これからはディスクブレーキの時代!
リムブレーキは、もうなくなる!
と、よく言われます。
マウンテンバイクはけっこう前から、売られているほとんどのものがディスクブレーキですが・・・
人気の自転車カテゴリーである「ロードバイク」にも、どんどん、ディスクブレーキが採用されています。
まるでこのままだと、キャリパーブレーキやVブレーキは駆逐されて、
すべての自転車がディスクブレーキ車になるのでは?・・という勢いです。
しかし・・ディスクブレーキは、本当に、これからのスタンダードになるほど最強なのでしょうか?
そして、キャリパーブレーキ・Vブレーキといった、リムブレーキは、
このままいずれはなくなるような、時代遅れなものなのでしょうか?
私自身はこのあたりを、じっくりと考えた上で・・
結局「リムブレーキ」のほうをずっと使っている、リムブレーキ派です。
なのでこの記事では、リムブレーキのメリット・デメリットは?
リムブレーキってそのうち、なくなるの?
そんなところを解説していきます。
目次
リムブレーキは「輪行」に強い!
リムブレーキが有利な理由って、なに?
まず・・圧倒的に、輪行がしやすいです。
ディスクブレーキロードバイクが流行ってきたときに、ディスクブレーキでも輪行できるか?が、けっこう話題になりました。
私もディスクブレーキ車での輪行作業をさせてもらったりしてはいたのですが・・・
やはり、Vブレーキなどのリムブレーキ車と比べると、手順も増え、気を使うところも多いので、やりにくいと思いました。
いちばん気になったのはディスクローターをぶつけると歪むリスクがある、というところです。
そう簡単に歪みはしないと言われているものの、
たとえば飛行機輪行で預けている間など、強打してしまう可能性はあるでしょう。
そしてぶつけて曲がってしまうと、まあ、手で曲げ戻せるかもしれませんが・・
基本的には、専用工具で曲げ直さないといけないです。
専用工具はけっこう重いので、なかなか持ち歩けるものではなさそうで、
ちょっと、扱いにくいな・・と思います。
もしくは「油圧式」の場合ですと、エア入りのリスクもありますし・・
万一、ホースが破損でもしたらその場ではリカバリー不可能です。。
対して、リムブレーキはとてもシンプルですので、
トラブルのことをほとんど気にせず、気軽に輪行ができます。
実際、何度も輪行しましたが、トラブルはほぼ起きませんでしたし・・
万一、ブレーキをぶつけて歪めてしまったりしても、
その場でさくっと修正できますので、問題ないです。
と、ディスクブレーキとVブレーキを比べてみて、Vブレーキのメリットとしてまず挙げたいのが、
この「輪行における有利さ」です。
「制動力」は、雨じゃなければそんな変わらない
ディスクブレーキはリムブレーキよりも、制動力が強い!
というのは、よく言われることなのです。
そして私自身もここが気になって、リムブレーキ・ディスクブレーキの自転車を乗り比べたりしたのですが・・
少なくとも私が比べてみた限りでは、リムブレーキもディスクブレーキも、
「晴れの日」では、制動力に大した差はないと感じました。
製品のグレードなどにもよるでしょうが・・・
基本的に、キャリパーブレーキでも、Vブレーキでも、ディスクブレーキでも、
ちゃんとブレーキを握れば、短い制動距離でちゃんと止まってくれます。
しかし・・「雨の日」になると、ディスクブレーキの圧勝に変わります。
リムブレーキだと雨の日だと、ブレーキがリムの上をするする滑ってしまうので、
晴れた日に比べればかなり、止まりにくくなります。
しかし・・ディスクブレーキは雨の日でも晴れの日でも、制動力はほぼ変わらないです。
変わらず指一本の、軽い力でぎゅっと止まってくれます。
泥だらけのオフロードとかを走らない場合は・・
この「雨の日でもきっちり止まる」が、ディスクブレーキのいちばんのメリットだと思います。
しかし・・「リムブレーキ x 雨の日」であっても、晴れの日よりは落ちるものの、
まあ、じゅうぶんな制動力はある・・とも思いました。
ここは例えば「アルテグラ」「デュラエース」といったハイグレードなブレーキゴムを使ったり・・
とか、そういった工夫でレベルアップはできますし・・
