クロモリフレームの自転車に乗っているけど・・
これの寿命って、どのくらいなの?
クロモリは寿命が長い、とよく言われている。
なので寿命の心配は、そんなにしなくていいとは思うけど・・
でも実際のところ、クロモリって何年くらい持つの?
寿命を短くしてしまう要素って、何かあるの?
寿命がきて壊れる場合は、どんなふうに壊れるの・・?
といったところは、気になるところかもしれません。
私自身、クロモリの自転車を2台所有しており、それぞれもう5年以上は乗り続けています。
そしてクロモリを使うにあたって、その寿命ってどのくらいなの?
ここはいろいろと調べたことがあります。
なのでこの記事では、クロモリフレームの寿命ってどのくらい?
ここを詳しく解説していきます。
目次
クロモリフレームは「硬い」うえに「粘り」もある
クロモリって、どんな素材?
物理的、どんな特性を持つの?
クロモリフレームの寿命を理解するにあたって、ここがまず大事です。
そしてクロモリフレームには、
「硬さ」と「粘り強さ」の、両方をあわせ持つ
という、大きなメリットがあります。
自転車のフレームに「硬さ」は大事です。
硬くないフレームは、衝撃や振動ですぐダメージを受けますし・・
「物にぶつけた」といったイベントで、あっさり壊れてしまうかも知れません。
そして「粘り強さ」も実は、同じくらい重要です。
これが無いフレームは、強いダメージを受けたときに「変形」することができないので・・
衝撃を受け流せず、ぽきっ!と折れる可能性が高まります。
そして、硬さと粘り強さを併せ持つという、その特性のおかげで・・
- 素材の「頑丈さ」そのものが高い
- 大ダメージでも「変形」するだけで、破断しにくい
- 小さなダメージは「しなり」で受け流せる
クロモリは寿命に関連する、これだけ多くのメリットを持つことになります。
クロモリフレームはとても頑丈
クロモリフレームは、「頑丈」です。
鉄が頑丈!というのは、まあ、一般的な知識だとは思いますが・・
クロモリも「クロムモリブデン鋼」の名の通り、鉄(鋼)の一種で、やっぱり頑丈です。
そして頑丈であればもちろん、寿命は長くなります。
ちょっとの衝撃で壊れる脆い素材と、大ダメージでもビクともしない頑丈な素材・・
どちらがより長く使えるか?は、言うまでもありませんよね。
具体的には、走るときの振動や衝撃はもちろん軽減されますし・・
鉄製のポールにぶつけてしまった!とかいう「ミスによるダメージ」にも強いです。
この頑丈さは、さまざまな金属の中でもトップクラスに高いレベルで・・
クロモリはクルマや航空機といった、強度が必要な場面で使われることもあるようですね。
そしてクロモリの頑丈さは「粘り強さ」と組み合わさったときに、さらなる威力を発揮します。
クロモリフレームは破断せず「変形」する
クロモリは頑丈さに加えて「粘り強い」金属です。
金属が粘り強い、と言うとイメージしづらいかもしれませんが・・
つまりは強い力を加えてもバキッ!といかず、粘ってくれる感じです。
金属ならではの「柔軟性」と言えるかもしれません。
粘り強い金属は、その金属の「頑丈さ」だけでは耐えきれないほどのダメージを受けても・・
へこんだり曲がったりはするけど、折れないという特性になります。
逆に「粘り強さ」が低い素材に、「アルミ」があります。
アルミフレームの寿命については、
上の記事で解説しているのですが・・
アルミは硬いものの、大きな力を加えると「バキッ!」と一気に折れてしまいます。
許容量を越えるダメージを受けても、へこむだけの金属と・・
大ダメージを受けると、一発で破断してしまう金属・・
どちらが寿命が長くなりやすいか?は、言うまでもないと思います。
と、ここも「寿命」に関する、クロモリの大きなアドバンテージですね。
クロモリフレームは「しなり」でダメージを受け流す
「粘り強い」というクロモリの特性は、もうひとつ大きなメリットを生みます。
「しなり」によって小さいダメージを受け流す、ということです。
クロモリはしなりがあって、乗り心地が良い・・というのは有名だと思います。
そしてこの特性は、寿命にも貢献してくれるわけですね。
走っている自転車はもちろん、振動や衝撃を受け続けます。
それこそ何十万回か、何百万回か分からないくらい、繰り返し受けますよね。
