ロードバイクなど、自転車のスプロケットには、
クロスレシオとワイドレシオがあります。
もちろん、自転車趣味の方ならご存知のことでしょうが・・・
クロスレシオだと、ギアをすこしずつ重くしたり軽くしたりできる、繊細な変速ができますし、
ワイドレシオだと、ギアをひとつ変えるだけで、いっきに大きく、重くしたり軽くしたりできます。
もちろん、どっちが良い!!とか、そういうものではないのですが・・・
自転車を「旅」「ロングライド」「街乗り」といった、生活の中で便利に使う・・というスタイルですと、
選ぶべきはワイドレシオ一択だ!・・・と、私としては思います。
ワイドレシオなスプロケットだと、重いギアから軽いギアまで、
幅広くカバーできる・・というメリットがあります。
たとえば私は現在、11T-34Tという、なかなかワイドなスプロケットを使っています。
マウンテンバイクだと、さらにワイドなスプロケット(11T-46Tなど)といったものがあるようですが・・・
ロードバイクやクロスバイクといったカテゴリだと、
この11T-34Tくらいが、いちばんワイドレシオなスプロケットになってくると思います。
いちおうの説明ですが、この左側の数字が、いちばん小さいギアの歯数で、
右側の数字が、いちばん大きいギアの歯数です。
段数などによっても違ってきますが、
基本的に、このふたつの数字の差が大きいほどワイドレシオ、
小さいほどクロスレシオ・・と言えます。
私が最初に買ったクロスバイクでは、スプロケットは12T-30Tと、よりクロスレシオ寄りでした。
レース向きロードバイクといったものだと、12T-25Tとかいった、よりクロスレシオなスプロケが使われていたり、
もしくは後から、もっとクロスレシオなスプロケットへとカスタムされたり・・ということが、多いです。
当然ですが、クロスレシオにも、良いところがあります。
いちばん大きいのは・・・細かくギアの重さを変えられるので、
脚の回転数をほとんど変えずに、走り続けられる、というところだと思います。
たとえば、レースだと90回転/分とか、ロングライドだと80回転/分とか、
いろいろ言われていますが・・・
すこし、上りがキツくなったり、向かい風がすこし強くなったり・・という状況でも、
クロスレシオだと、細かにギア比を調整できますので、
脚の回転数、つまりケイデンスを一定に保つことができるのです。
ケイデンスを一定に保つ効果は、いろいろと言われていますが・・・
たとえば疲れにくくなったり、からだへの負担が少なくなったり・・とか言われていますし、
私もあまり脚の回転数をばらつかせないのは、有効だとは思います。
たとえばランニングやマラソンだと、一定ペースを保つことが重要!というのは常識に近いと思いますし、
似たような効果があるのかな、とは、思います。
しかし・・・この「細かいギア比の調整」は、生活の中で自転車を使う限りでは、あまり必要ないと、
個人的には思います。
細かい変速というのは、スピードを変えずに、空いた道をながながと直進し続けるような、
ロードレースのような状況でのみ、活きてきますので・・・
ストップアンドゴーが多い街中や、信号が多いエリアがどうしても多くなる「生活の中」だと、
クロスレシオなスプロケットが活きる機会というのは、ほとんど、無いです。。。
乗り方によっては、そもそも「ギア比を細かく変える必要」自体が無いかもしれません。
たとえば、私は「やまめ乗り」とか「おじぎ乗り」とか言われる乗り方をベースに、
ロードバイクの乗っているのですが・・・
この乗り方だと、細かい変速はし過ぎないよう勧められています。
私としてもむしろ、脚の力の使い方・・といったもので、
ペダルの負荷の変化に対応することも、重要だと思います。
機械側のギア比というよりは、「脚のギア比」を変えることで、
重いペダルにも軽くて速く回るペダルにも、対応できるようにする・・という感じでしょうか。
そして、クロスレシオだと、ギア比の幅が狭いわけですので、
「ものすごく軽いギア」が無いことが多いです。
前ギアがインナーで34Tで、後ギアも34Tとかの、1:1レベルくらいだと、
「ものすごく軽いギア」と言われることも多いですが・・・
クロスレシオだと、いちばん大きいギアでも28Tくらいだったりするので、
そのくらいの、すごく軽いギアの組み合わせというのは、実現しにくいです。
そして「ものすごく軽いギア」は、ハードな坂を上るときに、すごく重宝します。
特にスピードを競わないのであれば、正直、ギアは軽ければ軽いほど、
膝などといった、からだへの負担は小さいと思います。
レースなどスピードを競う状況なら、そんなに軽いギアでちんたら上ること自体、NGですので、
「ものすごく軽いギア」自体、必要ないと思うのですが・・・
ゆっくりでもいいので、坂を負担なく上りたい・・という場合には、
ワイドレシオによって実現しやすい、「ものすごく軽いギア」は必須なのです。
おもいっきりワイドレシオにしたスプロケットは、
フロントシングル化との相性も、良いです。
私はロードバイクをフロントシングルにして乗っているのですが・・・
フロントシングルは、面倒なフロント変速機のメンテから開放される、
かなりのおすすめカスタムです。
しかし、フロントシングル化すると当然、
フロント変速ができないので、変速幅がすごく狭くなるわけですが・・・
スプロケットがワイドレシオだと、フロントディレイラーが無くなったとしても、
まったく問題ないレベルの、ギア比の広さが実現できます。
山を上るようなときは当然、フロントギアをインナーに落とすわけですが・・・
フロントギアのギア比にもよるのですが(私は44Tのシングルにしています)、
リアが軽いほうに十分ワイドだと、フロント変速ができなくてもそんなには苦労することなく、
山を上ることができたりします。
・・・と、例えばツール・ド・フランスに出るような選手たちの間では、
クロスレシオのスプロケットが使われることが多いですし、
実際、トッププロがレースで競うのなら、そのほうが良いとは思うのですが・・・
逆に私のような一般人が、レースで勝つことを目指すでもなく、
ただただ楽しむために自転車に乗るのであれば、
ワイドレシオのスプロケットのほうが良い選択になるのではないか・・と、思います。