自分の自転車を、自分自身で整備したい!
自転車は「すべてのメンテナンスを、自分ひとりで完結できる」・・という、稀有な乗り物です。
クルマやバイクだと、素人がひとりですべてを整備する・・なんてのはちょっと不可能なのですが、
自転車だとごく普通に、これができてしまいます。
私自身、現在、自分の自転車はすべて自分でメンテナンスしていて、
いわゆる自転車ショップには、もう何年も行ってなかったりします。
自分だけで整備できるようになると、ちょっとしたトラブルはさくっと解決できるようになりますし・・
いわゆる「バラ完」でオリジナル自転車を組み上げたり・・とかも可能になりますので、なかなか便利で楽しいものです。
しかしもちろん、素手では整備できませんので・・いろいろな工具が必要になってきます。
最低限の整備だけなら、六角レンチだけでも何とかなるものですが・・
例えばスプロケットといった「特殊パーツ」も整備しようとすると、いわゆる専用工具とかも必須になってきます。
なのでこの記事では、自転車を自分だけで整備するには、どんな工具が必要になってくるの?
そんな疑問に答えていきます。
目次
六角レンチ
まず、真っ先に必要になるのが六角レンチです。
これは、自転車趣味を始めたばかりだったとしても、持っている方も多いかもしれません。
ロードバイクなど自転車の大部分のパーツは、六角レンチを使いますので・・
六角レンチセットは完全に「必須工具」です。
もし、お持ちでないとしたら・・
上のものでしたらさまざまなサイズがあり、自転車整備に不足はないと思います。
スプロケット工具
自分自身で、整備を完結したいのであれば・・
「スプロケット」の着脱工具は、必要になってきます。
こういったものですね。
スプロケット着脱工具は、2本1セットになっていて、
こっちの工具は、実際にスプロケットを締めたり緩めたりするときに使い・・
こっちの工具は、作業するときスプロケットを「固定」するために使います。
スプロケットは固定しておかないと「緩める」ことができないので、これが必要になるのです。
変速の重さを変えたいとき、まず検討されるのがスプロケット交換ですし・・
何年も自転車を使っているとスプロケットが劣化してきて、変速がスムーズでなくなり、その場合も交換が必要です。
新しいホイールを買ったときも、スプロケットを装着しなければいけないですね。
そしてスプロケットは専用工具が無いと着脱できませんので、必要になってきます。
ボトムブラケット・クランク工具
足で、ぐるぐると回す部分・・
「ボトムブラケット」「クランク」まわりも、整備には専用工具が必須です。
ボトムブラケットまわりにはいろいろなタイプがあり、必要な工具も違ってくるのですが・・
現代ではほとんどの場合で「ホローテック2」という、シマノ規格のタイプになっていますので、
メーカーのサイトなどで調べてホローテック2であることが確認できたなら、その対応工具を揃えればいいでしょう。
工具としては・・
まず、ボトムブラケット自体の着脱に必要なのが、これですね。
上のものはシマノ自身の謹製ですので、選ぶなら一番いいのでは・・と思います。
そして、
「クランクを抜く」ときに、これも必要です。
ホローテック2のクランクは構造が単純で、これと六角レンチがあれば簡単に着脱することができます。
(注意点はいろいろありますので、もし未経験であればいろいろ情報を見てから作業されてください)
ここまでに紹介したものを揃えれば、「クランク」「ボトムブラケット」といった駆動系の心臓部まわりを整備できるようになります。
ペダルレンチ
「ペダルの着脱」にも、専用工具は必要です。
ペダルは最近では、ふつうの六角レンチで着脱できるものも増えてきましたが・・
ペダルはものすごいパワーで着脱するところですので、ふつうの六角レンチだとなかなか必要なパワーを出せなかったり、
うまく力を掛けられなくてすべって、怪我につながったり・・となる可能性はあります。
(私自身のように・・)
なのでできれば、ちゃんとした「ペダルレンチ」を1本持っておくことをおすすめします。
ペダルレンチは強大なパワーに耐えきれるような、太くて頑丈な工具ですので、六角レンチとは作業のしやすさが雲泥です。
