トルクレンチには「ビームタイプ」と「スプリングタイプ」があります。
ビームタイプは、ビームを発射してトルクを計測します。
・・ごめんなさい、冗談です(汗
ビームタイプのビームは「梁」という意味です。
梁は建物の、骨格になるような部分のことですね。
そしてビームタイプのトルクレンチというのは、
金属製の梁のゆがみ加減によって、トルクを計測するタイプです。
ビーム式とか、ビーム型とか呼ばれることもありますね。
対してスプリングタイプ・・こっちは、トルクレンチの中にスプリングが入っていて、
これがどれくらい、びよーんと潰されるかによってトルクを計測しています。
なので、ビームタイプとスプリングタイプの違い・・となれば、
「金属の棒」によってトルクを測るのか?それとも「スプリング」によって測るのか?
ということになるわけです。
では、どっちが自転車整備に向くの?
「ビームタイプ一択」です。
なぜ?
ビームタイプのいろいろなメリットが個人の自転車整備に向くからですね。
この記事は「個人の趣味として、自分の自転車を整備する人」が多く読んでいると思います。
この記事を読んでいる、プロメカニックは、おそらく少ないはずです・・笑
そしてビームタイプとスプリングタイプにはそれぞれ、特徴があるわけですが・・・
ビームタイプの特徴として、
②:頑丈で、破損などのトラブルが起きにくい
③:作業が遅い
といったものがあります。
① 狂いにくい、② 頑丈、のふたつはメリットで、
③ 作業が遅い、はデメリットですね。
トルクレンチは長期間使っていると、すこしずつ測定結果が狂ってくるので、
それをジャストに合わせる「校正」がときどき必要なのですが・・・
ビームタイプのトルクレンチは、測定部分が頑丈な金属棒ですので、
狂いが起きにくいわけですね。
一本の金属棒と、スプリング・・どちらが強いか、ということです。
同じような理由で、ビームタイプのトルクレンチのほうが頑丈です。
狂いにくく、頑丈なトルクレンチ・・・
買い替えコストとか、校正の手間とかが下がることになりますので、
個人の自転車整備においては、圧倒的なメリットですよね。
モノの維持に手間を惜しまない、プロショップなどであれば、
さほど大きいメリットではないでしょうが・・・
そして「スプリングタイプ」側のメリットとして・・・
設定したトルクに達すると自動的に、締めるのをやめてくれるというのがあります。
なので例えば5 N・mで締めるべき、いくつものボルトがあるとするなら、
ギュッ!と締めて、また次のボルトをギュッ!と締めて・・といった感じで、連続ですばやく締めることができるのです。
対してビームタイプは、自動で締めるのをやめてくれないので、
設定したトルクに達したタイミングで、自分で力を抜かないといけないです。
なのでひと締めひと締めの、力加減が必要になりますので、
たくさんの自転車、たくさんのボルトを連続で処理していく・・というのが、難しいのです。
とはいえこれは、そこまで大量の自転車を扱うことがない「個人」には、関係ない話ですよね。
と、こういった事情がありますので私としては、
個人の自転車整備には、トルクレンチは「ビームタイプ」一択!
とまで、思っています。
ビームタイプのトルクレンチといっても、いろいろな製品があるわけですが、
私がもう実際に何年も使っているトルクレンチが、以下のものです。
このトルクレンチは「対応トルクの範囲」が自転車にちょうどよく、
しかもスプロケットといった特殊なパーツにも、アタッチメントをつければ対応してくれる・・という、なかなかの優れものだと思います。
今回は「ビームタイプのトルクレンチが、自転車整備におすすめ」といったテーマでお話ししてみました。