鉄下駄ホイールとは?

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鉄下駄?と考える人

「それ、鉄下駄ホイールじゃん!」

鉄下駄ホイールも、意外と悪くないよね」

「高いホイールが欲しいけど、お金が無い・・鉄下駄ホイールで我慢しとくか・・」

 

「鉄下駄ホイール」というのはロードバイクといった自転車の世界で、よく使われるフレーズです。

しかし誰もが知るような、一般的な言葉でもありません。

 

なのでこの言葉を聞いて「えっ、鉄下駄ホイールって何?」と思われて・・

調べるためこの記事を訪れた方も、多いのではないかと思います。

 

なのでこの記事では、鉄下駄ホイールってどういうホイール?

自転車のホイールの中では、どんな位置づけなの?

鉄下駄ホイールを選ぶ!って、アリ?

そんなところを解説していきます。

鉄下駄ホイールとは?

鉄下駄ホイールって、何?

ひとことで書くと、鉄下駄のように重いホイールのことです。

 

下駄とは普通、木だけで作られるものですが・・

昔の武士といった人たちは、体を鍛えるためにあえて鉄板を仕込んだ下駄を履いていたそうです。

本来の下駄には必要ない「デッドウェイト」を加え、やたら重くしていたわけですね。

 

そして鉄下駄ホイールも、そんな鉄下駄のように「やたら重い」ホイールを指します。

鉄下駄ホイールのほうは、別にわざと重くしているわけではないのですが・・

あまりに重いので、揶揄するようにそう呼ばれるわけです。

 

ロードバイクといった自転車の世界では、ホイールは軽ければ軽いほど良い!とされています。

軽いホイールは加速が良く、登りもラクになりやすいですし・・

ホイールというのは「回転部分」ですので、軽さの影響は他のパーツより大きくなります。

なので特に「自転車レース」の世界では、軽いホイールこそ正義!と言われるわけです。

 

そしてそういった視点から見ると、重いホイールは悪!です。

重いホイールはなかなか加速してくれず、登りも無駄にハードになってしまいますので・・

「おいおい、そんな鉄下駄ホイールじゃ勝てないぞ?」みたいな言葉が出てくるわけです。

 

という感じで、鉄下駄ホイールはすごく重いホイール!

そして特に「速く走りたい」人たちのあいだで、鉄下駄ホイールは敬遠されやすい・・

というのが、鉄下駄ホイールをめぐる基本的な事情です。

鉄下駄ホイールって、具体的にどんな製品?

じゃあ・・鉄下駄と言えるようなホイールって、具体的にどんな製品があるの?

 

鉄下駄ホイールは、具体的には「グレードの低いホイール」を指すことが多いです。

ロードバイクといった自転車のホイールは、さまざまなメーカーが作っているのですが・・

多くのメーカーにおいてホイールは「ハイグレード」「ミドルグレード」「エントリーグレード」みたいな感じでグレード分けされています。

 

そしてハイグレードというのが、プロのロードバイクレースで使われるようなものです。

例えばシマノという定番メーカーだと、「デュラエース」といったグレード名がついていて・・

軽さはもちろんのこと、回転の良さとか力の伝わりやすさとか、すべてにおいて最高クラスとされています。

そのかわり、値段も最高クラスなのですが・・笑

 

そして逆に「エントリーグレード」という、いちばん低いグレードもあります。

これは一般的にロードバイクを始めたばかりとか、そういった人が使うことを想定していて・・

決して粗悪品とかではないのですが、「速く走る」ための性能は上のグレードに劣る、という位置づけの製品です。

 

具体的な製品は、時代によって変わっていくものですが・・

例えば定番メーカーのシマノだと、この記事を書いている時点では、

シマノのエントリーグレードのホイール フロント
シマノのエントリーグレードのホイール リア

こういった製品がエントリーグレードにあたります。

 

実際に製品をチェックしていただければ、分かるところですが・・

前後両方で2万円を大きく下回るとか、価格はそのくらいになっていると思います。

そしてロードバイクのホイールとして、これは「いちばん安い」部類になってきます。

 

 

ちなみに自転車の世界には「もっと安く、もっと重いホイール」も存在します。

たとえば、それこそママチャリのホイールとか・・

ママチャリと似た性能で、見た目だけロードバイクの「ルック車」のホイールとかがそうですね。

 

しかしこういったホイールが「鉄下駄ホイール」と呼ばれることは、あまり無いです。

ママチャリなどのホイールは、激重で当たり前だからですね。

「軽さのレベル」を比較するような土俵には、そもそも上げられないわけです。

 

なので鉄下駄ホイールとは、あくまで「ロードバイクのエントリーグレードホイール」を指すことがほとんどです。

鉄下駄ホイールの「重さ」はどのくらい?

