フラットバーロードとクロスバイクは、ぱっと見では、すごく似ています。
しかし実は、まったくの別物です。
フラットバーロードは、ロードバイクに通常ついているドロップハンドルを、
フラットバーハンドルに改造したものです。
いわゆる「フラットバーロード化」ですね。
もしくは最初から、ロードバイクをフラットバー仕様にしたものが売られていたりもします。
そしてクロスバイクは、言わずと知れた、
ロードバイクとマウンテンバイクのハイブリッド的自転車で、
これもフラットバーハンドル装備です。
通常、フラットバーハンドルは、ドロップハンドルより小回りに強く、
街乗りに強いことが多いですので、
それぞれ、街乗り向きの自転車だ・・として、紹介されることも多いです。
フラットバーロードとクロスバイクは両方、フラットバーハンドルの自転車ですし、
通常、それぞれ似たようなダイヤモンドフレームですので、
正直、ぱっと見ではどっちがどっちか、まったく分からないです。
バーハンドルの自転車をさっと見せて、
これはフラットバーロードですか?クロスバイクですか?と聞いて・・・
答えられる人は、なかなか居ないと思います。
と、見た目だけならものすごく似ている、この2車種なのですが・・・
実は、実際に乗ってみると、まったく別物!!と言えるくらいに、乗り味が違ってきます。
なので後悔しないためには、じっくり検討しておくのがおすすめなのです。
すべての機種について、一概にまでは言えませんが・・・
具体的には、
フラットバーロードのほうが、機敏に動き、
クロスバイクのほうが、安定感が高い、ということが多いです。
そのため、フラットバーの自転車が欲しい!と思ったときに、
フラットバーロードでもクロスバイクでも、どっちでもそんなに変わらないだろう・・と思って買うと、
実は、ぜんぜん求めていた挙動と違った!・・と、いうことになるのです。
なぜ、フラットバーロードは、クロスバイクより機敏な挙動になるのでしょうか?
鍵は、「トップチューブ長」にあります。
トップチューブ長は、フレームの、
いちばん上のパイプ・・つまりトップチューブの長さのことですね。
そしてたとえば、下に示すのは、
GIANTのロードバイク「TCR SL」のジオメトリーなのですが・・・
GIANT公式サイトより引用
この、GIANTでも一般的なロードバイクのトップチューブ長は、
フレームサイズSで、535mm、
フレームサイズMで、550mm、です。
そして下のものは、同じくGIANTの一般的なクロスバイク、
「Escape RX」のジオメトリー表です。
GIANT公式サイトより引用
トップチューブ長は、
フレームサイズSで、555mm、
フレームサイズMで、575mm、です。
同じフレームサイズ同士で比べてみると・・・
クロスバイクのほうがロードバイクより、2.0-2.5mmほど長いんですね。
今回比較した車種以外でも、
だいたい、似たような感じです。
そしてトップチューブは、長いほど車体は安定し、
短いほど機敏に動きます。
あくまで、一般的には、ですが。
そして、ジオメトリーというのは、
たった数mm違うだけでもけっこう、車体の挙動が違ってくるものです。
つまり・・これだけトップチューブ長が違うフレームで、
同じようにフラットバーハンドルをつけて走れば、
挙動がぜんぜん違ってきて、当然なんですね。
・・・なぜ、ロードバイクとクロスバイクとで、
こんなにトップチューブ長が違ってくるんでしょうか?
そもそも、ドロップハンドルは、
フラットバーハンドルよりも長いものです。
GIANT公式サイトより引用
さきほど挙げた2車種の、ハンドル部分を比べると、
こんな感じなのですが・・・
まあ、比べるまでもなく、
ドロップハンドルはフラットバーハンドルより、
かなり、「前に長い」のです。
そして、長いハンドルに、長いトップチューブを組み合わせると、
ハンドルが遠すぎて、手が届かなくなってしまいますよね。
なので、ロードバイクフレームのトップチューブは、
クロスバイクフレームよりもかなり、短めに設定されているのです。
その、トップチューブが短いロードバイクフレームに、
前に短い、フラットバーハンドルを組み合わせると・・・
まあ、かなり、機敏な動きになるわけです。
逆に、もともとトップチューブが長いクロスバイクフレームに、ドロップハンドルを装着してみると・・・
ハンドルが遠すぎて、まともに握れなくなる場合があります。
クロスバイクのロードバイク化、ドロップハンドル化は、けっこうされるカスタムではあるのですが、
このあたりの事情を考えてやらないと、失敗するかもしれないです。
・・・と、つまり、フラットバーロードはそういう理由で、
クロスバイクなどどいった一般的な自転車より、
かなり機敏でクイックな挙動になっています。
そのため、フラットバーロードをあえて選ぶのであれば、
そのあたりの事情を知ったうえで選ばないと、
あれ?なんかやたらと挙動がクイックだぞ・・ということになりかねないのです。
もし、フラットバーハンドルの自転車を検討しているのであれば、
参考にしていただければ・・と思います。