具体的には、こういった「じゅうぶんな長さがある」「持ち手がしっかりしている」ものがいいと思います。
それぞれ、高いパワーを掛けやすくなる要素ですので・・
トルクレンチ(「正しく整備」には必須です)
「トルクレンチ」も、必須だと思います。
これは、どのパーツを整備するために必須!というわけではなく・・
パーツを「ちゃんとした強さで締める」ための工具です。
自転車のあらゆるパーツには、「規定トルク」があります。
このパーツはどのくらいの強さで締めるべき!という数値で、メーカーマニュアルなんかに書かれていることが多いですね。
そしてパーツを締めるときは、強すぎるとバキッ!と壊したり、壊れはしないまでもダメージが蓄積されたりします。
そして弱すぎると、最悪、走っている最中にパーツがズルッとずれる・・なんてこともあり得ます。
(実際私は、「ブレーキシュー」がずれてヤバい思いをしたことがあります。。)
そして人間の手だけで、正しいトルクを出す!というのは、熟練のプロメカニックでも難しいことのようです。
ましてや一般人なら・・まず、無理なことでしょう。
なのでトルクレンチが、自転車整備に必須なのです。
具体的なものとしては・・
この「SK11 デジタルトルクレンチ SDT3-060」は、私自身が長年使っているものですが・・
- 扱いやすい
- 長年使っても、計測が狂っていきにくい
- スプロケットなど、さまざまなパーツに対応できる
などなどメリットが多く、おすすめです。
振れ取り工具
「振れ取り」も、自転車整備を自分でやるなら、必須作業になってきます。
振れ取りはなんかプロっぽい、難しい作業のように捉えられがちですが・・
最近はYouTubeなど情報源も多く、しっかり情報収集してから臨めば意外と、ふつうに出来たりするものです。
(もちろん、すべて自己責任にはなりますが・・)
自転車を長いあいだ使っていると、どうしてもホイールが歪む・・つまり「フレて」くるものです。
フレたホイールをそのまま使うのは、なんとなく気持ち悪いですし・・
フレがひどくなってくると、例えばブレーキシューに当たってしまって走行不能に・・なんてことにもなり得ます。
振れ取りを自分でやるためには・・
以上のものが必要になってきます。
上から、振れ取りをするホイールを支える「振れ取り台」・・
必須パラメーターである「スポークテンション」を測るための、「スポークテンションメーター」・・
そして実際に振れ取りのため、ニップルを回すための「ニップル回し」ですね。
(ニップル回しに関しては、ご自身のホイールに「合う」かどうかをちゃんとご検討ください)
振れ取りに必要な工具については、
上の記事にまとめました。
最低限、この章で挙げた3工具があればホイールの振れ取りは可能です。
そしてそれぞれ、私自身も使っているもので・・
価格がリーズナブルで、精度にも問題がないものばかりでした。
なのでもし、ホイール整備までを自分だけでやってしまおう!・・というのであれば、
揃えてしまってもいいのではないか、と思います。
メンテナンススタンド
整備のとき自転車を保持しておく「メンテナンススタンド」も、あるとすごく便利です。
作業中、自転車を「ちゃんと固定しておく」のは当然、大事ですし・・
その「固定力」が低いと、何かするたびに自転車がグラグラ動いて、作業どころではなくなります。。
そして自転車を「高い位置」に固定しておくと、作業しやすくなりますし・・
腰をかがめた作業で起きやすい「腰痛」も場合によっては、予防できたりします。
私自身、メンテナンススタンドはいろいろ比較してみましたが・・
この「サンワダイレクト 800-BYWST1」はなかなか良いものだと思いました。
このスタンドは「脚の設置面積が広く、ぐらつきにくい」「太めのフレームでもしっかり把持できる」とメリットが多く・・
私自身、もうずっとこれを使っています。
その他小物
自分で整備を完結させるためには、その他にもいろいろ小物が必要になってきます。
ワイヤーカッター
例えば・・まずはワイヤーカッターですね。
自転車はブレーキワイヤー・シフトワイヤーといった、ワイヤーを使いますし・・
ワイヤー交換したりするときにはもちろん、これらをカットする必要がでてきます。
