ハンガーノックとは?医師目線から起きる理由・回復する方法など徹底解説!

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地面に横たわる人

今日は久しぶりの休み!ロードバイクでロングライドしよう!

 

意気揚々と走り出し、ついさっきまで、
気持ちよく、快調に飛ばしていたはずなのに・・・

急にからだの力が抜けて、足がぜんぜん回らなくなって、
なぜか、前に進むこともできなくなった。。。

 

耐えきれず歩道にへたり込み、バックパックを必死に漁り、
取り出したウィダーインゼリーを流し込む!

 

・・・ぎゅーんと、急速にパワーを取り戻す身体・・・

 

ああ、これが噂のハンガーノックか・・・!

 

以上、自転車趣味を始めたばかりの頃に、
筆者自身が経験したことです。

「ハンガーノック」で検索される方は多く、
同じような経験をしたことがある方は、たくさんいらっしゃると思います。

 

そしてできれば、ハンガーノックは、
未然に防ぎたいものですよね。

そのためには、ハンガーノックについて深く知ることが、重要なはずです。

 

ハンガーノックって、なぜ起きるの?

どんな症状がでたとき、ハンガーノックを疑うの?

起きてしまったら、どうすればいいの?

そもそも、予防するために出来ることは?などなど・・

 

この記事では、ロードバイクにつきもののハンガーノックについて、
徹底的に解説してみたいと思います。

なぜ起きるの?

ロードバイクに、ハンガーノックはつきものです。

なぜロードバイクでは、ハンガーノックがよく起きるんでしょうか?

 

ハンガーノックとは、走っている最中に起きる、低血糖状態のことです。

 

糖質は、人間の身体における、メイン・エネルギー源のひとつです。

糖質・脂質・タンパク質をあわせた「三大栄養素」のうちの、ひとつですね。

 

人間は日頃、ごはんを食べて、糖質をからだに取り入れます。

そしてその糖質は、血液の中に「血糖」としてたくわえられたり・・・

もしくは、肝臓や筋肉に「グリコーゲン」としてたくわえられたりします。

 

しかしもちろん、無限にたくわえられるわけではなく、
貯蔵できる量には、限りがあります。

 

そしてロードバイクでハードに走ると、ものすごく多くエネルギーを使います

脚の筋肉とか、ハンドルをキープする腕の筋肉とか、激しく呼吸するための呼吸筋とか・・・
ロードバイクではさまざまな筋肉を使いますので、おもに筋肉たちがエネルギーを使いまくるんですね。

 

そして糖は「速効性が高いエネルギー源」ですので、エネルギーとして真っ先に使われます。

 

体にたくわえた血糖や、グリコーゲンたちを、エネルギーとしてがんがん消費しますので、
ちゃんと補給食を食べたりして、補給してあげない場合は、糖が枯渇してしまうわけですね。

糖がなくなってしまうともちろん、血糖値もキープできなくなりますので、
「低血糖状態」になってしまいます。。

 

このあたりに関連しそうな記事を、以下に引用します。
(少しごちゃごちゃしますので、ざっと流しても大丈夫です)

炭水化物が不足するとどうなる

人がエネルギーとして使える栄養素は、炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3種類がありますが、すぐにエネルギーに変えられるのがブドウ糖です。しかし、体の中では、糖質は少量のグリコーゲンとして肝臓や筋肉の中に蓄えているだけで、余分なエネルギーのほとんどは脂肪として体の中に蓄えられています。

エネルギーとして血液中のブドウ糖を消費してしまうと、肝臓や筋肉の中に蓄えられているグリコーゲンを分解するのですが、その量はそれほど多くないため、グリコーゲンも尽きてしまうと、エネルギーが不足し、疲れやすくなります。

特に、脳は、ブドウ糖を唯一のエネルギー源にしています。脳は、昼夜、活動時休息時問わず、ほぼ一定の速度でブドウ糖を燃焼しており、脳だけで1日に120gものブドウ糖を消費するともいわれています。そのため糖質が不足すると、脳や神経への栄養が行き届かなくなくなるため、判断力が鈍り、注意力が散漫になってきます。

