英式バルブで空気圧は正しく測れる?無理?

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英式バルブ

「英式バルブ」で、空気圧はちゃんと測れるの?

 

たとえばロードバイクやクロスバイクだと・・

「空気圧計」を使えば、空気圧を測れます。

 

空気圧計はたとえば、

空気入れについている空気圧計

こんな感じで、空気入れについていたりして・・

ロードバイクなどについている「仏式」や、マウンテンバイクで採用されやすい「米式」といったバルブですと、ふつうに空気圧が測れますね。

 

なのですが・・

ママチャリなどで採用される「英式」バルブで、空気圧は測れるの?

というのは、疑問を持たれやすいところのようです。

 

英式バルブは、

英式バルブ

こんな感じの、すごく一般的なバルブですね。

誰もが一度は、このバルブを扱ったことがあるのでは・・と思います。

 

そして私自身、気になってネットでいろいろ調べてみても・・

英式だと空気圧計は作動しない!とか、作動はするけど数値がアテにならない!とか・・

もしくは英式であっても、空気圧計でちゃんと空気圧は測れる!とか・・意見がばらばらでした。。

 

しかしいろいろ調べていくうちに、ああ、そういうことか!と思うところがありましたので・・

この記事では英式バルブで、空気圧は測れるの?について解説していきます。

「虫ゴム」タイプだと、正しくは測れない

英式バルブで空気圧は測れるの?

 

まず、結論からです。

Point
  • 「虫ゴム」タイプだと、正しく測れない
  • 英式でも「虫ゴムじゃない」タイプなら、正しく測れる

となります。

 

虫ゴムとは?

虫ゴム

こんな感じで「覆いかぶさることで、空気の漏れを防ぐゴム弁」です。

 

これが劣化してくると、空気がどんどん漏れてしまいますので・・

定期的に交換しましょう!とか言われているやつですね。

 

英式バルブだと通常、この虫ゴムが採用されています。

そしてこの虫ゴムがあるから、空気圧が正しく測れないのです。

空気圧計が、空気圧を測る仕組みは?

そもそも・・空気圧計は、どんなふうに空気圧を測定しているの?

 

ここでは一般的な「空気入れについている空気圧計」でお話ししてみると・・

まず空気圧計は、

空気圧計

こんな感じで、空気入れについていて・・

 

そして空気圧計につながっているのは、

ホース

この「ホース」です。

 

ホースは、

空気圧計につながるホース

こんな感じで、空気圧計本体に接続されていますね。

 

そして、ホースの先が・・

バルブ

こういうバルブに、

バルブにつながるホース

こんな感じで、つながるわけです。
(この画像のものは「仏式」バルブです)

 

そしてバルブの次が「チューブ内」・・と、そんな順番です。

 

そして空気圧は・・

「チューブ内」「バルブ内」「ホース内」「空気圧計」のすべてが、同じ空気圧になる

ことによって、空気圧を測定しています。
(「まったく同じ」ではないですが、わかりにくくなるのでひとまず置いておきます)

 

空気圧を測るとき、測定したいのは「チューブ内の空気圧」です。

なので最終的には「チューブ内の空気圧」と「空気圧計の空気圧」が同じになればOKです。

たとえばチューブ内が7気圧のとき、空気圧計も7気圧になっていればいいですよね。

 

しかし魔法のように遠隔で、チューブ内の空気圧は測れません。

これらの間には「バルブ」「ホース」がありますので・・

「バルブ内」「ホース内」がチューブ内と同じ空気圧になり、さらに空気圧計がそれと同じ空気圧になる!が必要です。

 

と、この「4部分の空気圧が同じになる」が達成できていれば・・

空気圧計でちゃんと空気圧を測れる!となるわけですね。

「仏式」「米式」なら、ちゃんと測れる理由

ロードバイクによく使われる「仏式バルブ」や、マウンテンバイクに使われる「米式バルブ」だと・・

空気圧はちゃんと測れます。

実際にみんな、空気圧を測りながら使っていますね。

 

つまり、これらのタイプのバルブではチューブ・バルブ・ホース・空気圧計の・・

「4部分の空気圧」がちゃんと、同じになっているわけです。

 

なぜ、ちゃんと同じになるのか?

