カーボンフレームの寿命って、どのくらい?

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カーボンフレームの自転車

カーボンフレームの自転車に乗っているけど・・

もしくは、カーボンの自転車を買おうかな?と迷っているけれど・・

カーボンフレームの寿命って、どのくらいなの?

 

カーボンはこの記事を書いている現在、とてもメジャーなフレーム素材です。

そして、カーボンフレームのロードバイクなどを使っている場合・・

  • 寿命って実際、何年くらいなの?
  • 寿命を削る「弱点」とか、あるの?
  • 壊れるときは、どんなふうに壊れるの?

というのは、知っておきたいところです。

 

たとえば寿命が何年か?が分かれば、今のフレームにいつまで乗るか?とか・・

壊れる予兆に気をつけるほうがいいかな?まだいいかな?とかが分かるからですね。

 

なのでこの記事では「カーボンフレームの寿命」について徹底解説していきます。

カーボンの特徴は「衝撃に強くダメージに弱い」

自転車に使われるカーボンって、どんな素材なの?

カーボンフレーム寿命を考えるにあたって、ここはもちろん大事なところです。

 

カーボンが物理的にどういうものか?は、イメージしにくいかもしれません。

これが例えば「鉄」だと、イメージしやすいはずです。

どのくらいの硬さなのか?どんな感じで折れたり曲がったりするのか?など・・

たとえば太さ5cmの、中身が詰まった鉄の棒は、人間がどう頑張っても折れないとイメージできますよね。

 

しかしカーボンは身の回りにそう多くないのもあって、ちょっとイメージしづらいです。

なのでイメージしやすいように表現してみると・・

繊維によって強化された、とてつもなく硬いプラスチックという感じです。

 

自転車に使われるカーボンは、正しくは「CFRP:炭素繊維強化プラスチック」というものです。

 

まず「カーボンファイバー」という、炭素によって作られた繊維があって・・

これを布のように編み込むことで「カーボンクロス」が作られます。

そしてカーボンクロスをプラスチックと複合させ、形をつくることで「炭素繊維強化プラスチック」が出来上がります。

 

なのでカーボンフレームは、カーボンクロスの貼り合わせ方により「特性をコントロールする」ことができます。

たとえば縦方向の衝撃がよく掛かるところでは、縦に強くなるように繊維を重ねるとかですね。

 

そのためカーボンフレームは、こういったカーボンならではの工夫によって・・

自転車に掛かる一般的な衝撃に対して、とても強い構造を作れるのです。

 

ここは元からあるものを切り出すしかない、「鉄」や「アルミ」より有利なポイントですね。

なのでカーボンフレームは普通に乗っている限りでは、寿命は長くなりやすいです。

 

しかし、こういった事情によりカーボンフレームは「想定外のダメージに脆い」という弱点をあわせ持ちます。

たとえば縦方向に強くしよう!と、カーボンを編み込んだ部分に・・

横方向からの力が掛かればどうしても、弱くなってしまいますよね。

 

なのでカーボンフレームは例えば、鉄のポールにぶつけたり階段のカドにぶつけたり・・

そういったダメージに弱い、という特性になりやすいです。

もちろんメーカーも、そこまで脆弱にはならないよう工夫するものですが・・

それでも鉄やアルミといった素材に比べると、どうしても脆くなりがちですね。

 

と・・自転車に使われるカーボンの基本的な特性については、こんな感じです。

カーボンフレームの寿命は「品質」に左右される

そのカーボンフレームは、どのくらいの「品質」なのか?

どのくらいのレベルの加工技術で、作られたものなのか?