健康長寿ネットの該当記事より引用

・・・と、ものすごくざっくりですが、こういった仕組み・メカニズムで、
ロードバイクでハードに走りすぎると、ハンガーノックを起こしてしまうのです。

 

糖以外にも、使えるエネルギー源には、脂肪やタンパク質もあります。

ですので糖が切れたんなら、そっちからエネルギーをもってくればいいじゃん!と、なるわけですが・・・

 

しかしこのあたりは、糖ほどの速効性はなく、エネルギーになってくれるのには時間がかかります。

いずれはこっちからのエネルギー供給も、間に合うわけですが・・・
そのあいだは「エネルギー切れ」の状態になってしまいます。

 

エネルギーが切れればもちろん、筋肉を動かすエネルギーもありませんので、
ふらふらになってしまったり、足がぜんぜん回らなくなってしまったり・・・

いつぞやの私のように、立つためのエネルギーさえ確保できなくなり、
地面に座り込みたくなったりするわけです。

 

特に「脳」は、エネルギーとして糖しか使えませんので、
糖が切れるとまったくエネルギー供給ができなくなり、ぼーっとしたり、判断が極端に鈍ったり・・と危険な状態にもなりかねません。

 

・・・一文にまとめますと、ハンガーノックは、

「補給なくハードに走りすぎて、糖が使いすぎで切れてしまい、脂質やタンパク質からのエネルギー供給も追いついていない状況」

で、起きる・・ということです。

症状は「自律神経へのダメージ」が軸です

ハンガーノックって、どういう症状を起こすんでしょうか?

 

低血糖の症状について書かれた部分を、以下、引用します。

低血糖症状を教科書から抜粋

書籍「今日の治療指針」より引用

と、いろいろ書いてありますが・・・

 

大事なポイントとしましては、
ハンガーノック、つまり低血糖状態というのは、
主に自律神経や中枢神経といった、神経系に大きな影響を与えるんですね。

 

エネルギーを使って活動するのは、筋肉だけではなく、
脳とかの神経系も、同じです。

特に「脳」はエネルギー源として、糖しか使えません。

なのでハンガーノックになるレベルで、からだの糖が失われてしまうと・・・
当然、神経にもダメージや、悪い影響を与えるんですね。

 

そして、ロードバイクのライド中に起きるハンガーノックは、
ほとんどが「自律神経」由来の症状だと思います。

 

脳とかの「中枢神経」への症状は、低血糖が深刻なレベルまで進んだときに起きますし、
その原因もほとんどが、糖尿病とか、インスリン注射の影響とか、そっちですので・・・

ロードバイクで「中枢神経」レベルにまで低血糖が進むことは、
あまり、無いと思います。

ロードバイクのハンガーノックでダメージを受けるのは、
中枢神経・自律神経のうち、主に「自律神経」のほうなんですね。

 

じゃあ、自律神経って、何??

 

・・・自律神経とは、ものすごくざっくり言いますと、
「戦ったり、リラックスしたりをコントロールする神経」です。

 

交感神経と副交感神経、という言葉を聞いたことがある方は、多いと思いますが・・・
このふたつをあわせて、自律神経、ですね。

 

たとえば戦うべき時とか、逃げるべき時とかは、交感神経が活性化します

吠えるライオン

そして家で、ソファーでくつろいでいる時のように、
リラックスしている状況では、副交感神経が活性化します

眠っているライオン

そして通常はそれぞれが、バランスよく活性化するべきなのですが・・・

ハンガーノック状態になって、じゅうぶんな糖が確保できなくなると、
エネルギーが足りなくなりますので、バランスを保つことができなくなります

 

そして、例えば戦うための「交感神経」がやたらと興奮してしまうと、
「動悸」や「発汗」が起きてしまったりするわけですね。

 

ちなみにハンガーノックと関係ないところでも、この「自律神経の乱れ」はよく問題になります。

電車に乗っただけで、なぜか動悸がする・・とかいった症状は、有名ですよね。

病院だと「自律神経失調症」とか、診断されることが多い状態です。

 

たとえば夜、よく眠れないときは、この自律神経が乱れていることが多く・・・

自律神経を整えることが、ぐっすり眠るための鍵になることがあります。

 

と、ハンガーノックの症状は「自律神経」を軸にすると理解しやすいと思います。

 

そして逆に、なんとなく体がきついだけではなく、
「動悸」とか「発汗」とかの、自律神経症状がでてくる場合・・・

ハンガーノックを強く疑ってもいいのではないか、と思います。

予防・対策の方法は?