たとえば調整で「ブレーキシューの幅」を狭めて、ブレーキの効きそのものを上げたり・・と、
そういった工夫も有効です。
そもそも・・自転車に「ホイールがロックする以上」のブレーキ力は、必要ないです。
ロックする以上のブレーキ力があったとしても、タイヤが完全に止まって、その状態で地面をざーっと滑る感じになり・・
制動力はむしろ下がってしまいますので。
自転車のブレーキ力を最強にするには、タイヤを完全に止めてしまうより・・
「タイヤが止まる直前」の強さで、ブレーキ力をコントロールするのが一番です。
たとえばクルマだと、このあたりを考えて「ABS」というシステムが使われていますよね。
ドライバーが緊急時、パニックになって、ブレーキを全力で踏み抜いたとしても・・
システムが適度にブレーキ力をゆるめて、結果的に制動距離をいちばん短くする・・という仕組みです。
(もちろん、自転車にはありませんが。笑)
そしてディスクブレーキはもちろん、ロックする以上のブレーキ力を出せますが・・
リムブレーキでも、雨の日を含め、ロックするくらいの力は出せます。
雨の日は滑ってしまうので、効きを良くするブレーキ調整や、高めの握力が必要かもしれませんが・・
という事情があるので、確かに「ブレーキパワー」そのものは、ディスクブレーキのほうが高くなりがちですが・・
「制動力」そのものに関しては正直、そんなに優劣がないと感じました。
「整備の簡単さ」も、リムブレーキが上
「簡単に整備できる」のは、リムブレーキのほうです。
リムブレーキのほうが、構造が単純だからですね。
Vブレーキやキャリパーブレーキといった、リムブレーキを整備したことがあれば・・
これの整備が、かなりシンプルであることはお分かりいただけると思います。
ワイヤーで直接引っ張って、動かしているだけですよね。
もちろん、アウターワイヤーとインナーワイヤーの長さの調整とか・・
カットしたワイヤーのきれいな処理とか、ワイヤーが潰れすぎない固定の強さとか・・
整備のときに、工夫するところはたくさんあります。
しかしそれでも「ディスクブレーキの整備」に比べると、かなり簡単だと思われます。
ディスクブレーキはそのほとんどが、「油圧式」です。
そして油圧式ブレーキというのは、ホースの中に油が入っているわけで・・
その圧力で、ブレーキを動かすわけです。
そしてケーブルの中に「油」が入っているタイプと、「ワイヤー」が通っているタイプ・・
どちらが整備しやすいか?というと、普通はワイヤーのほうです。
たとえばYouTubeで「自転車 油圧ディスクブレーキ 整備」で検索でもすれば、整備のしかたは出てきますが・・
「オイル漏れ」「エア噛み」など、失敗リスクのオンパレードだったりするのです。。
トラブルのリスクも、ディスクブレーキのほうが高めです。
気泡が入ってしまって、力が伝わらなくなりブレーキが動かなくなる、なんていう可能性もありますし・・
油が入っている以上、万一それが漏れてしまえばブレーキはまったく使えなくなり、その場でのリカバリーはまず不可能です。
ワイヤーで引っ張るタイプの「メカニカルディスクブレーキ」もあり、それならかなりましですが・・
それでもリムブレーキに比べると構造が複雑なので、整備のシンプルさでは不利になります。
「構造が単純で、整備しやすいこと」は、どんな工業製品であっても大事なところです。
なのでここで上回っている!というのは、リムブレーキの大きなアドバンテージです。
ディスクブレーキは「緻密なコントロール」に勝る
ディスクブレーキは、リムブレーキと比べて・・
「精密な、ブレーキ力の加減」に優れます。
たとえば砂地などのオフロードだと、ブレーキ力が強すぎるとすぐにタイヤが滑ってしまいますので・・
タイヤがロックしないぎりぎりの強さの、精密なブレーキングが求められたりします。
もしくはマウンテンバイクレースとかだと、コーナーといった減速必須のところでも、減速しすぎると不利ですので・・
コーナーを曲がりきれるけど、ちゃんと速い!といった緻密なコントロール力が必要です。
そしてこういった、ブレーキ力の「コントロールレベル」において・・
ディスクブレーキは、リムブレーキを圧倒します。
特に油圧ディスクブレーキが、ハイレベルですね。
なぜ、コントロール力に差が出るのか?