カーボンの寿命においては、ここも大事になってきます。

 

これが「鉄フレーム」だと、作製技術による寿命の違いは、そんなには無いはずです。

鉄のフレームは「もともと存在する鉄の、形を変えて作る」ようなものですので・・

どんな技術で作られたとしても「素材そのものの質」には、さほど大きな違いは起きません。

 

しかしカーボンフレームは「ゼロから生成する」ようなものです。

何の形も無いところから、カーボンファイバーを編んで、樹脂と合体させて・・

それでようやく「カーボンフレーム」としての形をつくり上げるわけですよね。

 

なのでカーボンフレームは「作製技術」によって、物質としてのレベルそのものが変わってくるのです。

素材そのものの硬さとか耐久性とかが、ダイレクトに変わってくるわけですね。

そしてもちろん高度な技術で作られた場合のほうが、低い技術で作られたものより頑丈になりがちです。

 

具体的には「炭素繊維の含有量」といったものが違ってくるようです。

カーボンフレームは、炭素繊維と樹脂でできているわけですが・・

強度が高いのは炭素繊維のほうですので、高い技術により樹脂を減らし、炭素繊維をぎっしり詰め込むことで強度を上げるわけです。

「ドライカーボン」と呼ばれる技術で、この技術のレベルの高さによって強度は変わってくると思われます。

 

実際のところ、カーボンフレームが世に出始めた「初期」の頃には・・

すぐに割れてしまうとか、レース中にいきなり破断するとかが頻発していたようですね。

そして比べると現代のほうが、耐久性はずっと高いようです。

 

とはいっても、現代日本で売られているカーボンフレームには、そうダメダメなものは少ないようです。

カーボンフレームはもはや定番ですし、技術的にももう十分進歩しているようですので・・

 

とはいえカーボンフレームの耐用年数は、その品質に左右されやすい!

ここも寿命を考えるときには、把握しておいたほうがいいところです。

カーボンフレームは「紫外線」に弱い?

紫外線」に弱い

も、カーボンの特徴のひとつです。

 

プラスチックが紫外線で劣化するのは、イメージしやすいと思います。

例えばプラモデルを、直射日光のもとにずーっと、何日も置いていたら・・

すぐに脆く、ボロボロな状態になってしまいますよね。

 

そして自転車に使われるカーボンも、プラスチックによって形づくられています。

もうひとつの要素「カーボン繊維」のほうは、紫外線でダメージはまず受けないようですが・・

プラスチックのほうが劣化すればもちろん、フレームとしては脆くなってしまいますよね。

 

これは鉄などの金属と比べると、かなり大きな特徴です。

鉄は屋外でサビこそすれ、紫外線で劣化なんてまず起きません。

なので直射日光にずっと当てていても、強度はそうそう落ちないはずです。

 

と、紫外線も弱点のひとつとして挙げてはみたのですが・・

現代では技術レベルが上がって、問題にならなくなっている

というのも、知っておくべき要素のようです。

 

技術というのは、紫外線が樹脂まで届かないようにする「コーティング」の技術とか・・

もしくは含まれる樹脂の量を減らし、劣化が問題にならないようにする「ドライカーボン」技術とかですね。

これらが発達してきた結果、現在は紫外線でカーボンフレームはそうそう劣化しなくなっているようです。

 

とはいえ、絶対問題ない!とまでは言えないところのはずです。

なのでカーボンフレームは紫外線で劣化する可能性が、少ないながらもある・・

なので万全を期すなら、できるだけ室内保管のほうが良いだろう。

と、そういった要素も考えておくほうがいいとは思います。

カーボンフレームは「修理」が難しい

もし万が一、フレームが壊れてしまった場合でも・・

また修理して使うことができるのなら、それは寿命とは言えません。

 

たとえばクロモリ(鉄製)フレームは、壊れても修理しやすいことで有名です。

「溶接」という、とても一般的な方法でさくっと復活できますので・・

たとえば世界一周をしていて、発展途上国の小さな町工場で直してもらった、なんてエピソードも聞きますね。

 

しかしカーボンフレームは逆に、修理が難しいことで有名です。

理由はもともと、高い技術を使って作られているからでしょう。

なのでそう簡単に、ぽん、と修復できるものではないんだと思います。

 

修理は可能ではあるのですが、専門の工場や設備が必要ですし・・

直せたとしても、強度や性能がもとより落ちることは多いようです。

そして修理のための「値段」も、もう新しいフレーム買ったら?と思うくらい高くなるようですね。。

 

なのでカーボンフレームが壊れてしまった場合は、修理はなかなか難しいんだ・・

ここも寿命を考えていくうえでの、大事なポイントとなってきます。

カーボンフレームの寿命は、何年くらい?