ハンガーノックを起こさないために、あらかじめ予防したり、対策したり・・

具体的に、どんなことに気をつければいいのでしょうか?

 

まずは・・

無理をしない

とにかく、これに尽きると思います。

 

ハンガーノックは、「過剰な糖分消費」をしない限りは、
基本的に起きません。

糖尿病など、特別な病気がない限りは・・

一般的な日常生活で、倒れてしまうようなレベルの低血糖を起こすことは、基本的に「無い」からです。

 

しかし・・例えばいきなり、慣れないレベルの長距離を走ろう!とか、
登ったこともない激坂を、いくつも越えてやろう!!とかしたときに、
ハンガーノックは、起こりやすいです。

 

慣れないレベルの、強度の運動をしようとすれば、
もちろん身体に、すごく強い負担がかかります。

筋肉も、ハードに酷使されてしまいます。

そして筋肉が、普通ではあり得ないほどの、大量の糖を消費して・・・
低血糖状態になるわけです。

 

少しずつ、距離などの負荷を増やしていくのなら、
筋肉も、ちゃんとハードワークに対応できるようになっていくのですが・・・

いきなりのハードワークだと、ハンガーノック以外の、
身体へのダメージとかいった視点からも、あまり良くはないです。

あくまで無理のない範囲で、ライドを楽しむようにしましょう。

 

あとは、加えて、

日頃からちゃんと、食べておく

これも、重要だと思います。

 

日頃からちゃんと食べて、グリコーゲンといった糖分を、
ちゃんと、体にたくわえておくのです。

 

もちろん、だからといって、ドカ食いする必要はないのですが・・・

たとえばダイエットなどで、糖質制限!炭水化物抜き!とかした後で、
ロングライドなどしようものなら・・・

肝臓などに、グリコーゲンとかがほとんど無い状態ですので、
ハンガーノックはもちろん、起こしやすくなります。

 

そのためハンガーノック予防のためには・・・

というか、生活の基本にもなってきますが・・・

バランスのいい食事を、基本的には1日3食、
きちんと食べておくのも、重要だと思います。

起こしても、すぐに回復する方法

それでは、実際にハンガーノックを起こしてしまった場合は、
どうすればいいのでしょうか?

 

何はともあれ、まず血糖値の回復が必要ですので、
糖分を摂取しましょう。

 

何を食べるか?については、いろいろと候補はあるのですが・・・

たとえばコンビニで手に入るものですと、

  • ウィダーインゼリー(「エネルギー」タイプ)
  • ブドウ糖タブレット
  • 糖が多いスポーツドリンク
  • ようかん

このあたりのものが、おすすめです。

 

それぞれ、すばやく糖分が吸収できるような食べ物ですし、
それぞれ、食べるのに労力があまりいりませんので、低血糖できつい状態でも摂取しやすいと思います。

加えてこのあたりだと、携帯性も高いですので、
ロードバイクで持ったまま走るのにも、向いているでしょう。

 

できればロングライド中は、このあたりのどれかを、いつも携帯しておくといいですし、
もし携帯していなかったなら、ハンガーノック起こした・・!と思ったら、コンビニですぐに入手するといいでしょう。

 

もちろん、パワーバーなどの「自転車用補給アイテム」といったものも、良いと思います。
こちらは、コンビニでは手に入りませんが・・

 

普段の食事だと、あまりに糖の吸収が早い食べ物は、
血糖値を急激に上げてしまったりするので、あまり良くないのですが・・・

ハンガーノックの最中だと、極端にならない範囲で、
できるだけ素早く血糖値を回復できるような食べ物のほうが、いいでしょう。

 