鉄下駄ホイールって、具体的にどのくらいの重さなの?

ここも解説してみます。

 

まず、結論からですが・・

鉄下駄ホイールの重さは前後セットで「2.0kg」くらいです。

上に挙げたシマノのエントリーグレードホイールも、大体そのくらいです。

 

じゃあ、いわゆる「ハイグレード」ホイールの重さはどのくらい?

前後セットで「1.3kg」くらいが目安です。

シマノの「デュラエース」という最高グレードのホイールが、大体そのくらいになると思います。

 

なので、鉄下駄ホイールと最高クラスのグレードのホイールを比較すると・・

  • 「700g」くらい重い
  • 「1.5倍」くらいの重さ

あくまでざっくりとした比較ですが、こんな感じになってくると思います。

 

ちなみに上から2番目のグレードでは、前後セット「1.5kg」くらいの重さになります。

シマノの準最高グレード「アルテグラ」のホイールが、そのくらいになるはずです。

そしてここからグレードが下がるにつれて、重さが鉄下駄ホイールに近づいていく感じです。

 

最高グレードと鉄下駄とで、数百グラムしか違わないのでは?

と、もしかしたら思われるかもしれません。

 

しかし、ロードバイクの世界というのは・・

1グラムを争うほどに、軽量化にこだわる人も多いものです。

レース・速さを重視するライダーであればあるほど、そういった傾向があります。

 

そんな中、1種類のパーツだけで何百グラムもの差がついてしまう!

これは決して無視できない、大事な要素になってくるのです。

 

さらに回転部分の重さは、影響がより大きいという事情もあります。

回転部分の重さの影響

ホイルの重量100gは車体1kgに匹敵する、ということを聞いたことがあります。はたして本当でしょうか?ホイルの重さが外周部に集中しているとします。このホイルが回転しながら加速するときの慣性力は、ホイル自体の重さに加えてホイルが回転することによる重さ分が加わるので、確かに100g以上の重さですが、通常のホイルで1.3 - 1.6倍です。

書籍「ロードバイクの科学」より引用

ロードバイクで速く・楽に走る方法を科学的に解説した本

書籍でも解説されているように・・

ホイールの重さの影響は、他の部分の1.3から1.6倍の大きさになる感じになります。

 

なので、自転車のスピードや加速性能を上げたいのなら・・

ホイールの軽量化は他のパーツの軽量化よりも、さらに重要なのです。

 

なので、そこで何百グラムものデッドウェイトが発生すると・・

速さを求めたい人の足を、致命的に引っ張ることになります。

そして、これが「鉄下駄」とまで呼ばれてしまう事情だったりします。

鉄下駄ホイールのメリットは「安くて頑丈」

鉄下駄ホイールは重い。。スピードを出すのに不利。。

じゃあ、それに対応するような「メリット」は何?

こう考えられるのは、自然なことだと思います。

 

そして鉄下駄ホイールのメリットは、安くて頑丈なことです。

 

鉄下駄ホイールの価格は、種類にもよりますが前後セットで「1.5万円」くらいになることが多いです。

そしてトップクラスのハイグレードホイールは、前後セットで「20万円」くらいになることが多いです。

その価格差、実に10倍以上ですね。

 

トップのひとつ下のグレードにすれば、価格差はだいぶ和らぎますが・・

それでも何倍もの価格差となってきます。

 

そしてもちろん、安ければ安いに越したことはありません。

なので「安さ」は、鉄下駄ホイールの大きなメリットです。

 

 

そして鉄下駄ホイールは、多くの場合で「頑丈」です。

 

重いほど頑丈・・というのは、工業製品における常識です。

そして鉄下駄ホイールも例外ではなく、重さに見合う頑丈さを備えています。

 

私自身、鉄下駄ホイールを何年も使っていたのですが・・

剛性が高く、ちょっとハードな乗り方をしても全然しなったりしませんし・・

ホイールのバランスが崩れる「フレ」を起こすことも、ほとんどありませんでした。

なので恐らくですが、寿命も相当長くなってくると思われます。

 

昔は鉄下駄ホイールのような安ホイールは、組み上げ精度が悪く・・

すぐにフレたり、たわんだりする粗悪ホイールであることが多い、なんて時代もあったようです。

 

しかし現代の、特にシマノといった定番メーカーの製品は、組み上げのレベルが高いので・・

たとえ安いホイールであっても「安かろう悪かろう」にはなりにくいんだと思います。

 