と、カーボンフレームの寿命を考える要素を、いろいろ挙げてきたのですが・・

それで結局、カーボンフレームの寿命って何年くらいなの?

ここが一番大事なところです。

 

そしてもちろん条件によって違ってくるので、一概には言えません。

しかし、ここはあえて書いてみると・・

  • 理想的な扱いをすれば、10年以上は軽くもつ
  • 雑な扱いをすれば、ぽきっ!はい寿命!となりやすい

という感じになるでしょう。

 

そもそも炭素繊維の寿命そのものは、100年以上とかあるようです。

なので「繊維そのもの」が崩れて、使えなくなる・・ということは基本的に起きません。

なのでカーボンフレームに寿命が来るということは、フレームとしての「形」を保てなくなるということです。

 

そして形を保つ寿命という目線でみても、現代でのカーボンでは相当長いようですね。

条件によっては、金属を軽く越える寿命があるようで・・

破損事例などいろいろ見ていても、10年くらいは普通に持つのではないかと思われます。

 

とはいえ、それは「理想的なレベルの、デリケートな扱いをした場合」です。

上に書いたようにカーボンは、ダメージに対して脆かったり、劣化しやすかったりしますので・・

「雑な扱い」をすると、一気に寿命がきてしまいます。

 

例えば自転車を倒してしまって、運悪く階段のカドに激突して、フレームがおもいっきり割れた!

こうなるとそのフレームは基本的に、一発で使えなくなります。

補修もなかなか難しかったり、高価だったりするわけですよね。

 

とはいえもちろんこのあたりは運で、雑に扱ってもなにも問題ないこともありますし・・

なので最終的な寿命はどのくらいか?は、まったく一概には言えないです。。

 

とはいえカーボンフレームは理想的に扱えば、相当長く持つ!

しかし大きなダメージを与えたりすると、あっさり壊れることがある。。

このあたりは、大きな間違いは無いと思います。

「超軽量カーボンフレーム」は寿命が短い

一般的にカーボンフレームの寿命は、上のような感じなのですが・・

気をつけておくべき要素として、「超軽量カーボンフレーム」があります。

 

カーボンフレームには、ものすごく軽い製品があります。

安いアルミフレームと比べると、実に半分とか、3分の1とかいう重さのものですね。

 

そういった超軽量カーボンフレームは、ほとんどがレース用に作られます。

特にツール・ド・フランスといった最高峰のレースだと、フレームにも最高レベルの軽さが求められるので・・

そういったレースではほぼすべてのライダーが、超軽量カーボンフレームを使っています。

 

そして超軽量カーボンフレームは、一般人でも手に入れることができます。

そういったフレームを使った、完成車が店で売られていますし・・

通販でそういうフレームだけを手に入れることもできますね。

 

なのですが・・超軽量カーボンフレームは、特に寿命が短いものですので、要注意です。

 

理由は、超軽量カーボンフレームはレースに特化し、日常使用での耐久性は考慮されていないからですね。

最高級の軽量カーボンフレームを、ママチャリのように使う人などまず居ません。

なので「レースの期間」「レースの状況」における負荷にさえ、耐えられればいいわけですね。

 

なのでひとつのフレームが、たった数ヶ月で乗り潰される場合もあるようですし・・

「レースでフレームにかかる負荷」というのは方向などが限られますので、それ以外のダメージには脆いでしょう。

 

そもそも軽い工業製品は脆いものというのも、理由のひとつです。

軽いということは、使っている材料そのものが少ないということですので・・

さまざまな技術を使ったとしても、どうしてもその「頑丈さ」は重いものに劣りがちです。

 

むしろ安い、一般的に売られているカーボンフレームのほうが、寿命は長いと思われます。

そういったフレームがぽきぽき折れていたら、どれだけのクレームが来るかわかりませんので・・

 

しかしカーボンはカーボンでも「超軽量」は別物!

寿命が、すごく短い可能性がある!

ここは把握しておいていい要素だと思います。

カーボンフレームは「壊れ方」がちょっと怖い

カーボンフレームの寿命は、そんな感じだとして・・

カーボンフレームは寿命がきたら、どんな「壊れ方」をするの?