そして「しなり」が無い金属の場合、このダメージはすべてフレームに蓄積してしまいます。
なので何年ものあいだ乗っていると、少しずつフレームの強度が下がっていき・・
ある日突然、ぽっきり!みたいなことを起こす可能性がでてくるのです。
しかしクロモリは基本的に、「ダメージの蓄積」が起きないと言われています。
絶対、100%起きないか?というと微妙なところだとは思いますが・・
寿命にかかわるようなダメージ蓄積が起きない、というのは恐らくそうだと思います。
なのでクロモリは「長期間乗ることによる劣化」が、基本的に起きないわけです。
寿命の長さを考えるとき、これは圧倒的なメリットですよね。
ちなみにこの「硬い x 粘り強い」という特性は、他の金属ではなかなか得られないものです。
この掛け算は、クロモリはじめ鉄製品の特権みたいなものなんですね。
クロモリフレームは「修理」も簡単
万が一、なんらかの原因でバキッ!と壊れてしまったとしても・・
クロモリには「修理」が簡単というメリットがあります。
修理の方法は、「溶接」ですね。
破断してしまった場合、その破断部分に溶けた鉄を流し込むようにして・・
元通りの形に修復してしまう、という方法です。
そして溶接は工業技術の中でも、かなり簡単なもののようです。
もちろん、素人が簡単にできるという意味ではありませんが・・
金属加工をやっているほとんどの工場で、少ない手間・安いコストでできる、基本的なものということですね。
実際に、クロモリの自転車で世界一周をした人の著書に・・
壊れてしまったフレームを、発展途上国の現地工場で修理してもらった、とありました。
これが例えばアルミフレームだと、溶接には特殊な設備・技術が必要とのことで・・
どの工場でもは出来ませんし、高価になりがちで、溶接後の強度もクロモリに劣るようです。
まあ、かなり不利ですね。
カーボンフレームの場合でも、折れたあとの補修はいちおう可能ですが・・
カーボン補修は技術的にとても難しく、とても高価になり、しかもこちらも十分な強度はなかなか確保できないとのことです。
まあ、寿命がきたクロモリフレームを溶接してまで使うか?は、別として・・
万が一壊れてしまったとしても、わりと簡単に復活することができる!
ここも寿命を考えるときの、ひとつのポイントになると思います。
クロモリフレームの寿命には「錆」が大敵
ここまでクロモリの寿命にとって「良い特性」を、いろいろお話ししてきました。
しかしクロモリには、逆に寿命を短くしてしまうかもしれない、重大な要素もあります。
「錆に弱い」、ということですね。
クロモリは、錆びます。
まあ、鉄や鉄合金はなんであっても錆びるものですが・・
クロモリも例外ではない、ということになってきます。
そして、ちょっと錆びたくらいなら大した影響も無いのですが・・
フレームを侵蝕するくらいの、ひどい錆は「強度」を落としてしまう場合があります。
もちろん錆でぼろぼろになった素材は、脆くなりますよね。
なのでクロモリは錆びさせてしまうと、寿命が大幅に短くなるかもしれないのです。。
クロモリ以外のメジャーな素材「アルミ」と「カーボン」は、それぞれ錆が問題になりませんので・・
ここはクロモリ特有の弱点ですね。
そして錆がどのくらい出るか?は、クロモリフレームの「使い方」によって大きく変わってきます。
例えば屋根のない雨ざらしで毎日保管すれば、あっという間に錆びるでしょうし・・
逆に室内保管で雨の日は乗らない!とすれば、錆はほとんど起きないだろうと思われます。
そして錆は「防錆処理」によっても、かなり防げるところです。
クロモリフレームの防錆方法は、
上の記事に詳しく書いたのですが・・
防錆スプレーなどを使ってちゃんと処理しておけば、ある程度雨に降られたくらいでは、そうそう錆びることもありません。
実際に私自身、上の記事で書いた方法で防錆処理をしていて・・
「雨天走行」「雨の中の長時間駐輪」をしてしまうような使い方で、5年ほどクロモリフレームを使いました。
しかしフレーム内部の錆はほとんど見られなかったので、大きな間違いの無い方法だとは思います。
と、クロモリフレーム特有の要素「錆」・・
ここもクロモリフレームの寿命を考えるとき、検討するべきポイントです。
クロモリフレームの寿命は、何年?