重要なポイントだけを言いますと・・

「チューブ」「バルブ」の間が、完全に開通するからです。

 

たとえば、仏式バルブの構造を見てみると・・

空気が漏れるのを防ぐ「バルブの軸」は、

バルブコア

こんな構造になっています。

 

そしてこのバルブの軸は、空気を入れる瞬間・・

バルブコアのゴムパッキン

赤丸で囲んだ部分が、完全に開通します。

 

空気を入れる瞬間は、チューブの「外の圧力」のほうが高くなるので・・

その圧力でここが開いて、空気が入る、という仕組みですね。

 

ここが完全に開通している状態だと・・

「チューブ内」と「バルブ内」を隔てるものは、何もありません。

なので基本的にチューブ内とバルブ内の空気圧は、同じになるはずです。

 

そして「バルブとホース」「ホースと空気圧計」を隔てるものは、特にありませんので・・

4部分の空気圧がちゃんと同じになる。

と、そういう仕組みなのです。

 

ちなみに、ここでは仏式バルブを例にあげましたが・・

「米式バルブ」でもだいたい、同じような仕組みですね。

 

というように、チューブとバルブの間の「開通」が得られていれば、OK!

なわけですが・・「虫ゴム」があると、話が違ってくるわけです。

「虫ゴム」があると、そこで空気圧が変わってしまう

虫ゴムは、上でも挙げたように・・

虫ゴム

こんな感じで「チューブ・バルブの境目部分を、ゴムで全体的に覆う」ような形になっています。

 

ゴムがここを全体的に覆うと、どうなるか?

「チューブ内」と「バルブ内」の空気圧が変わってしまう

という結果になります。

 

境目部分が、ゴムで隔てられてしまうことになるので・・

それはまあ、そうなりますよね。

 

そうなると「チューブ内」と「バルブ内・ホース内・空気圧計」とで、空気圧が変わってしまいますので・・

空気圧計はチューブ内の空気圧を、ちゃんと示さなくなります。

これが「虫ゴム」タイプのバルブだと、空気圧計がうまく使えなくなる理由です。

 

空気を入れるときに、虫ゴム部分でせき止められる形になるので・・

ホース内の空気圧は上昇し、空気圧は正しい値よりも高めになりますね。

 

と、空気圧がちゃんと測れるのか?は「虫ゴムタイプなのかどうか?」で変わってきて・・

虫ゴムを使うタイプのバルブだと、正しく空気圧を測るのは難しい!

そういうことになると思います。

英式でも「スーパーバルブ」なら、正しく測れる

じゃあ「英式バルブではちゃんと測れない」と、そういうことなのでは?

と、もしかしたら思われたかもしれませんが・・

 

英式バルブにも、仏式や米式と同じように「虫ゴムを使わず、チューブとバルブが完全に開通する」タイプのものがあります。

虫ゴム不要タイプのバルブ

こういった「スーパーバルブ」と呼ばれるタイプのものですね。

「虫ゴム不要!」と謳われていたりします。

 

このタイプは仏式・米式と同じように虫ゴム無しで、ちゃんと開通しますので・・

チューブ内の空気圧をちゃんと、正しく測ることができます。

 

この裏付けとなりそうな実験が、「サイクルベースあさひ」さんの記事で行われています。

「虫ゴムタイプ」と「スーパーバルブタイプ」の両方の英式バルブで空気圧を測り、比較してみる!という実験です。

 

結果について、重要と思われた部分を引用しますと・・

意外にも、スーパーバルブは今回の実験においては米式バルブ化させたものと同じ数値でした。

全ての車種で同じ結果になるかはわかりませんが、スーパーバルブは虫ゴム交換不要以外にもメリットがあるのがわかりました。

サイクルベースあさひの記事より引用、一部を強調表示

と、スーパーバルブの空気圧が「米式バルブ」と同じだったことが書かれています。
(詳しい実験結果は、リンク先でご確認ください)

開通しているので、同じになるだろう・・という仮説を、裏付ける結果ですね。

 

ここまでのことから・・

スーパーバルブなら少なくともかなりのレベルで、空気圧をちゃんと測れる!