逆に軽いホイールのほうが、頑丈さでは劣ることも多いです。

例えばプロの自転車レースでは、ホイールが急ブレーキの負荷に負けてひしゃげてしまったり・・

単に乗っているだけなのに、割れてしまったりするのを見ることがあります。

特に「超軽量カーボンホイール」といった、すべてを削ってレースに特化させた製品はそうなりやすいようですね。

 

そしてそういったタイプのホイールと比べれば、鉄下駄ホイールのほうが安いうえに、さらに頑丈だったりします。

そして、ここももちろん鉄下駄ホイールのメリットです。

鉄下駄は「レースしないなら最強」なのかも

鉄下駄ホイールは、見下すようなニュアンスを込めて「鉄下駄!」と呼ばれることも多いです。

しかし鉄下駄ホイールは、実は「レース」をしないのなら、最強なのではないか、と思います。

 

鉄下駄ホイールは確かに、ハイグレードホイールより数百グラム重いのですが・・

レースをしないなら、そのくらいの重さはほぼデメリットにはなりません。

 

ホイールが軽いほうが確かに、走りには有利でしょう。

軽いホイールはすばやく加速してくれますので、トップ争いといった激しい動きに有利ですし・・

特に重さがデメリットになりやすい「登り」で、ライバルに差をつける要素になるかもしれません。

 

しかし鉄下駄ホイールでも、スピードに「1割以上」といったレベルの差はつかないと思われます。

ホイールの重さとスピードの関係は、いろいろなところで言われていますが・・

せいぜいが「何kmも走って、数秒ぶんの差がつくか?」くらいの違いになってくるようですね。

 

そして1秒を争うガチレースなら、そのレベルの差でも価値は高いです。

大金が動くプロロードレースなら、特にそうですよね。

 

しかし私のような一般人の日常ライドでは、どうか?

そう考えると「速さにおけるメリット」に、そこまでの意味はなくなってくるのでは、と思います。

 

 

さらに、軽さの影響がいちばん効いてくるのは「登り」です。

平地より登りのほうが、重力の影響がより効いてくる・・というのは自然な感覚だと思います。

 

そして長距離レースの中だと、山を越えることも多いものですので・・

「登り」におけるメリットの影響は、大きくなってきます。

 

しかし一般的なライドでは、坂を登りまくる!ということはあまり無いはずです。

むしろ圧倒的に多いのは「平地」ライドですよね。

もちろんこのあたりは、乗る環境によっても変わってきますが・・

 

なので鉄下駄ではない、軽量ホイールを買ったとしても・・

その影響はレースをバリバリやる場合と比べると、かなり小さくなってくるのです。

 

 

そしてレースではない一般的なライドがメインなら、「安さ」も大きなメリットになってきます。

日常で毎日のように乗り倒せば、ホイールにもそれなりのダメージが来るわけですが・・

鉄下駄ホイールなら万一壊れてしまったとしても、数千円を出せば簡単に新品交換できてしまいます。

万一ホイール盗難に遭った場合も、同じですね。

 

これがもし、20万円とかするハイエンドホイールだと・・

前後輪どちらかを失ってしまえば、戻すためには財布から諭吉が10枚飛び立ってしまいます。。

そしてこのくらいコストが高いと、安心して自転車を使い倒せない原因となるかもしれません。

 

そして例えば雨の中を走ると、ブレーキによる削れが激しくなったりして、ホイールは劇的に消耗していくものですが・・

安い鉄下駄ホイールなら、そこもあまり気にすることがありません。

万一壊れてしまってもやっぱり、数千円で元通りですので・・

 

雨の中を含め、長距離を走り続けることが多い「ブルベ」という競技があるのですが・・

こういった競技では、安価な鉄下駄ホイールが使われることが多いものです。

そしてこれもそういった事情を知れば、納得のいく話かな・・と感じます。

 

という感じで・・レースで上位を取りたいのなら、鉄下駄ホイールなんて論外!

しかしレース系の走りを度外視するなら案外、最強は鉄下駄ホイールなのでは?

そう考えて私自身も現在、鉄下駄ホイールを使っていたりします。

 

 

今回は鉄下駄ホイールとは?をテーマにお話ししました。

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自転車通勤から自転車にハマった、いち自転車マニアです。

【年齢・性別】30歳台、男性

【よく乗るエリア】福岡まわり

【自転車趣味歴】9年くらい

【職業】
現在:企業の産業医
元:総合病院の内科医・研究員

【自転車乗りとしての特徴】
◇貧脚・ゆるポタ勢
◇折りたたみ自転車・輪行大好き
◇フラットペダル派
◇好きな素材はクロモリ
◇全部自分で整備するマン
◇いつかオランダに住んでみたい
 
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