自転車のフレームやフォークに使われる素材には、
主にカーボン、アルミ、クロモリ(鉄)がありますが、
この中で、耐久性・・
つまり、駐輪場でぶつけられたり、
輪行のため飛行機に預け、手荒に扱われたり、
事故でダメージを受けたり・・
といったことに、もっとも強いのは、
クロモリ(鉄)である、というのが定説です。
しかし・・・クロモリは本当に、カーボンより頑丈なのでしょうか?
その答えのひとつが、以下の動画で確認できます。
この動画は、カーボン VS カーボン、カーボン VS クロモリ、クロモリ VS クロモリ、といった組み合わせで、
自転車のフロントフォーク同士を、チャンバラのように打ち合わせて、耐久性を確認する・・という、
なかなかにぶっ飛んだことをしている動画なのですが・・
この動画から、カーボンフォークとクロモリフォークの耐久性の差が、だいたい、わかります。
ご覧いただくとわかるように、
まず、カーボン同士だと、7回打ち合わせただけで、片方が折れてしまっています。
カーボン 対 クロモリだと、たった3回打ち合わせただけで、カーボン側のブレードが2本とも折れてしまっています。
そして、クロモリ 対 クロモリですと、それぞれのフォークが曲がったりへこんだりはするものの、何回も何回も打ち合わせても、それぞれ、折れてしまうことはなく持ちこたえています。
もちろん、実際に走るときにはフォークに車輪がはさまりますし・・
衝撃は基本的に、フォークに対して「縦」方向にくるものです。
なのでこのフォークチャンバラの結果だけで、フォークの耐久性が完全に分かるわけではありません。
しかし・・・
- 鉄とカーボンを打ち合わせると鉄が勝つ
- クロモリフォークは、大きな衝撃を受けると曲がったりへこんだりはするが、なかなか折れることはない
- カーボンフォークは、折れるときは曲がったりすることなく、いきなりぽっきりと折れてしまう
といったことは、動画の内容から読み取れます。
このことを踏まえると・・
- カーボンフォークは、道路標識のポールなど頑丈な鉄製のものに強くぶつけてしまうと、深刻なダメージを受ける可能性が高い
- カーボンフォークは、もし万が一破断するとしたら、前触れなくぽっきり折れる可能性が高い
- クロモリフォークは頑丈なうえ、大ダメージを受けても曲がったりするだけで、いきなり折れる可能性は低い
といったことが考えられるでしょう。
そのため、自転車をデリケートに扱うことなく、
旅や日常生活の道具として、タフに扱う場合・・・
いちばん耐久性が高く、頑丈で、寿命が長くなるのはクロモリフォークだ、と言っていいと思います。
もちろん先述したように、カーボンフォークもそうそう破断したりすることはないと思うのですが・・・
万一、破断すると、ぽっきりいってしまいますので、先端が身体に刺さってしまう可能性が無いとは言えません。
刺さってしまうと、カーボンは炭素の「繊維」ですので、からだの中に残ってしまうこともあるようですね。
(私が調べた限りでは、実際にそのような事故も起こっているようです)
たとえば競輪では、いまでも基本的には、クロモリ製の自転車のみしか使わないのですが(ルールで決まっています)、
その理由のひとつが、フレームの頑丈さを優先することと、
万一の破断時に、選手が折れたフレームで大怪我をする可能性を下げるため・・ということのようです。
ちなみにですが、カーボン「フレーム」の寿命や耐久性に関する考え方は、
上の記事に書きました。
カーボンとクロモリの強度比較においては、下の動画も参考になります。
カーボンやアルミニウム、クロモリなどの鉄といった素材に、巨大な鉄杭のようなものを落とし、
破損の程度から、強度をみているのですが・・
動画のいちばん最初で、クロモリの強度評価がされるのですが、鉄杭が落とされても変形はとても少ないです。
(その後の、さまざまな素材のテストを見ていただければ、おわかりいただけると思います)
そのためクロモリ鉄は、他の鉄・鉄合金やアルミニウム、ほとんどのカーボンと比較し、
すくなくとも外部からの衝撃には、かなり頑丈と言えそうです。
(どのくらいの太さの素材を使うかなどで結果は変わるため、上の動画だけですべての判断はできませんが・・)
しかし、動画の1分41秒くらいから「Carbon Fiber Composite」、つまりカーボン合材のテストがあるのですが・・・
クロモリと同等レベルに変形が少ないものもあります。
カーボン合材のなかにも、耐久性が高いものはちゃんとある、と言えると思います。
しかしながら、上のフォークチャンバラでもお分かりいただけたように、
鉄素材には「粘り」があり、変形したとしてもそこから折れまではせずに持ちこたえることが多いため、
「折れてしまったりしない」という意味での耐久性では、やはりクロモリが最強だ、と言っていいのではないかと考えます。
実際に、カーボンが破損してしまうケースに関しては、
以下の動画が参考になります。
もちろん、このように破損してしまうことは、そうそう起こることではないと思いますが、
少なくとも、「探せば、破断事例がたくさんある」ことはわかります。
クロモリの、同様の動画も出さないとフェアではないとは思いますが、
私が調べた限りでは、クロモリの破断例を集めた動画は見つからず、
またクロモリ破断について扱ったブロク記事も、カーボンと比べるとかなり少ないようでした。
以上より、
「クロモリは耐久性にて最強」は、本当だ、ということになるでしょう。
もちろん、製品や状況にもよるので一概に言えないことは、
言うまでもありません。
現代、自転車ショップで買える自転車の完成車では、
その多くが、カーボン製のフレームやフォークを装備しています。
フレームにおいては、完成車だと、たとえばGIANTのようなメジャーなメーカーだと、ほぼアルミとカーボンの二択ですし、
安価なものだとアルミが使われていることが多いですが、
高価な自転車だと、そのほとんどがフルカーボンだと思います。
また、フォークに関しては、フレームがアルミの自転車であっても、
フォークはカーボン、というものがほとんどで、
市販されている完成車では、ほとんどがカーボンフォーク、と言えるでしょう。
カーボンのフレームやフォークは軽くて、振動の吸収性が高く、
ちょっと段差を越えたり、ちょっとぶつけたりした程度で折れるほどに耐久性が低いわけではないため、
(もしそうであれば、ニュースが賑わってしまいます。。)
普通にロードバイクを楽しみたいのであれば、ふつうにカーボンフォークがついた自転車を使うのが良いとは思います。
また、ロードレースに参戦したりするのであれば、軽さの差が結果の差につながったりするので、
カーボン一択となってくるのではないか、と思います。
しかし、自転車の「耐久性」を最優先するのであれば、
クロモリのフレームやフォークを装備する、というのがより良い選択肢になるかもしれません。
たとえば、太いタイヤを履かせてオフロードのコースにも行ったり、
飛行機輪行で預けてしまったり、長期間の旅の相棒にしたり、
屋外で長時間駐輪したり・・という、「タフ」な使い方をするのであれば、
軽さよりも耐久性を最優先したいところだと思います。
私は自転車で、舗装路を走るだけでなく、
そういった「タフ」な使い方をすることが多いですので、
耐久性を最優先し、自転車はフルクロモリ製のものを使っています。
もちろん、カーボン製やアルミ製のフォークも、問題になるほどヤワではないとは思うのですが・・
自転車の「頑丈さ」や「耐久性」を最優先するのであれば、
クロモリ製のフレームやフォークを装備した自転車を選ぶ、というのも選択肢のひとつになると思います。