように、練習中という面が強いです・・笑
とはいえこの記事が、自転車の乗り方を練習する方の、
なんらかの参考になってくれれば幸いです。