ここも大事なところです。

 

壊れ方を知ることで、そのときに起きるリスクが分かってきますし・・

壊れる「前兆」がもしあるのなら、壊れる前に察知することもできるかもしれません。

 

そしてカーボンフレームに寿命がきたときの、壊れ方の特徴をまとめると、

  • 曲がらず、ぽきっ!と折れる
  • 折れる「前兆」は、ほとんど無い
  • 折れた断面には、繊維が密集している

という感じになってきます。

曲がらず、ぽきっ!と折れる

まず、カーボンは折れるときはぽきっ!と、真っ二つに折れます。

どんなふうに折れるのか?は、

カーボンとクロモリの強度を、それぞれを実際に打ち合わせてみた実験など、いろいろな情報をもとに考察しています。

上の記事で、動画つきで解説しています。

カーボン「フォーク」の記事ではありますが、その折れについての話題がたっぷり入っていますので、参考になるはずです。

 

そして、ぽきっと折れるということは回避がなかなか難しいことを意味します。

少しずつ曲がったり、亀裂が入るように割れてくれたりすれば、その時点で乗るのをやめられますが・・

ぽきっといくなら、壊れてきたのを察知し対応するのは困難になってくるはずです。

折れる「前兆」は、ほとんど無い

折れるときの「前兆」が少ない、というのもカーボンフレームの特徴です。

 

鉄やアルミといった金属フレームだと、壊れる前に予兆が出やすいです。

ミシミシ・ギシギシ音がしたり、乗り心地があきらかに変わったり・・

しかしいろいろ調べた限り、カーボンフレームはそういった予兆なくいきなり折れることが多いようです。

 

おそらくフレームを形づくっている「樹脂」に粘りがあまり無いので、そうなるのかもしれません。

たとえば「鉄」は粘りが強い素材で、折れるときも曲がるようにしてダメージを吸収していき、最後の最後で折れる感じになるのですが・・

カーボンフレームは折れるほどの状況になったら、前兆が出るまでもなく折れてしまうということでしょう。

 

と、「曲がらずぽきっと折れる」「前兆が少ない」の2要素をあわせると・・

寿命がきているかも?と思うカーボンフレームは、特に注意して乗るべき!

と、そういうことになってくるでしょう。

折れた断面には、繊維が密集している

カーボンフレームが壊れるときの特徴は、もうひとつあります。

折れた断面に、繊維が密集するような状態になる、ということですね。

 

書いてきたように、カーボンフレームは「炭素繊維」を密集させて作られます。

なのでそれが折れてしまえばもちろん、その断面は「炭素繊維の断端」がぎっしり詰まった形になります。

 

そして、あまり考えたくないことではありますが・・

折れた断面は最悪、体に刺さってしまうこともあるようで、ここも要注意なんですね。

何千という本数の繊維が、びっしりと出た断面がいかに恐ろしいか・・ここは想像にお任せします。

 

ちなみにこういった事情もあって、「競輪」ではカーボンではなく、鉄フレームがいまだに使われていると聞いたことがあります。

競輪はものすごいスピードで、普通では考えられないくらいに密集して走りますので・・

事故のときのリスクをできるだけ下げるため、カーボンを避けている・・としたら、一理はあると思います。

 

 

と、こんな感じで・・

カーボンは寿命で壊れるときの「壊れ方」が、ちょっと怖い感じになるのです。。

 

しかしもちろん、だからダメ!と言うわけではなく、気をつけることはできますので・・

カーボンフレームは金属フレーム以上に、寿命には気をつけて乗ることをおすすめします。

 

 

今回はカーボンフレームの寿命をテーマにお話ししました。

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自転車通勤から自転車にハマった、いち自転車マニアです。

【年齢・性別】30歳台、男性

【よく乗るエリア】福岡まわり

【自転車趣味歴】9年くらい

【職業】
現在:企業の産業医
元:総合病院の内科医・研究員

【自転車乗りとしての特徴】
◇貧脚・ゆるポタ勢
◇折りたたみ自転車・輪行大好き
◇フラットペダル派
◇好きな素材はクロモリ
◇全部自分で整備するマン
◇いつかオランダに住んでみたい
 
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