ペンチなどでも一応、切れる場合はあるのですが・・
キレイに切れなかった場合、不具合につながる場合があり得ますし、
自転車では細いインナーワイヤー以外に、太い「アウターワイヤー」も切らなければいけないです。
なのでワイヤーカッターも、必須アイテムだと思います。
具体的には・・たとえば、上のようなものですね。
「HOZAN」の工具は、精度の高さで有名ですし、私自身この工具をずっと使っているのですが、
太いアウターワイヤーもサクッ!といきますので、切れ味はかなり良いほうなのではないか・・と思います。
プラスチックハンマー
「プラスチックハンマー」なんかも、必要になってきます。
整備をやっていると、例えばボトムブラケットがなかなか抜けない、ヘッドパーツが抜けない・・なんてことがあり得ます。
そしてハンマーで叩けば、さくっと解決しやすいですが・・
金属ハンマーでがんがん叩いたりすればもちろん、大切なパーツにキズが入ってしまいます。
そこでプラスチックハンマーがあると、便利なんですね。
ここは割と、何でもいいとは思いますが・・
例えば私自身は上のものを使っていて、自転車整備にちょうどいい硬さやサイズだなぁ・・と感じました。
チェーンカッター
チェーンカッターも、必須ですね。
チェーンが劣化したら、もちろんチェーン交換が必要になりますので・・
チェーンカッターはひとつ持っていれば、カット・接続の両方ができますので、
もし無いのであれば、ひとつ確保しておくことをおすすめします。
パイプカッター
「パイプカッター」も、あるほうがいいです。
ハンドルバー、シートポスト、フォークコラムなど・・
長すぎるパーツをカットしたくなることは、よくありますので。
私自身はコレをもう、長いあいだ使っています。
自転車パーツなら大抵の太さのものに対応できると思いますし・・
対応素材もアルミに加え「ステンレス」がありますので、硬い素材も切ることができます。
(ここは自己責任の範囲にはなりますが・・私の場合は「クロモリ鉄製」のフォークコラムも、ふつうにカットできました)
やすり、錐
「やすり」と「錐」もあったほうがいいです。
そんなもん、何に使うの?と思われるかもしれませんが・・
ブレーキワイヤーやシフトワイヤーの、アウターワイヤーの処理に使います。
アウターワイヤーは、ワイヤーカッターでカットするわけですが・・
その断面は、やすりで整える必要がありますし、
カット時に穴が潰れてしまった場合は、錐で通しなおす必要があるのです。
「工具セット」という選択肢もある
ここまでに紹介した工具たちを、ひとつひとつ揃えるのももちろん良いのですが・・
「工具セット」を買って、いっきに揃えてしまう!・・というのも、アリだと思います。
ひとつ買うだけで、ここまでに紹介したようなさまざまな工具が一挙に手に入る!というのが、工具セットです。
(さすがに、トルクレンチやメンテナンススタンドまでは含まれませんが・・)
そしてひとつひとつ買うのに比べると、割安となることも多いものです。
なのでもし、まだ自転車工具をぜんぜん持っていなくて、これを機に揃えてしまいたい・・!
という状況なら「工具セット」でいっきに揃えてしまうもの、場合によってはおすすめです。
工具セットにもいろいろありますが・・
私が実際に使ってみて、これがおすすめ!と思ったのは上のものです。
この記事で紹介したような必須工具たちの多くが、ボックスひとつにうまくまとめられていて使いやすいです。
自分で整備するためには、結構いろいろなアイテムが必要
と、いろいろ書いてはみましたが・・
自転車整備が自分だけでできると、修理もカスタマイズも好き勝手にできるようになりますので、圧倒的に快適です。
(もちろん、すべて自己責任のもとに、ですが・・)
しかしそのためには、六角レンチだけ・・といった最低限の工具だけでは足りず、
さまざまな特殊パーツに対応した、さまざまな特殊工具が必要になってきます。
自分だけで整備できるようになろう!と思うきっかけは、人それぞれだろうと思いますが・・
もし、できるようになりたい!と思われるのであれば、
そのために必要な工具は、揃えてしまってもいいのではないか・・と思います。
今回は自転車を自分で整備するために、必要になる工具についてお話ししてみました。