そう言えると思われます。

 

なのでもし「英式でちゃんと空気圧を測りたい」・・

そう思われるのなら、導入してみてもいいかもしれません。

虫ゴム不要タイプのバルブ

虫ゴム有りでも「参考値」くらいは分かる

じゃあ・・虫ゴム「有り」タイプだと、まったく参考にならないの?

測る意味はないの?

 

お話ししてきた通り、虫ゴム有りだと「正しい」空気圧は測れません。

が・・「参考までの値」くらいならなんとか、分かります。

 

虫ゴムありタイプの英式バルブで、空気圧を測定しても・・

空気圧計の針は動き、空気圧の表示自体はされますね。

 

しかしこの空気圧は、チューブ内よりもかなり高めに表示されます。

虫ゴムのゴム部分でせき止められ、その「手前側の圧力」が高くなるからですね。

なのでチューブの空気圧は、測定値よりかなり低めになるわけです。

 

それでは・・チューブ内と「どのくらい」の差になるの?

ここも上で挙げた、サイクルベースあさひさんの実験が参考になります。

サイクルベースあさひの実験結果

サイクルベースあさひの記事より引用

虫ゴムありの場合とスーパーバルブの場合とで・・

空気入れを何プッシュすると、どのくらいの空気圧が表示されるか?を比較したものですね。

参考までに米式バルブの数値も表示されています。

 

これを見ていくと・・

サイクルベースあさひの実験結果

サイクルベースあさひの記事より引用

このように「虫ゴム」の場合だけ、たった2プッシュでいきなり30PSI、という急激な気圧アップが見られます。

スーパーバルブの場合も米式バルブの場合も、10プッシュでやっと15PSIなので・・すごい上がり方ですよね。

 

いきなり上がっている理由は、虫ゴムによって空気がせき止められるから、でしょう。

なので空気圧計の数値は高くとも、チューブ内の空気圧は低い・・と、そういう状態になっていると思われます。

 

しかし「最終値」はそれなりに近くなります。

サイクルベースあさひの実験結果

サイクルベースあさひの記事より引用

このように27プッシュ時で、虫ゴムタイプが46PSIのところを・・

スーパーバルブ・米式タイプだと40PSI、ですね。

 

せき止められる分だけ、虫ゴムタイプのほうが高く測定されてしまうわけですが・・

誤差の大きさは「1-2割」ほど

この実験がすべてではありませんが・・この結果だけ見ると一応、そう言えます。

 

というわけで、「虫ゴムタイプだと、せき止められるので測定値が高めに出る」ことさえ把握しておけば・・

まあ、参考にするくらいの値なら、分からなくもないかな?

という感じになると思います。

 

英式バルブが使われているのは、ほとんどがママチャリですし・・

ママチャリはロードバイクなどと比べて、そこまでシビアな空気圧管理は求められません。

なので誤差があるとしても、手でタイヤをぷにぷに触りながら調整するよりは、ましな管理ができるかなと思います。

 

英式バルブを、空気圧を測定しながら使うのは、推奨されているわけではありませんので・・

特に虫ゴムありタイプで、空気圧を測定しながら使うときは、あくまで自己責任でお願いします。

 

 

「英式バルブで空気圧は測れるのか?」はけっこう、議論されるテーマなのですが・・

この記事ではこのテーマに関する、自分なりの考えをお話ししてみました。

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【年齢・性別】30歳台、男性

【よく乗るエリア】福岡まわり

【自転車趣味歴】9年くらい

【職業】
現在:企業の産業医
元:総合病院の内科医・研究員

【自転車乗りとしての特徴】
◇貧脚・ゆるポタ勢
◇折りたたみ自転車・輪行大好き
◇フラットペダル派
◇好きな素材はクロモリ
◇全部自分で整備するマン
◇いつかオランダに住んでみたい
 
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