逆に、硬くて、きつい身体では食べにくいようなものや、
消化に負担がかかったりするようなものは、微妙だと思います。

たとえば「おにぎり」「カロリーメイト」あたりも、ダメというわけではないのですが、
上に挙げた、おすすめたちと比べると、
消化が遅く、また食べにくいと思いますので、おすすめからは除外しました。

 

ハンガーノックを起こしてしまった・・!と思ったら、
ひとまず上記、おすすめしたようなものを摂取すれば、
大きな間違いはないと思います。

ハンガーノックに似た、「それ以外の可能性」

ハンガーノックだ!と思っていたけど、
そもそも、ハンガーノックでは無かった・・・

という場合が、あり得ます。

 

きつい理由が低血糖ではなく、
実は、まったく別のことだった・・というわけですね。

 

ライド中、きつくなってきて、足が回らなくなり・・・

ああ、ハンガーノックだな。。と思って、補給食をパクリ・・・

・・・ぜんぜん回復しない!!

 

そんなときは、実はハンガーノック以外が原因・・?と、
疑うべきだと思います。

 

ハンガーノック以外の原因って、具体的に、何があり得るの?

 

まず、ロードバイクに関係しそうなものから挙げてみますと・・・

たとえば、日頃ぜんぜん運動していなかったのに、
いきなり、長い距離を走りすぎてしまったことによる、過労とか・・・

もしくは夏場だと、熱中症とか、脱水とかの可能性が高まるでしょう。

稀な可能性もあげてみると、あまりにもハードに筋肉を酷使しすぎたあとは、
横紋筋融解症による高ミオグロビン血症・・とかも、あり得ます。

 

もちろん、ロードバイクに関係ない病気が偶然、起きることもあり得ます。

たとえば心不全とか、脳卒中とか、そういったものですね。

特に、なんらかの持病をお持ちの方は、
注意して自転車に乗るべきだと思います。

 

ハンガーノックは基本的に、糖分を補給すればすぐに回復します

なので、最初からハンガーノックと決めつけてしまわずに、
特に、糖分をちゃんと補給したんだけど、ぜんぜん回復しない・・!という場合には、
ハンガーノック以外の可能性もちゃんと考えるべきだと思います。

 

そしてハンガーノック以外の状態だったとして、
ちゃんと休んだり、飲み物を飲んだりなどして、回復すればいいのですが・・・

もし、休んだりしてもぜんぜん回復しない・・!という場合には、

ちゃんと、病院に行くほうがいいと思います。

もちろんできれば、ロードバイクはちゃんと地球ロックしたり、
一緒に走っていた仲間が居るなら、預けたりしましょう。

ハンガーノックは、防げます!

ハンガーノックは、「どうしようもないもの」では、ないです。

 

ちゃんと「無理をしない」といったことを、心がけたり、
起きそうになった時点で、ちゃんと糖を摂取したりすれば、
予防できたり、すぐに自分で治せたりできるものです。

 

私自身、自転車趣味を始めたばかりのころに2回ほど、
「これはハンガーノックだな」と思うような状態に、なったことがあるのですが・・・

この記事で書いたようなことを気をつけるようにして、
その後、もう何年もハンガーノックは起こしていないです。

 

ハンガーノックをよく起こしてしまう・・・

ハンガーノックを防ぎたい!

この記事がそんな方の、なんらかの参考になりましたら、幸いです。

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自転車通勤から自転車にハマった、いち自転車マニアです。

【年齢・性別】30歳台、男性

【よく乗るエリア】福岡まわり

【自転車趣味歴】9年くらい

【職業】
現在:企業の産業医
元:総合病院の内科医・研究員

【自転車乗りとしての特徴】
◇貧脚・ゆるポタ勢
◇折りたたみ自転車・輪行大好き
◇フラットペダル派
◇好きな素材はクロモリ
◇全部自分で整備するマン
◇いつかオランダに住んでみたい
 
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