ロードバイクのアウターは、普通、歯数は50T以上です。
製品や、時代などによっても変わるのですが・・・
コンパクトクランク、セミコンパクトクランク、ノーマルクランクと呼ばれるもので、
それぞれ50T、52T、53Tといったところでしょう。
コンパクトクランク(50Tくらい)がいわゆる「軽いアウター」であり、
軽めのギアをくるくる回すタイプの人が、よく使うもので・・・
ノーマルクランク(53Tくらい)がいわゆる「重いアウター」であり、
重いギアをがんがん踏むタイプの人がよく使う・・といった感じだと思います。
しかし・・・私は、とある事情で、アウターギアを「44T」という、かなり少なめの歯数のギアに変えてみました。
変えてみたところ・・・
特にレースをしたりもせず、ロングライドやちょっとした自転車旅メイン・・という私の場合は、
この、普通に考えると「ものすごく小さい」アウターギアでも、なんの不都合も無いことに気づきました。
そしてもう3-4年ほど、この「44Tのフロントシングル」という仕様のロードバイクに乗っています。
そのためアウターギアは、意外に、かなり小さくてもいいんじゃないか?
・・・と、思うようになりました。
ギアが小さいことのデメリットは、当然ながら、「重いギアが無い」ことです。
前が53Tのノーマルクランクで、リアディレーラの最小歯数が11Tなら、
いちばん重いギアの組み合わせは「53T-11T」になります。
そして、もし前が44Tに変われば、
いちばん重いギアの組み合わせは「44T-11T」となります。
クランク一回転あたりで進む距離は、基本的に前ギアの歯数と正比例し、
後ギアの歯数と反比例するはずです。
そのため、前ギアの歯数が53Tから44Tに減ったとするなら、
一回転で進む距離は44/53・・だいたい4/5くらいになります。
まあ、ものすごく軽くなるわけですよね。
しかし・・・44Tのときのアウタートップである、
「44T-11T」というのは、どのくらいの重さなのでしょうか?
ネットとは便利なもので・・「ロードバイク ギア比 計算」と検索すれば、計算ツールがいろいろでてきますので、
使わせていただいて、検討してみました。
日常のなかでロードバイクを使う場合は、ケイデンスは上げても「80rpm」くらいだと思います。
そのためケイデンスを80rpm、タイヤを25cにして、計算してみると・・・
前44T、後11Tの状態で、速度は「40.4 km/h」出るとのことです。
だいたい、40km/hちょうどですね。
つまり、前44Tのロードバイクは、
いちばん重いギアにした状態で、常識的なケイデンスで、
最高で40km/hくらいまでの速度に対応できる、ということになります。
40km/h・・・
私にとっては、まったく不足のない、じゅうぶんな最高速度です。
私が日常走っていて、40km/h以上出すなんてことは滅多にありません。
下りなら、もちろん出そうと思えば出ますが・・
危ないので、下りでペダルを本気で回す・・なんてしないので、
あまり関係ないです。
万が一、これより速い速度で走りたい・・なんてときは、
ケイデンスを120rpmくらいまで上げれば(誰でも、無理なくできると思います)
もっと速く走ることも可能ではあります。
そのため、私の場合は前44Tという、ふつうに考えるとすごく小さいギアでも、
ぜんぜん問題ないわけですね。
そしてそれは、プロではない、大抵の方にとっても同じだと思います。
ちなみに同じ条件・同じケイデンスで、前ギアが53Tになると、
速度は「48.7 km/h」になります。
50km/hに迫るほどのスピードですね。
一瞬なら、私のような素人でも出るかもしれませんが・・・
出し続けるのは、とてもじゃないですが無理です。
平坦でこんなスピードを出し続けられるのは、プロだけでしょう。
(ちなみに、50km/hくらいで1時間走り続けることができれば、「アワーレコード」という競技の世界記録達成です 笑)
おそらく、ロードバイクのアウターギアというものは、
プロがレースで使うことを想定して、
プロしか使いこなせないような重さにも対応できるように、してあるのだと思います。
実際、ショップで一般向けに売られているロードバイクでも、
トッププロがレースで使うロードバイクでも、歯数は基本的に同じくらいですよね。
しかし私のような素人には、プロレベルのギアの重さ・速さといったものは正直、必要ありませんので・・・
アウターギアは、かなり小さくしてしまっても、まったく問題ないのだと思います。
そして、アウターギアを小さくするデメリットは、
重いギアが無くなることでしたが・・・
逆にメリットは、
インナーを使わなくても軽いギアが使えるようになる・・ということです。
そのため、小さいアウターは、
フロントシングル化してしまうのに、とても向いています。
実際、リアにワイドレシオのスプロケットを入れ、
フロント44T-リア34T、みたいな組み合わせができるようにすると・・・
アウターでも、じゅうぶん坂が上れるくらいに軽くすることができるのです。
こうなると、インナーの出番はあまりなくなってきますので・・
たとえばチェーン落ちを防ぐために、ナローワイドチェーンリングを装備するなどして、フロントシングル化してしまうのです。
こうすると、フロントディレーラーが必要なくなり、
整備が簡単になる・トラブルが減るというメリットを受けながらも・・・
じゅうぶん、重いギア・軽いギアにまで、対応できるようになるのです。
それでも、たとえば激坂対策に、もっと小さいインナーも欲しい・・という場合には、
手でフロントを変速する、「手変速フロントダブル」にしてしまうという選択肢もあります。
(私は現在、最終的に、この手変速フロントダブル仕様に落ち着いています)
・・・と、けっこうマニアックな話にはなってしまいましたが・・・
プロ級の脚があって、プロ級の走りをするのでもない限り、
ロードバイクのアウターは、一般的に売られているアウターよりかなり小さくてもぜんぜん問題ないと思いました。
そしてそうであれば、あえて小さめのアウターギアを導入して、場合によってはさらにフロントシングル化してしまう・・というのも、
意外に合理的な選択だったりするのではないか?と思います。