と、いろいろ書いてはみましたが・・
要するにクロモリの寿命って、何年?
ここがもちろん大事なところです。
そしてここに対する答えは、
- 「錆びさせない」なら、一生もの
- 「錆びさせる」なら、5年程度
こんな感じになってくるでしょう。
まず「クロモリに寿命が来る」ということ自体、基本的に無いと言われています。
上に書いたように、クロモリは「しなり」によってダメージを逃がしますので・・
使い続けることによる経年劣化で、ある日寿命が。。ということが基本的に起きないものです。
「クロモリは一生もの」とよく言われますが、これは実際にそうなんだろうと思われます。
しかし上に書いたように、クロモリの大敵は「錆」で・・
錆対策をまったくせず錆びるに任せた場合、寿命は大幅ダウンすると思われます。
もちろん錆の程度とか、フレーム自体の強度とかいろいろ要素があり、一概には言えません。
しかしあえて一概に言い切ってみると、「錆びさせまくった場合」でまあ5年程度なのでは、と思われます。
特にフレーム「内部」の錆は、寿命に大きく影響してきますね。
ネットでいろいろと事例を見ても、クロモリ内部を錆びさせてしまって、破断した例はちょこちょこ見つかります。
あとはもちろん当然ですが、事故などであまりにも大きなダメージを負って壊れた場合も、それはさすがに寿命となります。
これはもちろん、他の素材のフレームと同じですね。
とはいえクロモリは上で書いたように、「溶接」での復活も可能ですし・・
曲がってしまっても「曲げ直し」により復活できる場合もあるようなので、やっぱりここでも強いですね。
と、クロモリは大切に扱うのなら基本的に、一生使うことができるようです。
そしてそんな素材は、他にはなかなか無いようですね。
クロモリには「重い」という、自転車にとっての重大なデメリットはあるのですが・・
「寿命」を重視するのなら、クロモリという選択もなかなか悪くないのでは、と思います。
クロモリフレームは、どんな壊れ方をするの?
寿命が来て、限界を超えてしまった。。
そんなときクロモリはどんな「壊れ方」をするの?
ここも大事なところです。
クロモリはそもそも、そう簡単には壊れません。
そして万一、限界を越える負荷が来たとしても・・
「曲がる」「へこむ」だけで、折れてしまうことはそうそう無いです。
これは上に書いたように、素材に「粘り」があるからですね。
粘りは衝撃吸収などにおいても、有利だったわけですが・・
「壊れ方」においても、ひと役買っているわけですね。
そしてクロモリの壊れ方は、わりと「安全」です。
走行中、フレームがぐにゃっと曲がるイベントと、ぽきっと折れるイベント・・
より起きて欲しくないのはどっちか?・・聞くまでもありませんよね。
たとえ万が一寿命が来たとしても、ヘンな壊れ方をしない・・
ここも寿命を考えるときの、クロモリならではのメリットなのです。
しかし、ここでもひとつ注意点があります。
「錆でボロボロ」になった場合、ぽきっと破断することがあるということです。
侵蝕により強度が落ち、変形に対する許容量が小さくなってしまうわけですね。
そういった面においてもやっぱり、錆対策は大事で・・
クロモリを使っていくなら、しっかり防錆などやっておくのがおすすめです。
と、今回はクロモリフレームの寿命についてお話ししてみました。