まず・・リムブレーキは「ブレーキシューがリムに当たったところから」作動します。
レバーを握っても、まだリムに触れていないところではもちろん、ブレーキ力はゼロですよね。
対して油圧式ディスクブレーキは、「レバーの握りはじめから」作動します。
油圧式だと、ブレーキホースはオイルで完全に満たされていますし、ディスクローター・ブレーキパッドの間隔もすごく狭いので・・
チョン、と軽く握っただけでも、そのぶん精密に反応してくれるんですね。
さらには「力が伝わるスムーズさ」も、油圧式ディスクブレーキのほうが上です。
イメージとしては「クルマ」のブレーキを思い出していただくと、感覚がわかりやすいかもしれません。
クルマのブレーキは、ほとんどの場合で「油圧ディスクブレーキ」で・・
とてもスムーズに、精度よく動きますよね。
ワイヤー特有の「ギリ・・ギリ・・」みたいな感触とも、無縁のはずです。
と、特に油圧式ディスクブレーキは、高レベルの精度のブレーキングに優れますので・・
特にそこを要求される、マウンテンバイクといったオフロードの世界で、いっきに浸透したわけですね。
リムブレーキって今後、なくなるの?
と、リムブレーキのディスクブレーキと比べての特徴は、こんな感じなのですが・・
それでは・・リムブレーキって今後、完全になくなってしまうの?
ロードバイクやクロスバイクはすべて、ディスクブレーキになっていくの?
たとえば「マウンテンバイク」の世界では、ディスクブレーキには圧倒的!と言えるほどのメリットがあります。
泥でドロドロに汚れても、しっかり制動してくれますし・・
オフロードは難易度が高いので、緻密なブレーキコントロール性能も効いてきます。
ディスクブレーキにはそういった「オフロードならでは」のメリットがたくさんありますので・・
リムブレーキはオフロードの世界ではほとんど、駆逐されてしまいました。
現代ではマウンテンバイク、シクロクロスといったオフロード系自転車は、
ほぼすべてがディスクブレーキ仕様ですよね。
じゃあ今後、ロードバイクやクロスバイクといった・・いわゆる「オンロード自転車」においても、
ディスクブレーキが全てになっていくのでしょうか?
リムブレーキは、過去の遺物になってしまうのでしょうか?
リムブレーキが変わらずメインで、しかし3割くらいはディスクブレーキが入ってくる
あくまで、ものすごくざっくりした、個人的な予想にはなりますが・・
ロードバイクやクロスバイクの世界では、そんな感じになっていくのかな、と思います。
そもそも・・ロードバイク、特にレースの世界では「軽量化」がすごく大事です。
そしてディスクブレーキは、リムブレーキより重いです。
そしてブレーキは、「速さ」には直接関係ないです。
少なくともロードバイクの世界では、そうですね。
これがマウンテンバイクなどオフロードなら、ブレーキの繊細なコントロールで、スピードは上がります。
障害物をスムーズにクリアしたり・・に、関わってくるからですね。
しかしロードバイクで、わざわざ重いディスクブレーキをつけたからといって・・
それで、いちばん大事な「レース」で有利になることが無いのです。
だったら、ロードバイクの至上命題!と言われるほど重要な「軽さ」を犠牲にしてまで・・
ロードバイクの世界で、ディスクブレーキが全面採用される!なんてことは無いのでは?と思います。
そしてロードバイク・クロスバイクの業界は、「レースの世界の影響」をすごく受けます。
実際、ロードレースでディスクブレーキが使われてきてから、
一般的なロードバイクにも、ディスクブレーキモデルが浸透してきましたし・・
なので、ロードレースの世界ではリムブレーキはなくならないと思われて・・
そうであれば、一般的なロードバイク・クロスバイクの世界からも、リムブレーキは消えないのでは?と感じます。
さらに言うと・・「整備の簡単さ」も、日常で使い倒す道具にとっては、とても大事なところです。
「値段」も、お互いピンキリではありますが全体的に、リムブレーキのほうが安めですね。
なので特にママチャリといった実用車の世界でも、リムブレーキが廃止されてしまう・・というのは無さそうかなと思います。
果たしてこの予想は、当たるのか?外れるのか?
リムブレーキはいつまで残るのか?そのうち消えるのか?
楽しみにしながら、自転車業界を眺めていこうと思います。笑
この記事ではリムブレーキって、そのうちなくなるの?をテーマにお話ししてみました。