トルクレンチは、精度が命です。
まあ・・メイン機能ですので、それはそうですよね。
そしてSK11のトルクレンチの、精度はどう?
というのは、このトルクレンチを買おうかな?と迷っている場合、気になるところだと思います。
トルクレンチは精度が低いものも意外と多く、精度をしっかり確認しておくのは意外と重要なのです。
私自身はSK11のトルクレンチを購入し、もう5年ほど愛用しています。
この記事では、SK11トルクレンチの精度は大丈夫?
使ううちに、狂っていったりしない?
そんなところを解説していきます。
目次
「購入時」の精度は、問題ない
SK11のトルクレンチは「買った時点」での精度は、問題ありません。
というのは、購入時にちゃんと校正されていて、
「検査成績表」もちゃんとついてくるからです。
スエカゲツール SK11 SDT3-060 検査成績表を引用
こんな感じのものですね。
下のほうに測定の「誤差」が書いてありますが・・・
例えば時計回りに、36.0 N・mの力で締めた場合・・誤差は「-0.14 %」とかなり小さいです。
他のところを見ても、誤差は0.1%台とか、大きくても1.0%を越えないとか・・そんな感じですね。
少なくとも、誤差が大きすぎて使い物にならない!・・とか、そんなことは無い範囲だと思います。
ので、SK11のトルクレンチは購入時の精度は、問題ない!と思います。
「使っていくうちに狂う」ことも、なかった
そして・・この高い精度も、何年も使い、いくつものボルトを締めると狂っていくのでは?
と、思われるかもしれません。
しかし・・私自身が実際に5年ほど使ってみた限りだと、大きく狂っていくことはなかったです。
トルクレンチの正確さを保つには、数年に一度は「校正」に出すべきなのですが・・・
私自身はちょっと、それはやっていないです。
おそらく費用・手間ともに大きくなるでしょうし、それだったら新しいレンチを買うほうがいい・・とかなりそうですので・・
しかしトルクレンチの精度は、もうちょっと原始的な手段でも調べられます。
例えば他の、精度が高いトルクレンチで締めたボルトを、トルクを計測しながら緩めてみたり・・・とかですね。
そういったいろいろな手段で計測する限りでは、少なくとも私の持つSK11トルクレンチは、
正しいトルクから何割も変わってしまう・・とか、そういうことは無いと思われました。
そもそも「軸力」のほうが重要
あとは・・そもそも「トルク」自体に、そこまでの精度は必要ない
という事情もあります。
ネジを締めるとき・・本当に調整しないといけないのは「軸力」のほうです。
軸力というのは、「ネジが物体に締め込まれる力そのもの」のことですね。
パーツ同士を締結するときに本当に重要になるのは、この力のほうです。
トルクはあくまで「レンチを動かす力」のほうですので、トルクと軸力はイコールではないのです。
そしてそもそも、トルクは軸力に対して、1-2割ズレることも多いとのことです。
なのでトルクを厳重に管理して、0.1%もズレないように!!・・とかしていたとしても、
軸力のほうを見てみると、1割とかのバラツキが出ている・・なんてことも、よくあることのようなのです。
例えば、締め込む対象の素材とか、ボルトの素材とかが変わると、トルクは同じでも軸力は違ってしまいますし・・・
もしくは締め込む部分のグリスの有無とか、グリスの量とかによっても、軸力は変わってしまうようです。
というわけで、もちろん、トルクレンチに精度は重要なのですが・・・
0.1%単位で、わずかでも狂ったらダメ!・・という考えはちょっと追い込みすぎで、
トルク自体が、もうちょっと寛容に見てもいい・・という性質のものだと思います。
自転車整備はそこまで、めちゃくちゃシビアな精度が必要なわけではなくて、
あくまで必要な力の半分とか、2倍とかの力で締めたときがまずい・・とか、そんな感じだと思います。
ちなみに航空機整備とかの世界だと、トルクではなく直接「軸力」のほうを計測して、
そっちをパーセント単位のシビアな精度で追い込んでいく・・という場合もあるようですね。
今回はSK11トルクレンチの精度についてお話してみました。